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ミンダナオ石炭火力発電所
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ビジネス・ワールド 記事 (2004.08.27)
2004年8月27日


石炭火力発電所 環境面での安全性に疑問

特派員Ellen P. Red署名記事


日本の技術専門家は、同事業(訳者注:ミンダナオ石炭火力発電事業)の環境計画が最新の石炭火力発電所に備わる基準に達していないことに特に言及した。

カガヤン・デ・オロ市の電力消費者は、ヴィラヌエヴァ町の近くの石炭火力発電事業(訳者注:正式名称はミンダナオ石炭火力発電事業)によって、来年にも起こることが予測されている供給不測が緩和されることを期待している。

しかしながら、地元と海外の環境保護主義者らは、同事業により、生態系が大きな危険にさらされるだろうと主張した。

日本の技術専門家は、同事業の環境計画が最新の石炭火力発電所に備わる基準に達していないことに特に言及した。

Friends of the Earth Japan(訳者注:日本語での正式名称はFoE Japan)が行なった予測排出量に関する同石炭火力発電所と日本の石炭発電所3基との比較調査では、同事業の公害対策に、技術的に可能な最善の装置が用いられていないことが特筆されている。

その調査によれば、日本の愛知県にある碧南発電所1号機と比較して、同石炭火力発電所は5倍の硫黄酸化物を排出するということだ。

碧南発電所1号機は日本でもっとも公害対策が進んでいる。調査はさらに、同発電所が碧南発電所1号機に比べ、約8倍の窒素酸化物を排出すると予測している。

ミンダナオ石炭火力発電事業は、1970年代に建設された日本の福島県にある勿来発電所7号機よりもさらに公害対策が遅れていると、Friends of the Earth Japanは言った。

環境問題の監視を続けるグリーンピースは、別のレポートで、(一般に)石炭火力発電所は汚染された危険な発電源であると書いている。

「極めて汚染されていることに加え、石炭の燃焼は、地球温暖化を引き起こす主要な温室効果ガスである二酸化炭素の大量排出を伴う工業プロセスである。」

2001年8月、グリーンピースは石炭火力発電所の水銀排出量に関する詳細なレポートを出した。

レポートの根拠となるデータは、バタンガス州のカラカ石炭火力発電所(600メガワット)が排出した煤塵のサンプルから得られたものだ。

グリーンピースが民間の試験所で検査した少なくとも4つの煤塵のサンプルから、水銀が検出された。

グリーンピースは、水銀について、たった茶さじ70分の1の量で10.11ヘクタールの湖を汚染してしまい、その湖で捕られる魚は人間の消費用としては不適切なものになってしまうほど神経系に影響を及ぼす有毒物質である、と主張した。

ミンダナオ石炭火力発電事業に反対する住民運動(訳者注:People's CAMP)のスポークスパーソンであるKim Gargar氏は、「排出ガスとその他の有毒廃棄物が人間の健康にもたらす危険性を考えるだけで、この何百万ドルもの事業を投げ出すのに十分な理由だ。」と述べた。

Gargar氏は、同石炭火力発電所の操業によって、マカハラー湾の生物多様性が脅威にさらされることとなり、温排水や化学物質による水質汚染によって、魚類、海藻類、サンゴ類が影響を受けるだろうと述べた。


不足への対処

地域計画の役人は、2006年までにミンダナオで電力の供給不足が起きるとするフィリピン電力公社(Napocor)の予測に、同事業が対処することが想定されている、と述べた。

この発電計画は、フィリピン・エネルギー省による電力計画(2002〜2011年)の中の一事業となっている。

同事業は、地方自治体レベルの議会、地方開発評議会(RDC)、フィリピン国家経済開発庁、また、フィリピン環境天然資源省(DENR)の承認を受けた事業だ。

同石炭火力発電事所は、ミサミス・オリエンタル州ヴィラヌエヴァ町にあるフィビデック工業団地内の55ヘクタールの敷地に建設される。

同事業は、BOT(Build-Operate-Transfer)方式で実施される。つまり、フィリピン電力公社は、電力売買契約の下、25年の提携期間中、保証された発電容量の水準で、事業者が発電する電気を購入する。そして、25年後、発電所の所有権は無償でフィリピン電力公社に譲渡されることになる。

国家電力開発会社(SPDC)の子会社である国家投資信用会社(SITI)が、この石炭火力発電所(200メガワット)の建設および25年の操業権を落札した。

(事業を推進する)会社は、SPDCと石炭火力発電所の部門で長年の経験を持つドイツ企業Steagの合弁会社である。

ミサミス・オリエンタル州評議会に提出された書類に基づけば、事業者は同発電所に最先端の汚染緩和措置を施すと主張している。

事業者は、「効果的に排出濃度を削減し、規定値を満たすため」、同発電所では、低硫黄・低灰炭を利用し、脱硫装置、フィルター集塵システム、また、廃棄物処理場を設置する、と述べた。

脱硫装置は石炭の燃焼で排出される硫黄酸化物を削減すると言われており、一方、フィルター集塵システムは排出ガスから微粒子状物質を分離するとされている。

事業者は、排出規制にしたがい、ボイラー部、消化部、フィルター排水部からの廃水は一時的に保管するために、予備集水域に排出されることになると言っている。

「化合物を含む廃水の水質は、すべての排出物がDENRの基準を満たすことが保障されるよう、最高の技術を利用して敷地内で分析にかけ、処理する。」と事業者は述べた。「冷水システムが排出する温排水は海洋に排出されることになる。」

事業者の提出した環境影響評価書やその他の書類で明らかにされているように、同事業の見積額は3億ドルである。

地方開発評議会(RDC)第10地方支局インフラストラクチャー/公益事業開発委員会の技術事務局は、2002年6月17日付のレポートの中で、3億ドルのうち25パーセントは事業者の普通株、75パーセントが日本の国際協力銀行およびドイツの公的輸出信用機関であるKfW(ドイツ復興金融公庫)の融資で賄われる、と記述している。

これまで、二つの銀行からの融資は承認されているものの、拠出はされておらず、同発電所(自体の)の建設もまだ始まっていない。

一方、日本の国会議員である宇佐美登氏は最近、同発電所に関連した問題の調査を行なった。

記者会見の場で宇佐美氏は、同事業の3億ドルのうち1億1,000万ドルを融資する国際協力銀行に対して、日本政府は財務省を通じて監督権を有していると述べた。

宇佐美氏は、同事業の調査結果は、国会の場での綿密な調査のために提出されると述べた。


現地グループによるプレスリリース (2004.08.17)

現地グループによる声明文(2004.08.17)

FoE Japan 現地レポート(2004.08.30)
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