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プレスリリース
「JBIC融資の最終拠出は止めて!」住民が日本政府へ要望 (2005.01.28) |
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国際協力銀行(JBIC)の融資でフィリピンに建設されたアジア最大級のダム、サンロケダム。1月27日、この巨大事業への最終的な融資の拠出を止めるよう求める要望書が地元の農民団体から日本の財務省、JBIC、また、在フィリピン日本大使館に提出されました。
サンロケ多目的事業はサンロケパワー社(SRPC:丸紅、関西電力および米サイス・エナジーの出資する現地の合弁企業)がフィリピン電力公社(NPC)とともに98年から建設を開始。総工費約1200億円のうち、SRPCと約500億円(98年)、また、NPCと約400億円(99年)の融資契約をJBICが結んでいます(SRPCへの融資は民間銀行との協調融資)。
これまで、ダム建設の反対、あるいは、影響住民に対する適切な補償措置を求める地元からの声が継続的にあげられてきたにもかかわらず、事業は継続され、JBICからの融資拠出も事業の進捗に伴い続けられてきました。そして、2003年5月、ダムおよび発電所が完成し、商業発電が開始されました。
今回の日本政府への要請は、同事業への最後の融資拠出となるJBICからNPCへの融資400億円のうち未払い分の10%全額が、今月中にも出される見込みであることを受けたもので、地元の農民団体TIMMAWA(アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動)が、「融資の拠出には反対。もし融資の拠出をするのであれば、事業へ振り向ける代わりに、自分たちの破壊された生活環境の改善、また、ダムの撤去に充てるべきだ。」と訴えています。
JBICは99年にNPCへの融資を決定した際、地元での社会環境問題が未解決であったことから、以下のような条件を事業者に提示しました。
(1)水没地域での移転対象世帯数の確認と同意取得
(2)プロジェクトから影響を受ける移転対象世帯以外の住民(含む先住民)とのコンサルテーション・対象住民数確定調査の実施
(3)先住民への十分な配慮を含むこれらプロジェクトから影響を受ける全対象住民に対する対策の策定
(4)自然および社会環境問題に対するモニタリング体制の構築
しかし、現在も、
(1)補償の未支払い、あるいは、事業において優先的に雇用されていないなど、影響住民に対する補償の約束が守られていない
(2)生計手段を失った砂金採取者への補償交渉は現在も継続中で、対象人数も補償内容も確定していない
(3)適切な補償措置、あるいは、持続可能な代替の生計手段を提供できていないため、影響住民の生活状況が以前のレベルにまで回復できていない
(4)今後起こることが予測されるダム湖およびその上流への土砂堆積や、ダムからの放水とダム下流への洪水被害の関連性など、さまざまな社会環境問題に対するモニタリング体制が明らかにされていない
など、融資拠出の条件は満たされていないのが現状です。
JBICは、前提条件が満たされていない以上、残りの10%の融資拠出を行なうべきではありません。また、事業の完成後であっても、責任をもって地元の社会環境問題の解決に向けて取り組むことが求められます。
地元 農民団体TIMMAWAから日本政府に対する要望書 (2005.01.27)
「JBICのサンロケダムへの融資拠出を求めるNPCの要請に関するポジション・ペーパー」
https://FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/letter/20050127.html
地元 住民・農民団体の声明文 (2005.01.31)
「サンロケダム事業への残りの融資の拠出について、NPCおよびJBICに反対し、強く非難する!」
https://FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/statement/20050131.html
FoE Japanから日本政府に対する意見書 (2005.01.31)
「フィリピンのサンロケ多目的ダム事業および関連事業に関する意見表明」
https://FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/pdf/20050131.pdf
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