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ダム上流に位置するイトゴン町ダルピリップ村を流れるアグノ川。手前が上流側。写真奥で、アグノ川が右に直角に折れ曲がり(下写真)、川幅が急に狭くなっている。閉塞地点と呼ばれている(2003年3月)
ダルピリップ村タブ集落の閉塞地点。アグノ川が直角に折れ曲がり、川幅が狭くなっているため、地形的にも土砂堆積が懸念されている。(2003年3月)
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今年2月に行なわれたイトゴン町による最新の評価では、
@ダムの影響を受ける住民への生活再建計画が持続的な生計手段の確保に結びつくものではなく、一時的な対症療法にとどまっている、
A土砂堆積の防止策として事業者が掲げている集水域管理計画の予算確保がなされていない、
B貯水池のすぐ上流にある川の閉塞地点(川の両側の岩が張り出し、川幅が狭くなっているため、水流が極端に遅くなっている地点があり、土砂堆積などの点でも地形的に問題視されてきた。)の問題が解消されていない
――などの問題点が指摘されています。これを受けた今回の決議のなかでは、「17つの条件を事業者に示して以来、すでに4年以上が経過し、サンロケダムによる発電(商業運転)の開始を待つばかりのこの時点になっても、その条件が満たされていないことから、」事業者への深い失望感を示すとともに、「すべての関連主体および融資機関に対し、サンロケ多目的ダム事業の商業運転を認めないよう要求」しています。事業者の生計手段創出プログラムも、有効な生計手段を人々に提供できておらず、このような状況のなか、生活難をしのぐために炭づくりや刈り残しの稲やコーンを拾って生計の足しにする人々が出てきている状況です。
これに対し、サンロケダムへの融資を続けている日本の国際協力銀行(JBIC)は、「今回の決議文については、事業者の報告と違う内容のものなので、事業者にまず事実を確認する。」とコメントをしています。地元の新聞報道(2003年4月21日付サンスター紙)によれば、イトゴン町の17つの条件を遵守する責務を追求されている一連のフィリピン関連機関は、イトゴン町の決議に対して反論。「17つの条件を実質的に遵守しており、」「満たされていない条件についても、対応を継続していく」としています。 |
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