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インド国立公園内の鉄鉱石採掘と日本企業による輸入 (2000.8.18更新)



カルナータカ州Chickamagalur Districtにあるクドレムク国立公園は、Western Ghatsと呼ばれる山岳地帯の一部をなしており、豊かな森林と草原、多様な生態系 を擁しています。花生植物だけでも4500種にのぼり、近くには、絶滅が危惧され ているベンガル虎の生息地も確認されているなど、世界的に見ても貴重な自然遺 産であると言えます。また地域の主要な水源である2つの川がここに発しています。 過去の鉱山開発や伐採、大型ダムなどによってこの地方の豊かな生態系は徐々に 失われてきていますが、わずかに残された貴重な保護地域であるクドレムク国立 公園に、大きな危機が迫っています。

この国立公園の一部(Aroli及びMalleshwara)では、過去25年にわたりインド国 営のクドレムク鉄鉱石会社(Kudremukh Iron Ore Corporation Ltd.:KIOCL)に よる採掘活動が行われてきました。日本は産出量の 3分の 1を輸入しており、KIOCL の大きな経済基盤となっています。この間の採掘及びそれに関連したKIOCLの活動 は、違法なドリリングも含めて大きな環境影響を及ぼしてきました。貴重な植生 の破壊や水の汚染が指摘されていますが、十分な規制や情報公開は行われていま せん。

KIOCLは昨年、20年の採掘許可の延長及び採掘地域の拡大を申請しました。申請が 許可されれば、貴重な生態系や水資源はさらに損なわれ、すでに脆弱な状態にあ る地域の生態系が壊滅的な影響を受けることが心配されます。現地の環境団体Environme nt Support Groupをはじめとする多くのグループや個人の反対運動の結果、イン ド政府は 1年間の操業仮延長を認めるとともに詳細な環境アセスメントを命じま した。アセスメントはパブリック・ヒアリングも含め、12月24日までに終了され ることになっていますが、今にいたるまで十分な調査が行われたと信ずる証拠は ありません。一方、この地域の鉄鋼石残有量はそう多くはなく、いずれにしても 新しい鉱山を開発する必要があるため、NGOは別の場所での操業という代替案を提 案しています。

日本の大手商社(日商岩井、三井物産、三菱商事、住友商事、日鐵商事)及び 鉄鋼5社(住友金属、新日鉄、日新製鋼、神戸製鋼所、川崎製鉄)は、このKIOCL から年間約100万トンの鉄鉱石の輸入及び購入を続けてきました。インド側で は当初、これらの日本企業がプロジェクトへの資本参加を検討していると伝えら れましたが、企業側は否定しています。しかし採掘が延長された場合には、輸入 契約も延長される可能性が高いと思われます。 こうした日本企業による購入の約束がなければ、KIOCLの無責任な採掘活動は不 可能であり、日本企業の動向は採掘延長の決定に重要な影響を及ぼすと考えられ ます。また、日本の公的な輸出信用機関である国際協力銀行及び通産省による公 的支援は、企業の投資行動の決定に対する重要な奨励要因になります。このため、 現地NGO等は今後日本に焦点を絞ったキャンペーンを提案しています。またアメリ カの最大手環境NGOの一つであるシエラ・クラブも現地NGOへの支持を表明するな ど、国際的な関心も高まっています。

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より詳細な情報は、インドの環境団体Environment Support Groupのホームページ https://www.altindia.net/esg/index.htm をご覧ください。