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サンロケダム放流
自治体や国会から洪水被害拡大に対する責任追及の声 (2009.10.16) |
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先週、フィリピンで最大規模を誇るサンロケダムが放水をして以来、フィリピンのメディアは連日、サンロケダムの機を逸した放水と、それに伴う下流での水位の急な上昇や強い水流によりパンガシナン州の洪水被害が拡大した可能性について、トップニュースで報じています。
台風17号(フィリピン名「台風ペペン」)が1週間にわたりルソン島北部に停滞した際、最もひどい豪雨となった10月7〜8日の後、すでにアグノ川が増水している中、9日午前3時になってサンロケダムは6つの洪水吐きゲート全てを開け(全部で27メートル)、毎秒5,072立方メートルの水量をアグノ川に放流しました。
ダムの所有者であるフィリピン電力公社は、自治体関係者や国会議員らに対して、「事前に警告をした。」との説明を繰り返すばかりで、なぜより早期から放流を開始しなかったのかについては、何ら答えようとしていません。また、サンロケダムで発電を行なっているサンロケパワー社は、ダム放流の決定権がフィリピン電力公社にあるため、「フィリピン電力公社の放水の指示に従った。」と回答しています。 また、放水量は、上流からのサンロケダムへの流入量と同量であり、事業者らは、「サンロケダムの放水が洪水被害を拡大させたわけではない」としています。
しかし、サンロケダムの目的の一つに「洪水調整」があげられていることを鑑みれば、本来は、上流からダムへの流入量と同量の放水をする前に、放水量の適切な判断と決定が必要だったと言えます。今回の台風災害時、サンロケダムは、その洪水調整の役割を果たせなかったことは事実です。
現在、フィリピンの国会等では、サンロケダムの発電機能を優先させるのか、あるいは、人命を第一とし洪水調整機能を優先させるのか、という議論が始まりつつあります。つまり、乾季の発電リスクを伴ったとしても、雨季の貯水量を洪水調整のために制限するか、という議論です。地元の住民は、今後、毎年ダムの放水と洪水被害の拡大のリスクを背負って生活を続けなくてはいけません。フィリピンの住民の安全を第一に考えた賢明な措置が取られることが望まれます。
※フィリピン・台風災害の被災者に対する支援呼びかけをこちらでご紹介しています。
みなさまのご協力をどうぞよろしくお願い致します。
https://www.FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/press/20091016.html
※今回の洪水被害とサンロケダムの放水に関する現地団体の声明文(翻訳)はこちら
「サンロケダム:ルソン島中部を破壊する事業」(2009年10月11日)(PDF)
※今回の洪水被害とサンロケダムの放水に関する現地紙の記事(翻訳)はこちら
「放水はあまりにも突然だった―ダムに亀裂という報告でパンガシナン州の住民はパニックに」
(インクワイラー紙 2009年10月10日)(PDF)
「パンガシナン州知事洪水についてサンロケダムへの訴訟を検討」
(インクワイラー紙 2009年10月12日)(PDF)
「ダム管理者ら、嘘つきと呼ばれる 上院は放水と警報の規則を求める」
(インクワイラー紙 2009年10月15日)(PDF)
※サンロケダムの問題に関するより詳細な情報は、こちらでご覧いただけます。
https://www.foejapan.org/aid/jbic02/sr/index.html
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