2 私達NGOの活動方針―「林業活性化」と「木材消費量削減」―業界との協調が可能か?
それでは私達、国際NGOはどんな活動方針を持っているのか、林業関係者とその主 張する所が異なり、同じ船に乗って運動出来ないのでは、と心配される方もいると思いますので、我々の考え方を若干披露しておきたいと考えます。早い話、環境保護運動家は「木を切ってはいけない」「森の中に道路を作ってはいけない」と言っているのではないか、と。私達はそんな事は言っておりません。パンフレットの見出しにあるように「国産材の自給率」を高めるべきと主張しているのです。但し、広い面積の皆伐や単一品種のみの植林には若干の抵抗を持っています。いわゆる「持続可能な森林」のためならば伐採や間伐は多いにやるべしと言っているのです。言いかえれば森林の公益的機能の発揮のための林業をもっと活発にすべきと主張しているのです。そのためには「政府補助金」も大いに活用すべきと。
WTOの場では皆さんもご存知の通り、この補助金がいわゆる「非関税障壁」として問題になっています。私は昨年11月、森林組合の方や林野庁の方とシアトルのWTO閣僚会議に外側から参加しました。私の一つの結論は、林産物をWTOの枠から外す事が出来ない場合でも「政府補助金」はなんとか「非関税障壁」のターゲットの外に置くよう、皆さんと一緒に頑張りたいと言う事です。これについては日本の森林の実態をを知らないNGO、国内の公共工事に反対する他のNGO等は大いに異論がある所でしょうが、林業と森林を保護する立場の我々NGO
は、林業に対する「政府補助金」を正当化するべく国内に置いても一般の納税者を対して啓蒙活動を行いたいと考えています。
林業活性化と並んでもう一つ、我々NGOの主張したい事が、「木材消費量の削減」です。これを文字どおり解釈すると林業活性化に繋がらないように見えます。そこでこれに若干の説明を加えさせて戴き、我々の主張に皆様の理解を頂きたいとかんがえます。我々の言う削減されるべき木材とは外材を指しています。ご承知の通り日本国内の森林資源の蓄積量は今や国産木材供給量の3倍あります。輸入量を半分にする所までは国産材でまかなえるのです。しかしそれでは世界の森林破壊は止まりません。輸入量をさらに減らすには消費削減しかないと言うことです。木材消費の削減はその大口の消費先である「住宅」と「紙」がありますが、住宅については「国産材による長寿命・高耐久住宅の推進」を行っています。パンフレットにその概要がのっています。国産材が外材よりも優れていることを皆さんと一緒に住宅メーカや消費者に訴えて行きたいと考えます。外材の品質特性などをよく勉強して、技術的にもこれに負けない国産材を供給できる体制を作って戴きたいと希望します。
近々、林野庁さんの仲介で消費者団体連合会と打ち合わせを持つ事になっています。消費者団体連合会の長の方は「国産材は高くて使えない」と言ってるそうです。地球の友ではいま「国産材を使ってもその特徴を生かし長寿命住宅を建てれば経済的にも得をする」と言うことを訴える資料やマニュアルを準備中で、これを持って消費者の啓蒙に当たりたいと考えています。一方「紙」の消費削減についても何かやりたいと考えています。我々は「日本製紙連合会」と月一回の勉強会を行っています。世界的な森林資源の節減運動に押されて、製紙連合会さんも「1にReduce
2にRe-use 3にRecycle」と言う「3R運動」を打ち出すそうです。今まではリサイクルばかりに力を入れていたのですが、Reduce即ち消費削減を第1に持ってきたのは、我々NGOも評価したいと思ってます。今日出席の方々は製紙業界とは直接関係ない方とは思いますが、紙の消費削減にも一消費者として大きな関心を払って戴きたいとお願いする次第です。
以上が「林業活性化・自給率向上」と「木材消費の削減」を2つの柱とする我々NGOの活動方針です。私達のこの活動方針は先ずは理解戴けるかと考えます。我々は納税者・消費者の立場にあります。さすれば今後は皆様と一緒になって、政府や地方自治体、関連業界に、林業活性化のための働きかけや提言活動をを行えばより大きな成果が期待出来るのでは、と考えます。
1 私達、国際NGOがこのような大会で発言させて戴くことになった経過とその意義
2 私達NGOの活動方針―「林業活性化」と「木材消費量削減」―業界との協調が可能か?
3 森林保護に関する国際的な動きの紹介と、日本の林業への影響