【緊急要請】ベトナム・ギソン2石炭火力発電事業により漁船が強制立退き漁民の生計手段に影響
日本の公的金融機関である国際協力銀行(以下、JBIC)が、2018年4月13日に融資決定を発表している、ベトナム・ギソン2石炭火力発電所事業(タインホア省ギソン地区。超臨界圧。600MW×2基)に関し、現地から漁船の強制立ち退きが発生しているという情報をうけ、緊急要請書を提出しました。
国際協力銀行 代表取締役総裁 近藤 章 様
【緊急要請】ベトナム・ギソン2石炭火力発電事業に係る漁船の強制立退き、および、漁民の生計手段への影響について
メコン・ウォッチ
国際環境NGO FoE Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
貴行が今年4月13日に融資契約を締結したベトナム・ギソン2石炭火力発電事業について、現地から日本のNGOに対し、以下のとおり、漁船の強制立退きが差し迫っている状況との情報が入ってきております。
- 事業予定地のHai Haコミューンでは、住民が先祖代々利用してきた小型漁船の停泊地があり、現在も数百隻が利用している。
- 2017年11月頃、当該地で土砂搬入トラックが往来を始め、一部の漁船が撤去されたことなどから、住民は何らかの工事に伴い漁船撤去が行なわれることを初めて知ったとされる。それ以来、昼夜を通して毎日、大勢の住民が停泊地に留まり、漁船が撤去されないよう監視を続けている。
- 2018年5月のHai Haコミューンによる住民への通知(添付)によれば、Tinh Gia District人民委員会が2018年5月9日付で、ギソン2発電所のために緊急撤去通知を発出しており、漁船を異なる停泊地へ移動するよう、また、従わない場合は強制的に移動するとされている。その後も、住民には2018年5月31日までに移動しない場合、強制的に移動させるとの説明がなされている。
- 移動を指定された停泊地は、漁獲物の荷揚げに不便で、また、停泊地としての自然条件が劣悪(強風等により漁船が破損する恐れもある)等の理由から、多くの住民は合意できないとし、漁船の移動を拒否。現在の停泊地に留まり続けている。
- この間、漁民は停泊地からの撤去を恐れ、漁に出ることができておらず、生計手段への影響が生じている。
こうした状況は、「非自発的住民移転及び生計手段の喪失」にあたって、「対象者との合意」や「以前の生活水準や収入機会、生産水準において改善または少なくとも回復」、「対策の立案、実施、モニタリングには、影響を受ける人々やコミュニティーの適切な参加」等を規定する『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』(以下、ガイドライン)に明らかに違反しています。したがって、私たちは、貴行が融資契約に基づき、同事業に対する現時点での貸付実行を停止すべきと考えます。また、現在差し迫っている漁船の強制立退きに関して早急に事業者に事実確認を行なうとともに、ガイドラインに基づく適切な参加や住民協議を求めるべきです。
なお、本件に関する事業者への事実関係の確認等に際しては、当該漁民等に対する当局からの嫌がらせなど人権侵害が起きぬよう、貴行として十分かつ適切な配慮をしていただけますよう宜しくお願い致します。
以上
Cc: 財務大臣 麻生 太郎 様
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