COP24カトヴィチェ会議~抑圧された市民社会の声
公平性に欠けるパリ協定の実施指針、気候変動への行動強化にも繋がらず

気候変動

12月2日、ポーランド・カトヴィチェにて国連気候変動枠組条約締約国会議 (COP24) が開幕しました。この会合では、パリ協定の実施指針 (ルールブック) の採択が目指され、また、同年10月に提出された IPCC (国連気候変動に関する政府間パネル)による1.5 ℃目標に関する特別報告書がパリ協定の実施指針に反映されるかも大きな注目点の一つでした。

COP24 カトヴィチェ会議 – 公平性の担保と今すぐの行動強化を!
 https://foejapan.wordpress.com/2018/12/03/cop24/

COP24 期間中、 FoE Japan は FoE International のメンバーとして交渉の動向を追いながら、気候変動問題に対する市民社会としての声を発信。石炭をはじめとする化石燃料、原発、メガソーラー等、環境負荷が大きく、気候変動を加速させるエネルギーから、利益ではなく社会や人々を中心に据えたエネルギーシステムへの転換を求めるレポートを発表し、公式サイドイベントも行いました。

サイドイベント報告: Reclaiming Power ~化石燃料からのフェーズアウトを目指して~
 https://foejapan.wordpress.com/2018/12/06/cop24_20181204/

そのほかにも、先進国が気候変動へどれだけ影響を及ぼしてきたかという歴史的責任を鑑み、各国がどれだけ温室効果ガスの削減責任を負うべきなのかを計算したレポート「パリ協定以降‐格差、公平な分担、気候危機」(以下、市民社会レビュー)が発表されました。
市民社会レビューによると、先進国や一部の新興国は、途上国における削減を支援しない限り、削減量における「公平な分担」を全うすることができません。また、国際的なレベルでの国家間の公平性を求める一方、気候変動対策のために必要な社会変革のあり方として、貧困層や化石燃料企業の労働者などが必要以上にコストを支払うことなく、むしろ貧困層や労働者、脆弱なコミュニティがトレーニングや社会的保護を得られる形で変革を起こしていくべきだと結論づけています。

12/8:気候変動における汚染者負担の原則「フェアシェア(公平な分担)」を考える
 https://foejapan.wordpress.com/2018/12/08/cop24-2/

とはいえ、COP24の会場で市民社会の声が十分に発せられたわけではありません。COP24に参加する市民団体のメンバーらが国境で強制送還されたり、カトヴィチェのホテル滞在中に突然拘束され強制送還されたりする事例が報告されました。
強制送還や拘束の理由は不明です。入国拒否をされた人の中には、過去に何度もCOPに参加したことがあるNGOスタッフや、政府代表団の一員としてCOPに参加する予定だったNGOスタッフも入っているとのことでした。

COP24 二週目突入 – 交渉の行方と抑圧される市民社会
 https://foejapan.wordpress.com/2018/12/10/cop24-3/

しかし、市民団体への締め付けが厳しい中においても、日本の化石燃料融資に対する批判の声が、2017年のCOP23同様、今回のCOP24の会場内に響き渡りました。
この一年間、気候変動の影響を受ける途上国の市民社会は期待をもって見守っていたはずです。しかし残念ながら、日本は世界の期待に応えるようには進んでいません。パリ協定の温度目標達成のためには今世紀後半の脱炭素化が必要であるため、石炭だけでなくその他の化石燃料からの脱却も加速する必要があります。今方向転換できなければ、今後ますます孤立の道を歩むことになりかねません。

サヨナラCoal! – 気候変動に脅かされる途上国市民社会からの声
 https://foejapan.wordpress.com/2018/12/13/cop24-4/

そして、12月2日から開催されていた第24回気候変動枠組条約締約国会議(COP24)は、予定していたよりも1日遅い15日に終了しました。
一点目の主要点であるルールブックにおいては、残念ながら先進国の気候変動への歴史的責任はほぼ削られる結果となり、また、二点目の各国の気候変動への国別目標(NDC)の強化についても、COP24の決定文の中には1.5度特別報告を直接歓迎することができず、各国のNDCの強化は「2020年までにNDCを強化して再提出する」という、これまでの決定文にも含まれていた表現が含まれるのみにとどまりました。

COP24閉幕 – 公平性に欠けるパリ協定の実施指針、気候変動への行動強化にも繋がらず
 https://foejapan.wordpress.com/2018/12/17/cop24-5/

公平性や途上国の視点からは、今回のCOP24の結果は非常に残念な結果だったと言わざるを得ません。
COP会場では石油会社や原発企業による石炭推進、原発推進のイベントの開催が許される一方、市民団体への監視や締め付けは厳しいものでした。
今後さらに重要になってくるのは、各国での取り組み、とくに先進国による国内での温室効果ガスの大幅な削減などの取り組みの強化と、途上国への支援強化です。また、化石燃料プロジェクトや間違った気候変動対策に対する草の根の取り組みもとても重要です。

FoE Japanは、これからも公平性の観点を重視した提言活動、実際に気候変動を加速させている化石燃料プロジェクトに対する草の根の取り組みに尽力していきます。

 

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