公開セミナー報告(2000年10月27日)
『フィリピンの開発と先住民族の権利』
〜コミュニティと文化の破壊に対抗して〜
 
セミナー議事録 3-1
質疑応答 (Q&A)

Q1.
  2点質問があるのですが、一つは5点述べられた中の3つ目の違法行為が行われているこということで、地方自治体法とIPRA、両方に違反しているという話ですが、コサラン氏は、弁護士、法律のプロとして、実際に訴訟を起こすとすると、どこが違反しているのか。たぶん、この場合、JBICではないと思うのですが、恐らくフィリピンの中央政府か、誰が相手になるのかというのを具体的にお願いします。

A.コサラン氏
  ご質問ありがとうございます。そうなると、被告は当然、フィリピン政府となるわけですが、ただ、フィリピンの法律では、例えば、このサンロケダムに対して差止請求というようなもの、そういう裁判を行おうとすれば、少なくともそのプロジェクトの実際のコストの10%に当たるデポジット、前払い金がなければ、裁判を起こせないというシステムになっています。だから、そうなると、サンロケダムは11億ドルなので、その10%ということになると、1億ドルです。とても、それほどの現金を出せといわれても、不可能な話なのです。ですから、裁判を起こせないということになります。

   それから、日本の国際協力銀行に関してですが、ここを法的な責任を問うて訴えることができないまでも、この銀行には道義的な責任があると思います。私が挙げた環境上の懸念事項であるとか、先住民族の権利、こういうものをまずクリアしないことには、そもそも融資に踏み切るべきではなかったわけです。そこに道義的な責任があります。

   私が道義的責任と申しますのは、それは、ベンゲット州の先住民に対する責任だけを言っているのではありません。これは、融資に使われたお金というのは(日本)国民のお金ですから、同時に日本の国民に対する道義的な責任も国際協力銀行は帯びているということになります。

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