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2002年3月 スタディツアー報告 ―3月21日
サンロケダムの建設現場と貯水予定地の村へ (Written by Tさん、24歳)


 3月21日、バン3台に分乗して向かった先は、ツアーの最大の目的地である、サンロケ・ダムの建設現場だ。まず、サンロケ・パワー社の事務所でダムに関するレクチャーを受け、質疑応答が行われた。アメリカではすでに、ダム建設は環境に悪影響を及ぼす事業として認識されているにもかかわらず、なぜフィリピンでは大丈夫と言えるのか、というアメリカ人からの質問に対して、フィリピンでは経済状況が違うから、との答が返ってきた。問題を問題と感じる視点がそもそも違うのだという感じがした。

 その後、丸紅と関西電力の方の説明を受けながら、実際に建設中のダムを見学した。切り開いた山の中にあるコンクリートの建造物。すでに80%の工事は済んでいるとのことだった。説明ではダム建設の目的である灌漑や洪水対策は、人々に富をもたらし日々の暮らしを豊かにする、と言っていた。それが事実であるかどうかは別としても、では現時点できちんと補償を受けていない人達の暮らしはどうなのか、いつになったら豊かになるのか、豊かになる補償はあるのだろうか。疑問は拭い去れない。

 そして、次に被害地域の村を訪れた。サンロケ・ダムの工事現場から、山道を2時間ほど歩いたところにあるボランギットという村だ。村までの道は整備されておらず、非常に急峻な坂を登ったり下ったりと険しい道のりだった。土に足が埋まりながら、ひたすら歩いていると山間に広がる水田が見えてきた。山の下に広がる水田は夕陽に照らされており、濃い緑色の稲が原始的でまた神秘的に見えた。まるで秘境の村を発見したような気分だった。けれどこの村は、7月からの貯水で沈んでしまうことになっている。

 村にはたくさんの子どもたちがいた。私たちがカメラを向けると照れたり、恥ずかしがったりしながらも、明るい笑顔を返してくれた。夕食後、村人達と開いたミーティングで、まだ立ち退きしていないのに、勝手に家を焼かれたという話に衝撃を受けた。村人の中には政府の用意した再定住地に移り住むことを拒み、近くで今と同じような生活を営むための準備をしている人たちがいた。自分たちの暮らしを大切にしたいという強い思いに感動。

 その夜は村人の家でみんなで雑魚寝した。久しぶりに山歩きをしたせいか、思いのほかぐっすり眠ることができた。


3月20日 > 3月21日 > 3月22日
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