ミンダナオ石炭火力発電事業に反対する住民運動(People's CAMP)は日本の衆議院議員である宇佐美登氏の訪問を受ける。
これは、ミサミス・オリエンタル州の住民が道義に基づき反対したにもかかわらず、住民らに押し付けられているミンダナオ石炭火力発電所に(継続して)反対してきた人々の努力の賜物である。同事業への反対は、広範にわたる多数のセクターの連合体によって示されてきた。
同事業に対する人々の反対の根拠は以下のとおりである。
・ 同事業は、ミサミス・オリエンタル州の環境、および、同事業の近隣地域に暮らす住民の健康に深刻な損害を及ぼす
・ 同事業は、住民に対する十分なコンサルテーションを行なうことなしに概念化され、承認された
・ 同事業は、国家経済開発庁(NEDA)が行なった事業の再調査の中で明らかにされているように、財政的にも経済的にも実行可能でない
・ 化石燃料の中でも最も汚染をもたらす石炭は、地球温暖化や気候変動の現象を引き起こしている主要な原因である
私たちは、この機会に、日本の国際協力銀行(JBIC)を通じて行なわれる、3億ドルの事業への財政的支援から手を引くよう日本政府に求める。
JBICの環境社会ガイドラインに沿った形で住民が反対の意を示したにもかかわらず、住民の反対、および、確実な根拠の基に住民が取り上げた事業の問題点を同銀行が配慮しなかった事実を、私たちは強く非難する。
私たちはまた、この機会に、石炭およびその他の化石燃料の使用の中止を求める世界的な叫びが現在あり、先進国が自国内での自然エネルギー促進を行なっている一方で、汚染をもたらす燃料に基づいた発電所の輸出を先進国が強化しているというダブル・スタンダードが広まっていることを指摘したい。
ミンダナオ石炭火力発電所には最先端の汚染緩和装置を利用するとする事業者の主張は、とんだ茶番狂言だ。FoE Japanが行なった、ミンダナオ石炭火力発電所と日本の3つの石炭火力発電所における排出予測に関する比較研究は、ミンダナオ石炭火力発電事業が日本の発電所よりもまったく汚染対策が進んでいないことを明らかにしている。
このことは、ミンダナオ石炭火力発電事業が技術的に可能な最善の公害対策を施していないことを示している。
ミンダナオ石炭火力発電所の(排出する)硫黄酸化物(SOx)は日本の愛知県にある石炭火力発電所・碧南1号機に比べ5倍、窒素酸化物(NOx)では8倍高くなっている。また、全浮遊上物質(TSM)は5倍高くなっている。ミンダナオ石炭火力発電事業は、かなり前となる1970年に建てられた福島県の石炭火力発電所・勿来7号機よりも汚染対策の面で劣っている。
つまり、ミンダナオにもたらされる技術が、ガラクタであることを証明している。
>現地グループによるプレスリリース(2004.08.17)
>FoE Japanによる現地レポート
(2004.08.30)
>ビジネス・ワールド記事 「石炭火力発電所 環境面での安全性に疑問」(2004.08.27)
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