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RWESA-Phils(フィリピン) プレス・ステートメント (2005.03.14)

※このプレス・ステートメントは、3月14日の国際反ダム・アクション・デーの活動に合わせたRWESA-Philippinesの活動のために用意されたものです。

2005年3月14日


ダムの影響を受ける住民らが
国際反ダムアクション・デーに参加


フィリピンでダムの影響を受ける何百人もの住民らが国際反ダムアクション・デーに参加する。「今日、私たちは、これ以上破壊的なダムを建設することを止めるよう、政府、ダム建設者、融資者らの注意を喚起し、彼らに補償、生活の再建、そして既存の無用のダムの撤去を呼びかけるため、世界の他のダムの影響を受けている人々とともに抗議活動に参加する。」サンロケダム事業の建設によって移転をさせられた農民、スーシー・タンポヤ氏はこう述べた。

(パンガシナン州)ダグパン市では、アグノ川沿いの農民連合であるTIMMAWA(アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動)とコルディリェラ民族連合(CPA)の農民、砂金採取者、先住民族ら400人以上が集まってフォーラムを開催。悪名高いサンロケダムの撤去と何千人もの農民、砂金採取者らに対する正当な補償を呼びかける抗議活動を行なう。マニラでも、タガログ南部地方から、1万家族が移転を迫られることになるライバンダムの建設の影響を受ける約300人の先住民族と農民が集まり、アジア開発銀行(ADB)の事務所前で、この破壊的な事業に融資をしないよう呼びかける抗議デモを準備している。同様に、9,000家族の移転を伴うことになるプランギ第5ダムの建設に反対する抗議集会のため、ブキドゥノン州キバウェには様々な関連セクターから100人以上が集まることになっている。このフィリピンの抗議活動は、東・東南アジア河川ウォッチ(RWESA)・フィリピンのネットワークによってコーディネートされている。

3月14日は、1997年3月にブラジルで開催されたダム影響住民国際会議で、ダムに反対し、河川と人々のために行動する日として宣言された日である。以降、巨大ダムに反対する国際的な活動は強くなっており、数々のNGOとともに影響を受ける地域住民の連携も強まってきている。このアクション・デーは、30カ国以上から何千人ものダム影響住民およびNGOが参加する日となっている。

抗議活動に参加した人々はまた、フィリピン政府に対し、世界ダム委員会(WCD)が開発への権利ベース・アプローチに基づいて示したガイドラインを採用し、実施するよう要求している。世界ダム委員会は独立レポートの中で、巨大ダムが有効な開発ではなく、4,000〜8,000万人の移転を引き起こし、さらに何百人もの下流の地域住民に悪影響を及ぼしてきたと主張している。また、世界にある45,000の巨大ダムが世界の河川の60%を破壊し、損害を与えた。報告書はまた、巨大ダムの建設が汚職、特恵政治家、政府、ダム建設者、そして世界銀行のような融資者によって台無しにされているにも関わらず、巨大ダムの途方もない悪影響に対して彼らが説明責任を果たしてこなかったと明言している。他方で、水供給や灌漑、洪水制御といった利益面での目標レベルは達成されてこなかった。

RWESAのファシリテーターで、コルディリェラ民族連合(CPA)代表でもあるジョアン・カーリング氏は、「先進国での巨大ダム建設の時代は現在、終わりに近づいており、河川の損害を回復するためのダムの撤去がアメリカやヨーロッパで始められている。しかし、巨大ダム建設は世界銀行の奨励によって、フィリピンなどの発展途上国では続けられており、主な汚職源になることが明らかな海外からの巨額の投資が予測される一方で、そうした投資家やダム建設者は投資の回復と特大の利益が保証されている。エネルギー開発や水供給管理のための持続可能な代替案の開発、奨励がより普及し、より国際的な支持を得てきている。」と結んだ。


プレス・ステートメントに関する追加情報:

サンロケダム事業について

サンロケダムの建設によって660世帯が移転を迫られ、パンガシナン州の1万人以上の砂金採取者らが経済的に影響を受けた。一方、約2万人のベンゲット州イトゴン町の先住民族が、上流にたまってくる土砂堆積のため、ダムの運用による悪影響を受けることになる。2004年8月には、パンガシナン州の38の町とヌエバ・エシハ州、ターラック州の一部がサンロケダムの放水によって、ひどい洪水に見舞われた。おおよその農業被害額は1億1,700万ペソ以上にのぼり、漁業被害額も1億4,800万ペソにのぼった。サンロケダムは国際協力銀行(JBIC)によって融資され、現在は100%日本企業が出資しているサンロケパワー社(SRPC)によって建設、運用されている。

また、345メガワットという目的に比して、平均85メガワットの発電しか行なわれていないにもかかわらず、フィリピン電力公社(NPC)は、同事業の例外的な契約にしたがって、月にほぼ1,000万米ドルの額をSRPCに支払っている。サンロケダムの総事業費は12億ドルで、うち4億ドルはJBICからフィリピン政府への融資、また、5億ドルはJBICと日本の民間銀行からSRPCへの融資で、後者にはフィリピン政府の保証が付けられている。同事業は明らかに、開発というよりも、損害、貧困、財政的負担を招いている。フィリピン政府はこれ以上の災害を防ぐために、同事業の契約を破棄し、SRPCへの支払いを止め、この高くつき無用な、かつ破壊的なダムを撤去するべきである。


※RWESA-Philsの国際反ダム・アクションデーに合わせた一連の活動の情報

> FoEJ 現地レポート 「RWESA-フィリピンの国際反ダム・アクション・デー」(2005年4月2日)

> RWESA-Philippinesのプレス・リリース(2005年3月10日)

> サンロケダムの問題に取り組む地元団体 TIMMAWAのポジション・ペーパー (2005年3月10日)

> ボホール灌漑ダムの問題に取り組む地元住民のプレス・ステートメント (2005年3月8日)

> サウグダムの問題に取り組む地元団体の共同要請書 (2005年3月10日)

> RWESA-Philippinesの活動に関連した記事 (2005年3月12日Today紙)

> RWESA-PhilippinesからJBICマニラ事務所へのレター(2005年3月15日)
   「JBICの融資する巨大ダム事業に関する会合の遺憾な取り消しについて」

> サンロケの地元住民が反ダムアクションデーに行なった活動の関連記事 (2005年3月17日Sunstar紙)

※個別のダム事業に関する情報

> サンロケ多目的ダム事業

> ボホール灌漑ダム事業

> サウグ川多目的ダム事業

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