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ウデヘ-The Udege-
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ウデヘと森林伐採問題
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ウデヘと森林伐採問題
 森(タイガ)と共に生きるウデヘにとって、森は生活・
文化の根源です。ウデヘたちはなによりも森を大切にしてきました。逆に、ウデヘたちがいなくなると、森は荒廃して、森林伐採が進んでしまうのです。たとえばビキン川の南側に、ボルシャヤ・ウスルカ川(旧イマン川)が流れています。この川の中上流域には原生林が生い茂り、古くから多数のウデヘが暮していました。ところが、1960年代中頃、コルホーズの統廃合が進められると、原生林や農地からウデヘたちが締め出され、多数のウデヘが去ってしまいました。さらに70年代に水力発電ダムの建設計画が持ち上がり、ウデヘたちの暮らす集落が廃村となりました。すると、周辺で森林伐採が急速に進みました。その伐採をくいとめるものは何もなく、森は減少していきました。
 ビキン川の北側を東南に流れ、日本海に流入するサマルガ川流域にも、古くからウデヘたちが住んでいます。ここでも、旧ソヴィエト時代から森林伐採が
何回も計画されました。消費地である日本に近いか
らです。けれども、そのたびに地元住民による反対
運動が盛り上がり、伐採は中止に追い込まれました。





 
 伐採に反対して森(タイガ)を守る運動は、ビキン川のウデヘたちの間で最も高まりました。彼らの活動はロシア国外からも注目され、国際的支援が広範に集まりました。
 1990年代初頭、韓国「現代グループ」によって、ビキン川上流で伐採計画が進められました。伐採された材木は、日本の某社を通じ日本に輸出される予定でした。
 この計画を知ったビキン川のウデヘたちは、すぐさま地域住民とともに反対の声を上げました。地元の村では住民集会が開かれ、ビキン川流域は村議会の権限に属することとなって、土地に対する先住民族の権利が強化されました。沿海州などの地方議会でも、地元の意志を尊重する決議がなされました。ところが問題はこれだけでは終わりませんでした。







 

森林伐採を許可するのは地方政府で、ビキン川周辺の場合はロシア極東の沿海州政府にあたります。財政に苦しむ沿海州政府は、伐採を許可して「現代グループ」と合弁会社を作ることにより、手っ取り早く利潤や財源を確保できると考えていました。世界各地で進行している森林破壊と同様に、ここでも森林伐採は利権となっているのです。地元の意向や議会の決議を無視して、沿海州政府の知事は伐採を強行しようとしました。
 この動きに激怒したウデヘたちは、実力行使に打って出ました。猟師たちは銃を手に伐採予定地でピケを張りました。一方、老人たちは民族衣装に身を固めて、州政府の建物に押しかけました。ウデヘたちの行動は、地元住民だけでなくウラジオストクの人たち、コサック兵たち、さらには連邦政府の要人たちからも賛同を得ました。緊迫したウデヘの窮状は世界中に報じられ、シベリア先住民族への関心が高まるなかで、ウデヘたちを支援する輪が急速に広がっていきました。
 この紛争は裁判に持ち込まれました。結局、ロシア最高裁判所は、太古からの森が破壊され、先住民族の土地が侵されると判断して、伐採を認めませんでした。こうして、ウデヘたちは州政府に勝利し、森が守られたのです。








 現在、ビキン川流域の約三分の一が伝統的土地利用地区に認定されています。その地区では森林伐採が禁じられていて、いわば森林保護区になっています。けれどもウデヘたちは、伝統的土地利用地区をビキン川流域全体に拡大させるように要求しています。流域全体の森を守るためです。伝統的土地利用地区に指定されていない地域は、依然として伐採可能な場所となっています。特に上流域では、今でもしばしば森林の伐採計画が持ち上がります。
 森林伐採をめぐって紛争が起きる原因として、伐採にからんで大きな利権が動くこと、地元住民、特にウデヘたちに何の相談もなく、計画が立案されるなどの点が考えられます。狩猟民族であるウデヘは、太古から森とともに生きてきました。まさしく彼らは森の民なのです。今後森をどうするのか、その利用方法については、生活・文化の場として森を大切にしてき
たウデヘたちの意見こそが、まず第一に尊重されるべき
                                    ではないでしょうか。

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