家電リサイクル法は、廃棄物の減量、廃家電中の資源の再利用促進を目的として、2001年に施行された法律です。本法律制定前は、家電は他の一般廃棄物同様、市町村の責任の下に処理が行われ、そのリサイクル率は極めて低いものでした。そこで、リサイクルの実施を事業者が担う新たな仕組みとして、本法律が制定されまし
た。
具体的な仕組みは次のとおりです。まず、家庭から消費者が家電を廃棄するときに、その家電を販売した小売店が、それを引き取る義務を負います。また、買い替え販売をする場合には、すべての小売店が古い家電を引き取る義務を負います。次に、小売店が集めた家電については、製造業者がそれを引き取りリサイクルする義務を負います。製造業者のリサイクルについては、収集物を実際に再資源化するにあたっての具体的な割合に関する目標も設定されています。
この制度の運用が始まって以降、対象品目のリサイクルは格段に進みました。しかし一方で数々の課題も見えてきています。
【現行家電リサイクル法の問題点】
1)対象品目が家電製品のごく一部に限られている。
現在の対象はテレビ(ブラウン管型)、洗濯機、冷蔵庫・冷凍庫、エアコンの4品目ですが、
これ以外の多くの家電が廃棄される際に環境問題を引き起こしており、対象品目の拡大が必要です。
2)収集運搬・リサイクル費用の支払い方法
現在は、消費者が家電を廃棄する際にこの費用を支払っていますが、一方で不法投棄が増加しています。
そのため、商品購入時の先払い方式、さらに製品価格への内部化等への見直しが必要です。
3)廃家電の海外流出
国内での適正処理と資源循環がなされないと、日本からの廃棄物が海外で環境問題を引き起こす
おそれがあります。すでに起こっているこのような現象を念頭に入れた対策が必要です。
4)長持ち、修理の観点が抜け落ちている
より根本的な問題として、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の順位に従い、リサイクルだけでなく、
より壊れにくく修理もしやすい製品づくりの促進も、制度の基本的な方針として取り入れられるべきです。
■ 家電リサイクル法の見直しに向けた市民意見を審議会委員に提出 (2007.9.26)
2007年9月26日、FoE Japanは、東アジア環境情報発伝所、化学物質問題市民研究会、
市民がつくる政策調査会と共同で、家電リサイクル法の見直しに向けた市民意見を、
審議会委員全員に送付しました。
市民意見全文
■ 家電リサイクル法の見直しに関する意見を提出 (2006.8.23)
環境省および経済産業省の家電リサイクル法の見直しに関する意見募集に対し、
FoE Japanは、2006年8月23日、以下の意見を提出しました。
提出意見全文
■秋葉原で100人に聞きました〜家電リサイクル法に関するアンケート(2006.7.30)
家電リサイクル法の改正審議が政府で始まりましたが、はたしてこの法律は市民に定着しているのでしょうか?
また、市民は「家電の処分」を一般的にどのような方法で行っているのでしょうか。
FoE Japanとアジアごみ問題研究会は、「電器の街・秋葉原」で街頭アンケートを行いました。
その結果、家電リサイクル法の存在は多くの市民が知っていましたが、その対象品目やしくみを正しく知っている人は106人中わずか3人でした。また、「家電の処分方法」は、多くの人にとって、「自治体に粗大ごみとして出す」ケースが最も多く、まだまだ自治体の処分場に埋め立てられる家電が多いことが窺えます。さらに、住宅街を回っていらなくなった家電を回収する「無料回収車」の利用者も多く、家電リサイクル法の対象品目であるテレビなどもこちらに出している人が複数いました。排出時にリサイクル費用を払う「後払い方式」では、回収率に限界があることを裏付けたといえるでしょう。
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調査詳細
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