【プレスリリース】日本でバナナ販売量No.1のスミフル(住商系)フィリピンの農園・工場で深刻な人権侵害と違法雇用~適切な対応を求め、NGOが企業に要請書提出~

日本に輸入されるバナナの一大拠点であるフィリピン・ミンダナオ島コンポステラ・バレー州の日系企業スミフルフィリピン(以下、スミフル(※))が経営する農園・梱包工場で、正規雇用や団体交渉権等を求めている労働者への深刻な人権侵害(殺傷を含む銃撃、放火等を含む)が続いている件に関し、2月22日、日本のNGO 9団体が住友商事株式会社(以下、住商)および株式会社スミフルジャパンに対し、要請書を提出。現地での問題を放置することなく、人権侵害の真相究明と再発防止策の徹底、また、労働者の正規雇用化と団体交渉の実現を早急に行なうよう求めました。

しかし、1週間が経った現在も、後段にあるとおり、スミフルは労働者との交渉を拒否し続けています。『国連 ビジネスと人権に関する指導原則』や『経済協力開発機構(OECD)多国籍企業行動指針』、ESG投資などの下、企業の責任ある投資が国際的にも益々求められてきているなか、住商など日系企業の人権に対する姿勢が問われています。

■要請書の全文はこちらでご覧下さい。

スミフルは、フィリピン最高裁判所も直接の労使関係を認めた労働組合(NAMASUFA)との団体交渉を拒否してきました。同労働組合は、2018年10月1日からストライキを決行(少なくとも700名以上が参加)。しかし、その前後から抗議する労働者に対し、以下のような銃撃事件・放火・暴力行為などが相次いで起きています。

  • 2018年10月11日 軍・警察・スト破りの労働者らが、ストライキでピケを張る労働者を暴力的に鎮圧。17名以上が負傷。
  • 2018年10月31日 ストにも参加してきた組合員の一人Danny Boy Bautista氏が、18時頃、地元の市場近くで所属不明の男2名に銃撃され、死亡。
  • 2018年11月11日 ストにも参加してきた組合員の一人Jerry Alicante氏が、自宅前で所属不明の男2名から銃弾2発を受けて、負傷。
  • 2018年12月15日 組合代表のPaul John Dizon氏および元代表のVicente Barrios氏の両自宅、また、組合事務所が放火により全焼。

(詳細は写真と合わせ、こちらの緊急報告をご覧下さい)

こうした事件について、会社側は関与を一切認めていないものの、現地住民や現地メディアによれば、現在、戒厳令下にあるミンダナオ島での軍や警察による組合員を狙った弾圧であるという見方が強いとされています。また、国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルも2019年1月21日付の緊急行動(Urgent Action)で同問題をとりあげています。

<現状>
現在、戒厳令下のミンダナオ島で声をあげることが厳しい現状を受け、労働者ら約200名が2018年11月末から首都マニラに遠征。野外キャンプで生活を続けながら、フィリピン大統領府、労働雇用省(DOLE)、スミフル、日本大使館前などで問題の解決を訴えていますが、依然、労働者の正規雇用化や団体交渉は実現していません。

また、2019年1月30日付けでDOLEの国家労使関係委員会が発表した決定通知(労働者側のストの違法性を指摘するも、スト参加者に対するスミフル側の懲戒解雇は不当)を基に、労働組合側はDOLEの仲介によるスミフル側との交渉を希望していますが、2月27日にDOLEが組合側に伝えたところによれば、スミフルは交渉を拒否しているとのことで、問題のさらなる長期化が懸念されます。  

▼本件の問題の概要や詳細な経緯等はこちらでご覧下さい。
エシカルバナナキャンペーン・特設ウェブサイト

【本件に関するお問合せ先】
国際環境NGO FoE Japan
TEL:03-6909-5983  Fax:03-6909-5986

※スミフルとは
スミフルフィリピンは、住友商事が展開するバナナブランド「スミフル」を提供するサプライヤのフィリピン法人で、スミフルシンガポールの100%子会社。そのスミフルシンガポールはオランダに本社を置く住友商事系列の持ち株会社Summit Global Management II BV が49%所有。スミフルジャパンも、スミフルシンガポールの100%子会社。  

 

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