ケニア円借款案件(ソンドゥ・ミリウ水力発電事業)
6月1日の衆議院・外務委員会での政府答弁(未定稿)

→→参議院・外交防衛委員会(5月29日、櫻井議員)での答弁はこちらへ
→→衆議院・外務委員会(6月6日、保坂議員)での答弁はこちらへ
→→参議院・行政監視委員会(6月11日、福島議員)での答弁はこちらへ
 →→参議院・行政監視委員会(6月11日、櫻井議員)での答弁はこちらへ
→→衆議院・政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
(6月11日、北川委員)
での答弁はこちらへ

→→参議院・決算委員会(6月25日、櫻井議員)での答弁はこちらへ

*この議事録は、6月1日に行われた外務委員会のビデオを利用して作成したものです。

 

  • 首藤信彦 委員
      さて、時間も迫ってまいりましたので、次のテーマに移りたいと思いますけれども、次は
    ODAの問題について御質問させていただきたいと思うのです。
      
    日本の経済がだんだんと苦しくなってきている。こういう状況の中、日本はODAは何と世界一らしいですね。何か最近の新聞を読みますと、日本の国力は大体世界二十二位、そんなものじゃないかと言われていますけれども、ではどうしてODAを、日本の経済規模、身の丈に合った援助にしていかないのかという疑問がそこで出てくるわけですね。
      
    現在、ODAの徹底的な見直しが必要というのがあります。このきっかけは何と、自由民主党の亀井静香代議士がODAは三割削減しろ、こういう発言をされて、それに対して、では民主党も三割削減しなければいけないということで、いろいろ精査を始めたわけですね。
      
    私も、例えばODAの大綱基準、あるいは核実験をやっている国、軍事大国、あるいは、いわゆる卒業国条項といいましてもう発展途上国でなくなっていく国とか、あるいは腐敗政権、こういう国をODAの対象から排除しますと結構減っていくのですね。驚くほど、一割から二割ぐらいは簡単に減っていくのじゃないかなという感じもしているのですね。
       そういうところで出てきたのがケニアのソンドゥ・ミリウ・ダムですね。私は長年アフリカ援助の問題に関係していても、これは本当に驚くようなプロジェクトなんですけれども、この問題に関しては、既に日刊紙や週刊誌で取り上げられて、私自身も質問主意書を政府に提出しております。この質問主意書はごらんになりましたでしょうか。
  • 田中外務大臣
       この問題は副大臣が大変詳しくておられますので、副大臣から答弁いたします。

  • 植竹副大臣
      今、首藤委員のお尋ねでございますが、質問書についてはまだ見ておりません。ただ先般、私は、
    LDC、低開発諸国の国際会議に行きまして、そのとき、ODAにつきましては、日本に非常に期待を持って、多くの低開発諸国の方々から要望があったということは事実でございます。
     
     しかし、ODAを出すためには、相手国の環境とかいろいろな状況を調べて出しておるわけでございます。したがいまして、お尋ねのケニアのソンドゥ・ミリウ・ダム建設につきましても、本計画案を、再生可能なエネルギーである水力を用いてやるということは、例のCOP3のときにも水力発電というものが……

  • 首藤 委員
     そこまで聞いておりません。

  • 土肥委員長
      質問の範囲内で答えてください。

  • 植竹副大臣
      その質問主意書はまだ見ておりません。


  • 首藤委員
       これはぜひ見ていただきたい。本当はきょうが回答期限だそうですけれども、二週間延ばしていただきたいということで延ばしておりますけれども、本当ならば、もう当然見ていただいていると期待しているんですが。
       長年こういう問題にかかわってきた者からしますと、このソンドゥ・ミリウダムプロジェクトというのは、外務大臣、よく聞いていてください、次、外務大臣に質問行きますよ、その流量のほとんどを取水堰で集めて、トンネルとパイプで発電所を通して六十メガワットの発電をするもの。これはもう既に参議院でも恐らく一回話題になったと思いますけれども、これがどこで行われているかというと、ケニアなんですよね。
       ケニアは、御存じのとおり半乾燥地帯。外務省の
    ODA関係のホームページを見ますと、ケニアがいかに半乾燥地帯であるかということがずっと出ているんですね。実際またそうしたプロジェクトが組まれているんです。要するに、ケニアは半乾燥地帯なんですよ。私は若いときに長年アルジェリアにいたんですけれども、アルジェリアの砂漠、タシリ高原に行くと、カバとかワニとかの壁画がたくさんあるんですね。ケニアは、しばらくするともうすぐ砂漠になってしまう、こういうふうに言われている地域なんですね。そういうところで、このダムというのは水量のほとんどをとって発電用に使うんですね。
     
     そうすると、問題なのは、ではもとの川はどうなるかというと、その十キロぐらいの川に関しては、水をちょろっと出しますというんですよ。その量が毎秒0.5立米なんですよ、0.5トン。大体おわかりになると思いますけれども、バスタブが大体1トンですかね。要するに、ふろおけの半分ぐらいの水があのケニアの乾燥地帯の中でようやく流されていく。こうしたものを見れば、当然のことながら、もとの川というのは干上がってくるわけでありまして、水草も絶滅していくし、一度破壊された環境というのは二度と戻ってこないんですね。ですから、このプロジェクト自体にフィージビリティースタディー、FSといいますけれども、これは全然されていないわけですよ。
       これに対して、環境問題も問題があるということが当初から言われて、ここに日本工営のアセスメントのあれがあります。本当に薄いものです。ほとんどが二次データで、重要テーマがほとんど数行の記述しかない。こういうような環境のデータしかないんですけれども、これに関して、外務大臣はいかがお考えですか。

  • 田中外務大臣
     
     我が国はいろいろな国に対してたくさんの、各種のODAをいたしておりますけれども、その一つ一つについて申し上げることはできません。ただし、やはりそれぞれが必要性があって、そうして先方からもぜひということがあってスタートしていると思いますので、やはり進行している中でもって問題が起こることもありますでしょうし、またそれを乗り越えて、さらに継続する方がいいというものもあると思いますから、それぞれの具体的なケースをよく精査して、今後ODAのあり方がどのようにあるべきか、ちょうどターニングポイントに来ているということもあるのではないかというふうに考えます。

  • 首藤委員
       おっしゃるとおりだと思いますね。ですから、このケースは本当に、日本の
    ODAが曲がり角にあるときにたまたま出てきたケースではないかな、そういうふうに思っています。
       ただ、このプロジェクトには、問題となっているのは単に事業化可能性あるいは環境問題だけではなくて、よくわからない点が多すぎるんですよ。例えば、このプロジェクトは、先ほど言いましたけれども、だれが考えても、環境に対して害がある。確かに、それは水力ダムで、石油を燃すのではないからいいという考え方もあります。しかし、ダムがどんなに環境破壊かということはだれでも知っているわけですね。ですから、そういうものに関しては、当然のことながら環境的な配慮がされていなければいけない。
       ところが、何ですか、このプロジェクトに関しては環境特別金利で、要するに環境にいいから特別金利にしようと。スリランカのケースは、何と
    0.75%の金利になっていた例もあるんですね。素人考えですけれども、こんなにめちゃくちゃに環境に悪いプロジェクトがどうして環境特別金利の対象となったのか、そこの点は非常にわかりにくいところだし、みんなが関心を持っているところで、前から田中外相が言っておられるように、外務省の透明性、公開性を前提として、なぜこのプロジェクトが環境特別金利の対象となったかをぜひ公表していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

  • 植竹副大臣
     
     特別環境案件金利の対象というのは、先ほど申し上げました低開発諸国の環境問題というものは非常に重要だとCOP3で取り上げられたというときに、我々は同じ年度におきまして、この問題について、これを特別環境金利に適用したという次第でございます。

  • 首藤委員
       私は、それをなぜやったかじゃなくて、そのいきさつを公開していただきたいということを外務大臣にお願いしているんです。外務大臣、それは公開していただけますね。

  • 田中外務大臣
        経緯がわかりませんので、持ち帰って検討いたします。

  • 首藤委員
       だんだん、プロフェッショナル外務大臣としておなれになってきたのかなという感じがしないわけでもありませんが。

        この問題は本当に深刻な問題なんです。対象がケニアになっています。ケニアは、御存じのとおり、重債務国といいますか、お金を借りて借りてかりて、それがたまって、さらにその金利がまたたまってという国なんですよ。今世界では、世界の国が貧しいのは、貧しい国が借りた借金がその貧しい国を苦しめているんだということに世界の流れはずっといっているんです。ケルン・サミットで、日本も参加しているわけですけれども、そこで、ケニアは重債務貧困国として認定して、ここにはもう要するにお金を貸さない、お金を貸すことがこの国を貧しくさせるんだというふうな考え方も出てきているわけですね。
     
     それから、この時期に、田中外相も御存じかもしれませんが、例えばNGOでは、ジュビリー2000といって、要するにそうした先進国がつくり出した債務をもう帳消しにしようという運動だってあったんですね。ジュビリー2000の対象、あるいはケルン・サミットの対象もそうですけれども、驚くことに、ほとんどが日本の債権、累積債務なわけですよ。ですから、我々が貸したものが、ほとんどが帳消しの対象となってくる。
       この貸した金というのはどこから来ているかというと、お金持ちが、貧しい人、かわいそうな人にお金を上げようといって出しているんじゃないんですね。そういう慈善ではないんです。それは私たちの税金で、そして、そういうところに貸して、貸したために、受け取った国は貧しくなり、紛争が起こり、環境が破壊された、こう言っているわけですね。ですから、世界では、それを消そうと。
       そういうふうに考えていくと、このプロジェクトもそうですけれども、重債務国と認定され、いわゆる債務帳消しの対象となっているところへまださらに追加していくということなんですよね。こういうことをやると、私も
    NGOの代表者として、NGOとして行くと、世界じゅうから非難されるんですよ。日本が世界を悪くしている、日本が紛争を拡大している、日本が環境を破壊している。こういうプロジェクトをやっていくと、日本がやったODAが結局その国で批判され、またその国の環境を決定的に破壊していく。
       憲法には、我々は国際社会で「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」と。しかし、現実にこんなプロジェクトをやっていたら、やればやっただけ国際社会から名誉を失っているじゃないですか。こんなプロジェクトはある意味では憲法違反じゃないですか。いかがですか、外務大臣、どのようにお考えですか。

  • 田中外務大臣
       ケニアの問題に大変詳しくていらして、るるおっしゃっておりまして、円借款というものは、相手国の債務負担能力というものを含む経済状況に配慮した上で供与を決定すべきことであるということを御指摘なさったと思います。まさしくそのとおりでございますから、やはりこれもしっかりと精査をするという対象だと思います。

  • 首藤委員
       それで結構です。それでしっかり精査していただきたいと思うんですね。
       ただ、このプロジェクトは、私ども議員としても、国民としても、またそれから
    NGOとしても、本当に真剣に考えなければいけないプロジェクトだと思っています。今まで、援助はいいことだ、我々が一生懸命働いて、血と汗と涙で働いたお金が、やはり発展途上国のアフリカの貧しい人たちみんなが喜んでくれる、そしてどこへ行っても、ああヤパン、ヤパンが来たかとか、ヤポネ、ヤポネと、ジャポネ、ジャポネと言って、みんな日本人を温かく受け入れてくれる、こういうのだと思っているんですね。しかし、現実に、私たちのODAすら、やり方によっては発展途上国を苦しめている場合だってあるんだということを我々は考える必要があると思うんですね。
       特に、今の流れは、要するに先進国が援助という形で悪いことをしないということが今一番大きなテーマとなっているんですね。ですから、その辺ぜひ精査していただきたいと思うわけであります。
       長らく
    NGOにいた者からすると、IMFとかあるいは世銀というのは大変評価が低いというか悪いわけですけれども、そのIMF、世銀ですら、プロジェクトの入札は、本当に小さな業者に至るまで全部ホームページで公開してあります。ですから、日本のODAに関しても、いろいろ世界から批評されているIMFや世銀と同じくらい、我々も徹底して入札に関しては公開していただきたいと思っています。
     
     そのIMF、世銀ですら、ケニアに関しては97年から追加融資を停止しているというのは、外相は十分に知っておられることだと思うのですね。
     
     もう一つここに問題がありますね。現在第2期工事が進行しているのですけれども、これは日本のコンストラクターの、私はよくこの業界を知らないのですけれども、鴻池組という企業さんがやっているのですね。
     
     立派な会社だと思うのですね。例えば、鴻池組の社長さんは、94年に海外建設協会の会長になられています。この鴻池組というのは非上場会社なんですね。ですから、我々は有価証券報告書も見ることはできませんし、よくわかりませんけれども、海建協の会長に選ばれていくということは、大変名誉ある立派な会社だと思うのです。
       ただ、そこでどういう会社かなと調べてみますと、例えば新聞の記事検索を見ますと、ちょっとこれはいろいろ問題があるのですね。例えば、日本での阪神大震災後の建設の談合に関して問題があった企業の中に名前が出てくるとか、あるいは断とつに政治献金が多いとか、さらに沖縄の金融機関をめぐって無担保融資が行われているとかいうワシントン・ポストの記事もあるのですね。
       ですから、何を言わんとしているかというと、私たちは、だれが見ても私たちのお金がきれいで、そして私たちが提供する発展途上国の貧しい人たちが本当に喜んでくれる、こういうことを期待するわけですけれども、それを曇らせてはいけない、そういうふうに思うのですよ。
       現在、この問題に対しては、先ほど言った
    IMF、世銀がすべて小さい下請け業者に至るまで全部価格とやっていることをホームページで出すように、本当に全面公開が前提なのです。企業でいえばもっと厳しくて、私の見たところでは、例えばIBMという会社がありますけれども、そこの企業の行動規範というのを見ますと、疑いのある取引をしてはいけない。では、疑いのある取引とは何ですかというと、そこに書いてあるのですよ。疑いのある取引というのは、その件が、あるとき人が朝刊を見て、あぁ、これはきっと怪しいなと思うようなものは疑いがあるからだめだ、こう書いてあるのです。大変厳しい基準ですよ。民間企業ですらそうなんです。
       まして、公金を、国民の税金を使う私たちは、やはりそれくらいの厳しさを持って臨まなければいけない、そういうふうに思うのですね。ですから、たとえ優良な日本を代表するような企業であっても、やはり疑わしいものへ我々は関与していってはいけないということだと思うのですよ。ですから、日本の立場というのはだんだん国際社会の中で厳しくなってきます、こういうときにこそ、先人の知恵である、瓜田にくつを入れずとか、李下に冠を正さず、こういう精神を私たちは忘れてはいけない、そういうふうに思うわけであります。
       このことに関しては、日本の政治家も随分関係しているというふうな記事はたくさんありますね。例えば、森前首相も、このことを推奨されたと外務省のホームページにも書いてあります。
       それから、今ちょっとおられませんけれども、この委員会を代表する鈴木宗男議員のように立派な外交の専門家も、ここに名前が載っていたりしているのですね。
       この週刊誌の記事なんかを見ますと、例えば先ほど私が言った鴻池組から
    50万円の献金があるとか、トップとの関係も深いと聞きます。政治家として、それは鈴木議員のような有力な方には献金したいとか、いろいろな方、いろいろな企業もあるでしょうから、それは合法的である限り問題はないと思うのですね。
     
     それから、週刊誌の記事なんかを見ますと、99818日の公電には、鈴木官房副長官とケニアのモイ大統領、モイさんというのはかなり腐敗で有名だった人なんですけれども、その会談があって、そこで円借款の推進方針が決定されたなんということが、公電だなんて載っているのですよ。
       公電なんというのが外へ出ること自体が問題だと思うのですけれども、この点に関しては、鈴木宗男議員の個人の名誉がかかわることですから、ぜひこの資料は公開して、人格高潔な鈴木宗男議員、関係ないのだ、鈴木宗男議員のためにも、ぜひ公電は全面公開していただきたい。いかがですか、外務大臣。

  • 植竹副大臣
       私から。
       実は、ゼネコンのお話が出ましたが、私は今副大臣をやっておる前に建設省の総括政務次官をやっておりまして、このゼネコン対策の問題につきましては、大変私どもは厳しくやっております。
       いわゆる入札の公開性、透明性というものをやって、国民の皆様の税金を使うわけですから、これをいかにして厳しくやっていくか、そういうものを強くやっております。
       そして、例えば評価の問題も、前評価、中評価、後の評価といったことによりまして、これからはそういうことは一切ないというふうに指導もしておりますし、やっております。
       さらに、そういう二期工事につきましてのお話でございますが、この点につきましては、これはケニア政府自体がやったので、二期分の追加部分については、鴻池が関係しているとか、それは私ども一切関係ございませんし、また……

  • 首藤委員
     
     質問にだけ答えてください。
       質問を繰り返します。
    99818日の公電というものに、鈴木官房副長官とケニアのモイ大統領との会談があって、そこでこれを大いに推進するということを決めたということで、こんな公電が大体外へ出ることがけしからぬと言っているのですよ、一つは。
       ですから、それは粛正を、組織的にそういうことをきちっとしていただきたいというのと同時に、同じ政治家として、自分の名前がそんな公電にあって、それがうそであるならば、それは否定しなければいけない。ですから、鈴木宗男さんの個人の名誉のために、ぜひ公電を公開していただきたい。そのことを外務大臣にお願いしているのですが、いかがでしょうか。

  • 田中外務大臣
       委員は、それは週刊誌か何かでごらんになったのでしょうか。

  • 首藤委員
       そのとおりであります。

  • 田中外務大臣
     
     そうでありますと、一々政府から委員の方に、何とか調べるとかそういう筋ではないと思いますので、きょうの委員会で最初のお尋ねの方にも申し上げましたけれども、もう今退席されましたけれども、マスコミにこう書いてある、テレビでこう言った、だからこれはどうだ、これはどうだと言ったら政治は機能しなくなりますので、それは私どもとしてはいたしません。

  • 首藤委員
      それは異なことをおっしゃいます。私は、それが例えばワシントン・ポストであろうが、ニューヨーク・タイムズであろうが、朝日新聞であろうが、あるいは日刊何とか、週刊何とか、あるいはテレビ何とか、関係ないと思います。
       問題は、事実であるかどうかじゃないですか。事実であれば、どんなにマイナーなメディアであっても、フリーのカメラマンがとった一枚の写真でも、事実ならば事実であり、それが事実でないというなら、事実でないという証拠をきちっとやって、鈴木さんの無念を晴らしてあげてください、そのようにお願いしているのではないですか。

  • 田中外務大臣
       まだ鈴木先生は亡くなったわけではありませんから、無念だとか思っておられるかどうかもわかりませんから、余りフライングなさらないでください。
       公電内容について、一つ一つ公表もいたしませんし、それに基づいて、調査をしろとおっしゃいましたか。

  • 首藤委員
       公開してください。

  • 田中外務大臣
       公開。それはちょっと大変かと思いますけれども、ただ、今教えてもらったところによりますと、現在実施中の水力発電計画第一期工事につきましては、一般アンタイドの調達条件のもとで、ケニア側の責任において国際競争入札が行われて、この結果、鴻池組とノルウェーの企業および南アフリカ企業から成る共同体が受注している、そして本計画の検討と実施に当たっては特定の政治家の関与ないし影響力の行使があったという事実は一切ありませんということですが、先生のお尋ねは、そうであってもマスコミの方が正しいであろうから調べろとおっしゃったんでしょうから、答えは、先ほどのとおり、公電について一々対応はいたしません。

  • 首藤委員
       この件は、我々政治家の名誉の問題もありますけれども、同時に、ここに出てくる一人の方が青木大使なんですね。青木大使はペルーの日本大使館占拠事件で問題になった方ですけれども、青木大使がこのプロジェクトに関して積極関与しているということは、日本のメディアにもいろいろなところで出てきているんですね。
     
     ですから、一体そういうことを大使というものが本来すべきことなのかどうかということがありますけれども、ロシアの問題に関しては、小寺課長さんですか、呼び戻していろいろ聞かれているということなんですが、ぜひ青木大使も、この問題は一体どうなのかということを、召還していただいて、外務省の内部及びこういう外務委員会でぜひヒアリングさせていただきたい、そういうふうに思いますけれども、外務大臣、いかがでしょうか。

  • 田中外務大臣
     
     今そのような考えはございません。

  • 首藤委員
     
     それはどういうことですか。原理原則だからそうですか。それとも、こういう臭い物にふたという意味でおっしゃっているんですか。

  • 田中外務大臣
       臭い物ともわかっておりませんし、メディアで報道されたことについて一々対応はしないというのが基本原則だと申し上げています。

  • 首藤委員
       ぜひ調べてくださいとお願いしているので、果たして臭い物であるかそうでないか、調べたころにまた質問させていただきたいし、私の質問主意書もきちっと答えていただきたいと思います。
       それから最後に、この問題で一番重要な点をお伝えしたいと思います。
       それは、環境問題があってもケニアの発展にはどうしてもこの電力が必要だ、わかりますよ。本当にそういう気持ちはわかりますよ。ただ、問題なのは、住民の方も納得させなきゃいけない。日本のダムもそうですけれども、住民の方がどれだけ合意しているかなんですよね。
       そこで、私は必ずしも環境万能主義者ではないんですから、一体どうですかということを
    JBICにも聞き、外務省にも聞き、財務省にも聞き、それから現地にも聞き、いろいろな人に聞きました。出てこないんですよ。
     
     それで、二日間ミーティングを開いた、1月の24日、26日に公聴会を開いたというのがあります。これは、来た人が書いていて、最後にぺらぺらと一枚だけ、推進方針だという紙が一枚ついています。これで果たして住民の合意ができたなんて言えますか。
     
     先ほどの原点に戻りますけれども、私たちが稼ぎ出した、この不況の中の苦しいところでつくり出してきたお金というものが、それを受け入れる発展途上国の人たちにとってみてありがたい、うれしい、本当に日本はいいことをしてくれたというふうに確信を持てないと、私たちは私たちの大事なお金を出せないじゃないですか。ですから、この件に関しては、ともかく集会の議事録をくれくれと言って、もう1ヶ月かかって出てきたのがこの2枚ですよ。
     
     やはり僕は、ちょっと立場を離れていもそうですが、本当に思うんですよ。もう長年こういう問題に関係して、田中外務大臣は外務省と官僚主義と闘って1ヶ月かもしれないけれども、私は20年間外務省と闘ってよく知っていますよ、問題を。しかし、やはり時代は変わっているんです。今こそこういう問題に関してはきちっとした態度をとってやっていただきたい、そういうふうに思うんです。
       ともかく、本当にこのプロジェクトが現地社会にとって、経済的に意味があるものか、社会的なインパクトが小さいか、環境への影響が小さいか、そういうことをきっちり確保をして、そしてなおかつ、それに対して入札は、これを環境特別金利だとすると日本の企業と現地の企業しか入札できないですよね。本当に国際社会で一番安くていいものをつくっているところから、場合によってはオランダかもしれない、場合によってはインドネシアかもしれない、そういうところも入れてきちっとしたプロジェクトを確立してやっていただきたい。
       その意味で、事業化調査、それから環境影響調査、住民集会とその合意、入札、すべてこれをやり直して、私はこのプロジェクトに反対しているんじゃないんです、やはりプロセスに欠陥がある、ですから、それをきちっとして、私たちに一票一票を投票してくれた国民に対しても、これはいいプロジェクトですよ、これは私たちの今苦しいところの財布から出ているお金ですけれども、それは必ずケニアの人たちに評価されます、必ずそのことが日本の名誉につながっていきます、そういうことをぜひ確認していただきたいと思いますね。
       そういうことのために、ぜひ
    NGOの代表者などとも会って、そういうテーマで話し合っていただきたいと思いますが、それに対しての、もう時間もほぼなくなりましたが、外務大臣としての総括的な御意見をお聞きしたいと思います。

  • 田中外務大臣
     
     ODAは、本来の趣旨、それにかなっているかどうかという原点に立ち返って、見直すなり検討をいたします。

 

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