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事業者の生活支援プログラムに参加するカマンガン再定住地の住民。マイクロ・ファイナンスの形式で、小規模マーケットを開いているが、一日の売り上げは100ペソ程度という(総収益)。(2004年3月)
砂金採取者の新しい認定プロセスについて聞くため、事業者の建物に来た住民ら。当日は、リーダーのみが中に入り、他の人々は建物の前で待っていた。(2004年3月)
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そして、そうした人々のなかには、今すぐに生活の糧を必要としている人々も少なくありません。サンロケダムの被害地域の一つであるサン・ニコラス町では、今年の1月から何とか少しでも生活の足しになるような成果をあげようと、影響を受けた村のリーダーらが、事業者との交渉を断続的に試みています。彼女らは、これまでのTIMMAWAの要求補償金額を半分にしたり、また、これまで拒否してきた事業者の生活支援計画も受け入れるなど、成果を勝ち取るために要求を下げていました。
先日、3月25日にも彼女らは乗り合いのバス1台に乗り込み、朝早くから事業者であるサンロケ・パワー社を訪問しました。この日の会合では、事業者がどのように砂金採取者を認定するのか(生活支援プログラムの対象者を選定するのか)、そのプロセスの確認が目的とされていました。補償を要求している自分たちも納得のいく選定方法にしてもらわなければ、選定のプロセスで全員除外されかねないという懸念からです。しかし、結局、約束されていたはずのサンロケ・パワー社(SRPC)との会合は、先方に先約があるとのことでその日は実現されませんでした。
融資者であるJBICは、3月初旬に行なったFoE Japanとの会合のなかで、事業者が新しい形で生活支援計画に取り組もうとしていることを「進展」と評価していました。今から5年前、99年に同ダム事業への追加融資を承認する際に、JBICは「住民参加による問題解決のための枠組みの構築が確認されている」と説明していましたが、今、JBICの言う「進展」があるのは、その「問題解決のための枠組み」に不備があったからに他なりません。
SRPC自身も、自らが最近行なった社会経済調査のなかで、カマンガアン再定住地に移転した187世帯(ダム建設の影響で1998年から1999年にかけて立ち退いた人々の一部)のうち約70〜80%が貧困ライン(月4500ペソ)を下回る生活水準を強いられており、新たな生計手段を必要としていることが明らかになったと述べていました(3月25日のFoE JapanによるSRPCへの聞き取り)。今もなお、「影響を受けた人々の生活再建」という問題が解決されていないのは歴然とした事実です。
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