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サンロケダム
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サンロケダムに反対してきた住民リーダーの殺害事件に関する
地元農民団体TIMMAWAの声明文 (2006.05.25)
2006年5月25日


Tignay Dagiti Mannalon a Mangwayawaya iti Agno (TIMMAWA)
(アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動)



アポ・ホセに正義を!
弾圧されているすべての農民に正義を!


アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動(TIMMAWA:ティマワ)は、TIMMAWAの代表であり、また、サン・ニコラス町農民連盟、そして、サン・ニコラス町砂金採取者連盟の代表でもあるアポことホセ・ドトン氏の無情な殺害を強く非難する。彼は、2006年5月16日午前10時から10時45分の間に、パンガシナン州サン・ニコラス町カマンガアン村にて残酷にも殺害された。アポとオートバイを運転していた彼の弟であるディオスダド・ドトン氏は、町の中心街から帰宅途中、赤のオートバイ(XRM型)に乗った二人の未確認の男に後を追いかけられた。それから、その未確認の二人組がドトン兄弟らに向けて発砲したため、ドトン兄弟の乗ったオートバイは道に倒れた。そして、殺害犯二人組のうちの一人がオートバイから降り、アポの頭部を撃ちぬいたため、間もなく、アポは息を引き取った。犯人らが乗っていたオートバイは、ナンバープレートを付けていなかった。ディオスダド氏はすでに危険な状態は脱し、2発の被弾から回復しつつある。

アポはTIMMAWAの初代代表になる以前ですら、すでに農民のリーダーであった。彼は、地元の住民や先住民族の生活の糧であった生産性の高い広大な土地を破壊し、また、パンガシナン州の人々にとって多くの災害を意味することになる悪名高きサンロケダムの建設に断固として反対した。そして、TIMMAWAが組織され、ついには代表として選出された。彼のリーダーシップのもと、TIMMAWAは、住民を巧みにごまかし、騙そうとしたサンロケパワー社とフィリピン電力公社に堅固に反対した。彼は、先頭に立って、影響を受けた住民や農民を組織化し、啓蒙し、また、激励した。彼の努力は決して無駄ではなかった。なぜなら、住民はさまざまなレベルで結束し、成功を収めてきたからである。その反対運動や問題は、国際的なレベルにまで取りあげられ、主義志向の団体や個人だけではなく、反ダムを主張する団体からも意義深い支援を得てきた。

農民は、アロヨ政権の反国民的で、帝国主義的な経済・政治政策のため、日々、この国における経済危機の犠牲者となっている。農民は、化学薬品や肥料、その他の農業に必要な投資品の価格が果てしなく高騰しているため、ずっと絶え間なく苦しんでいる。この状況に反して、彼らの農作物の価格は、しばしば買手である商人などによって低く抑えられている。こうした状況は、骨を折って働いている農民への政府からの補助金が欠如していることに加えた問題である。農作物を輸入する国の政策は、農民がすでに経験してきたひどい苦痛の状況をさらに悪化させるものである。さらに、大規模な土地利用の転換は、農民を彼らの土地や生活から追いたて、農民をさらに深刻な貧困状態に追いやっている。ここパンガシナン州で明らかな例として挙げられるのは、サンロケダムの影響であり、それこそが、アポ・ホセが反対運動の先頭に立った一番大きな理由であった。アポ・ホセのリーダーシップのもと、TIMMAWAは、政府が「開発事業」を装って、外国企業に私たちの資源を自由に利用させる一方、農民を彼らの土地から継続的に追い立てていることを露呈させ、非難した。(サンロケダムの)影響はそれだけにとどまらない。農民は、雨季に確実にもたらされる脅威に立ち向かわなくてはならない。それは、すなわち、サンロケダムから一度アグノ川に大量の水が放水された場合に起こる大規模な洪水と、それに伴う広範囲にわたる土砂浸食である。また、(サンロケ多目的ダム)事業(の建設)が終わっているにもかかわらず、農民は、彼らが耕している土地から依然として追い立てられようとしている。現在、アグノ川沿いの破壊された土地を改良し、農作業を行っている農民が、フィリピン電力公社によって再び追い立てられようとしているのだ。これは、海外資本100%のサンロケパワー社に土地所有権を即刻譲渡するためとされている。これは、ARIIP(アグノ川統合灌漑事業、旧称はサンロケ多目的ダム事業・灌漑部門)という名前の下で実施されようとしている洪水制御事業の建設にも関連している。サンロケダムの時と同様、この事業もまた、何千ヘクタールもの土地に被害をもたらし、数え切れない程の農民とその家族に飢えをもたらし、かつ、その事業が実施される地域に洪水をもたらすだろう。

最悪なことは、農民のこうした苦難にもかかわらず、彼らが政府の反テロ対策のターゲットになっていることである。アポ・ホセのように、政府の方針がもたらしている恐ろしい状況に晒されている彼らは、弾丸によって抑圧され、黙らされている。政治的動機に基づく嫌がらせや殺害の一番の被害者は、農民である。今年に入って中部ルソンで起きた政治的殺害のうち、アポ・ホセは24番目の犠牲者である。そのうち17人は、彼のような農民であるが、政府は依然として、そうした農民の状態に沈黙を保ったまま、無関心である。

アポは息を引き取るまで、彼の使命に忠実であり続け、抑圧されている民衆の利益のために運動をまっとうした。アポ・ホセは、アメリカ(の大きな支援を受けている)アロヨ政権がその圧政的な政権の様相を隠そうと暗殺している、自由と権利のために闘っている数百人もの運動家のうちの一人に過ぎない。

今、まさに、農民とその他の抑圧されている人々が結束を強め、自分たちの正当な、かつ、民主的な利益を前進させていくべき時である。抑圧的な政権が退陣し、そして、一定の人々だけでなく、大多数の人々のニーズを満たすような新しい政権が確立するまで、川の力強い流れのように、搾取されている人々は(運動を)持続するときである。TIMMAWAは、私たちの政治的・経済的な繁栄を前進させるため、また、国のファシズム的なやり方を止めさせ、アメリカに支援されている圧政的なアロヨ政権を退陣させるため、農民とパンガシナンの人々に対し、一緒に結束して運動を行なうよう呼びかけたい。




アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動(TIMMAWA)
2006年5月25日

(翻訳:波多江 秀枝)
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