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サンロケダム
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「サンロケダム 商業運転を開始」 (2003.05.02)
2003年5月2日


フィリピン・サンロケダム 商業運転を開始

住民の生活難は色濃く

日本の事業者・融資者に残された重い責任
 5月2日(金)、日本の企業(丸紅、関西電力)と国際協力銀行が推し進めてきたサンロケ多目的ダム事業の発電部門で商業運転のもとでの発電が開始されました。

 1998年に事業が着工して以来、すでに5年近くが経ちますが、その間、問題に苦しむ現地の住民は事業への反対の声をあげ続けてきました。現在も、住民らは「サンロケダムの発電部門における商業運転の中止」と「問題の解決」を事業者に求めつづけています。

 これまで、問題の解決が図られないままに、事業のみが進んできてしまいましたが、事業者と融資者は、これ以上、住民の生活難が続かないよう、また、事業による被害が拡大しないよう、早急に住民の指摘する問題を解決する責任を負っています。
  サンロケダム
 <サンロケダム建設現場 全体図 (上空から)>
写真右下に見えるのは、ダムによって堰き止められてできたダム湖。ダムの下流から写真左へ伸びる砂地は、ダムの建築資材を掘り出した採石場の跡。(2002年12月 FoE Japan撮影)
再定住地
 カマンガアン再定住地の売却された家。再々定住する人々が増えている(2003年3月)

ブタ小屋
 カマンガアン再定住地近くの使われていない豚小屋。事業者の生計手段創出プログラムのひとつとして行なわれる予定だが、小屋ができて半年以上、放置されている。(2002年12月)
  ●残されている問題

  サンロケダムの建設現場周辺や下流(パンガシナン州)では、農地や砂金採取の喪失により、現金収入の手段を奪われた人々が、適切な補償措置を受けていないため、生活が苦しくなってきています。

 たとえば、事業者の用意した再定住地では、水・電気代を払えなくなったために再定住地を離れ「再々定住」する人々や、家での水道の利用を控える、あるいは、水を止められる家庭も出てきています。また、学校に通えない子供たちの数も確実に増加の傾向にあります。

  事業者の生計手段創出プログラムも、有効な生計手段を人々に提供できておらず、このような状況のなか、生活難をしのぐために炭づくりや刈り残しの稲やコーンを拾って生計の足しにする人々が出てきている状況です。

 また、サンロケダム上流(ベンゲット州イトゴン町)では、事業の承認と引き換えに提示していた、同町で暮らす先住民族の人権の保護や川の土砂堆積の防止など、社会・環境対策を含む17つの条件が満たされていないことから、この3月、サンロケダム事業の承認を撤回する決議の採択を行なっています。

 これは、土砂堆積への対応策として事業者が進めている集水域管理計画への疑問だけでなく、(関連自治体の承認を事業推進の要件とする)地方自治法の違反という法的な問題も含んでいます。
●電力購買契約をめぐる問題

 2日の発電は、サンロケパワー社の売電先となるフィリピン電力公社の発電指示に基づき行なわれたもの。事業者によれば、4月30日、発電機の試験運転技術審査が完了し、昨日5月1日よりフィリピン側の商業運転開始の許可が下りていたとのことです。これを受け、今月から、電力購買契約の内容に基づいた、サンロケパワー社への一定額の支払い義務がフィリピン電力公社に課されることになります。

  サンロケパワー社とフィリピン電力公社との間で結ばれた電力購買契約(1997年)については、「サンロケパワー社が発電しない場合でも、フィリピン電力公社は不当に高い固定料金を維持管理費等として、25年間、サンロケパワー社に支払わなくてはならない(初めの12年間は最低でも毎月1000万ドル以上)」など、フィリピンにとって非常に不利な内容となっており、「結局は、電力の消費者であるフィリピン国民がこの支払いを負うことになる」との批判が、現地のNGOを中心に上げられてきました。フィリピン上院の委員会でも、2000年5月、「国家の経済発展に寄与するべきものであるにもかかわらず、外国企業の利益につながるものになっている」との決議が出されています。

  このような批判のなか、昨年、フィリピン政府によって設置された電力購買契約についての諮問委員会は、サンロケダムの同契約について、「財政的問題に加え法的問題」があると答申。「今後25年間、高い支払いを続けるよりも、現段階で、事業を買収してしまったほうが安く上がる」との報告も出されていました。エネルギー省と電力資産負債管理公社(PSALM)は、現在、この答申を受け、契約の見直しに乗り出しているところでした。

  5月2日、フィリピン主要各紙が一斉に伝えていたのは、この契約見直し交渉の決着についてでした。各紙の報道によれば、今回の見直しで、2億3800万ドルの支払い節減が達成されたとのことです。フィリピン政府側が5月の商業運転開始の許可に踏み切ったのも、この見直し交渉の終結を受けてのものと思われます。

 しかし、この契約の再交渉の成果2億3800万ドルは、今後、25年間の支払い義務と比して、どれほどの意味を持ち合わせているのか、慎重に分析・判断する必要があります。


 現地NGOからの声明文 (2003.05.06)
 「未解決の問題すべての解決を サンロケダムの商業運転を中止して!」

 https://FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/statement/20030506.html

 プレスリリース (2003.04.30)
 「サンロケダム 地元自治体が支持を撤回」

 https://FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/press/20030430.html
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