公開セミナー報告(2000年10月27日)
『フィリピンの開発と先住民族の権利』
〜コミュニティと文化の破壊に対抗して〜
 
セミナー議事録 3-10
質疑応答 (Q&A)

Q10.
  コサラン氏にお尋ねしたらよいのか、地球の友の事務局の方にお尋ねしたらよいのか、迷っているのですが、この集まりがあり、コサラン議員のお話を聞かせていただいて、コサラン議員の話では国際協力銀行に圧力をかけることができるということがありましたが、地球の友ジャパンとしては、どういう形でこの講演会をこれから活かしていくことができるのか。皆お話だけ聞いてそのまま帰ってしまうのでは、あまり意味がないような気がするのですが。どういうことをこの会場の人達に向かって呼びかけることができるのかということを是非明らかにしていただければと思います。

A.本山(地球の友ジャパン)
  国際協力銀行が今の段階であれば、プロジェクトの実施主体に対して、つまり、それはプロジェクトを推進しているサンロケパワー社という民間の会社と、フィリピン政府ですが、彼らに対して影響力を行使できる段階にあるわけです。ですから、コサラン議員が言われたように、この段階で私たちがプレッシャーをかけて、こうした一つ一つの問題があるということを伝える活動をこれまでにしてきましたが、是非、一人でも多くの方に参加して頂いて、社会環境への配慮を十分にやっていくように、今この段階でプレッシャーをかけることが非常に重要だと思っています。

   実は後でご紹介しようと思っていたのですが、今、はがきキャンペーンというものを準備しているところです。こういう風にはがきで、サンロケダムにはこういう問題がありますと、是非、こういう問題をきちんと確認して責任を果たすようにとアピールするものです。いま、これは英語版しかないのですが、こういうキャンペーンをアメリカとフィリピンのグループと共同してやるということを考えています。今日は日本語版をお持ちすることができなかったのですが、また後ほど、皆さんのお手元にお届けしたいと思いますので、是非、またこういう形ででも参加していただきたいと思います。

   それから、もう一つは、今日、皆さんのお手元に緑のチラシをお配りしているのですが、こういうサンロケ問題に限らず、国際協力銀行が支援したプロジェクトで社会環境問題が起こっている事例は挙げるのに暇がないほど多くあります。先程コサラン氏が国際協力銀行には道義的な責任があるとおっしゃいましたが、次はわれわれ日本国民の道義的責任があると思うのです。こういったことを繰り返させないようなシステムを、きちんとしたものを作らせていくという責任があると思います。

   それで、われわれが今取り組んでいるのは、国際協力銀行のきちんとした社会環境ガイドラインを作成するということです。今もガイドラインはあるのですが、今のものでは本当に不十分なのです。基本的に彼らは、社会的、環境的な問題を防ぐ責任というのは、われわれの国際協力銀行ではなく、途上国の政府にあるという考えでやっています。しかし、こういう態度でやっていては問題がこれから先でも繰り返されていきます。ですから、今ちょうど、来年に向けてこの環境ガイドラインの改訂作業が進んでいるところなのですが、ここに向けて、いま、地球の友ジャパンだけではなく、日本中のNGOと一緒にどういう風に、どういうガイドラインを作れば問題が防げるのか。つまり、一言でいうと、問題のあるプロジェクトに融資をしないという、はっきりとしたガイドライン、その改正をさせていこうと、そういうことに取り組んでいます。ですから、12月3日のシンポジウムにも是非おいでくださればと思います。このサンロケ問題は具体的な一つの例ですが、先程コサラン氏がおっしゃられたように、われわれのお金でこうした問題を繰り返させないように、われわれ自身がそういう風にプレッシャーをかけていくことが一つの道義的な責任を果たしていく方法ではないかと思います。是非、今後もご支援をお願いしたいと思います。

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