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会場となったバギオ市内サンタ・カタリーナ修道院には約300名が詰め掛けた
先住民族の訴えにコメントする特別調査官
オープニングには、コルディリェラ地方の伝統的な舞いも披露された |
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5日当日は約300人の参加者を前に、まず、サンロケダムの建設が始まる前、1995年からダムに反対しつづけているベンゲット州イトゴン町ダルピリップ村(サンロケダムの上流に位置する村)のイバロイ民族の代表2名が発言。サンロケダムの上流に1950、60年代に建設された2つのダムの経験から、
@貯水の開始・ダムの操業運転の開始(発電:2003年始めを予定)で起こることが懸念される土砂堆積などにより、自分たちの村が埋まり、独自の文化が壊されるのではないか
A立ち退きを余儀なくされた場合に、自分たちの先祖代々受け継いできた土地が公共地とみなされ、補償がもらえないのではないか
B事業者が補償を約束したとしても、支払われないのではないか
との危惧を抱いていることを訴えました。そして、長年、ダムに反対の声をあげ続けてきた中で、自分たちに対するコンサルテーションが行なわれなったり、警察などからハラスメントを受けるなど、自分たちの人権が侵害されてきたことを報告。特別調査官と会場の聴衆に、自分たちの権利をサポートしてくれるよう呼びかけました。
続けて、地元のNGOは、先住民族が懸念する土砂堆積の影響が約50kuにまでおよび、先住民族約500世帯が影響を受けるだろうと報告。また、フィリピンの国内法『先住民族権利法』が事業者に求めている「先住民族による事前の合意」がなかったことから、同ダムの建設が国内法に違反していることを指摘しました。そして最後に、勧告として、
@サンロケダムの操業運転の中止
A洪水掃きゲートの開門
B移住世帯の特定
――の3点を特別調査官に提案しました。
以上の報告を受け、特別調査官は自分が50年前に携わった多目的ダム事業について言及。先住民族の「事前の合意」がないまま、ダムの貯水開始間際になって、彼らとの立ち退き交渉を自分が任せられ、大変な困難に直面したという経験を語りました。そして50年経った昨年、その先住民族が移転し、新しく生活を始めた地域社会を訪れたところ、そこにまだ電気が通っておらず、補償も未払いであるという状況を目の当たりにしたとのことでした。特別調査官はこの事例から、サンロケダムの問題を非常に身近に感じるとコメント。フィリピン政府の目と耳を開かせるためにも、彼らが懸念を訴え続けることが重要であると述べました。
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