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カマンガアン再定住地の売却された家。再々定住する人々が増えている(2003年3月)
カマンガアン再定住地近くの使われていない豚小屋。事業者の生計手段創出プログラムのひとつとして行なわれる予定だが、小屋ができて半年以上、放置されている。(2002年12月) |
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●残されている問題
サンロケダムの建設現場周辺や下流(パンガシナン州)では、農地や砂金採取の喪失により、現金収入の手段を奪われた人々が、適切な補償措置を受けていないため、生活が苦しくなってきています。
たとえば、事業者の用意した再定住地では、水・電気代を払えなくなったために再定住地を離れ「再々定住」する人々や、家での水道の利用を控える、あるいは、水を止められる家庭も出てきています。また、学校に通えない子供たちの数も確実に増加の傾向にあります。
事業者の生計手段創出プログラムも、有効な生計手段を人々に提供できておらず、このような状況のなか、生活難をしのぐために炭づくりや刈り残しの稲やコーンを拾って生計の足しにする人々が出てきている状況です。
また、サンロケダム上流(ベンゲット州イトゴン町)では、事業の承認と引き換えに提示していた、同町で暮らす先住民族の人権の保護や川の土砂堆積の防止など、社会・環境対策を含む17つの条件が満たされていないことから、この3月、サンロケダム事業の承認を撤回する決議の採択を行なっています。
これは、土砂堆積への対応策として事業者が進めている集水域管理計画への疑問だけでなく、(関連自治体の承認を事業推進の要件とする)地方自治法の違反という法的な問題も含んでいます。 |
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