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「砂金採取者に対する正当な補償を!」 地元でつづく抗議活動と交渉 (2004.04.01)
2004年04月01日


「砂金採取者に対する正当な補償を!」

 地元でつづく抗議活動と交渉
 毎年春にFoE Japanが行なっているフィリピン・スタディツアーの最中、国際協力銀行(JBIC)の融資で建設されたサンロケダムの影響を受ける住民らによって抗議活動が行なわれました。その日3月14日は、ダム建設で被った損害に対する正当な補償を2001年から求め続けてきた「アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動(TIMMAWA)」の設立4周年の日で、チャーターできた車6台に村人約100人を詰め込む状態で、近くの都市にある公園まで横断幕を掲げて移動しました。街中にある公園ではサンロケダムの問題点を指摘。まだ支払われていない砂金採取という生計手段に対する補償金、また、それに代わる十分な生計手段の必要性について訴えました。

 ダムの建設されたアグノ川で砂金採りができなくなった人々、特にTIMMAWAのメンバーらは、@砂金採取ができなくなった後の3年間分の補償金額として17万1000ペソ(以前の砂金採取の平均収入から計算)、A今後の生活のために必要な代替の生計手段――をこの数年間要求し続けてきました。TIMMAWAの要望書に署名している個人だけでも3000名以上にのぼりますが、実際、以前の生活の糧を失った人々、また、サンロケダムの影響を受けてきた人々はそれ以上にのぼるのではないかと言われています。
  サンロケダム
 <サンロケダム建設現場 全体図 (上空から)>
写真右下に見えるのは、ダムによって堰き止められてできたダム湖。ダムの下流から写真左へ伸びる砂地は、ダムの建築資材を掘り出した採石場の跡。この事業によって、計4010ヘクタールの土地が収用された。(2002年12月 FoE Japan撮影)

カマンガアン再定住地の住民
 事業者の生活支援プログラムに参加するカマンガン再定住地の住民。マイクロ・ファイナンスの形式で、小規模マーケットを開いているが、一日の売り上げは100ペソ程度という(総収益)。(2004年3月)

SRPCの前で待たされる人々
 砂金採取者の新しい認定プロセスについて聞くため、事業者の建物に来た住民ら。当日は、リーダーのみが中に入り、他の人々は建物の前で待っていた。(2004年3月)

   そして、そうした人々のなかには、今すぐに生活の糧を必要としている人々も少なくありません。サンロケダムの被害地域の一つであるサン・ニコラス町では、今年の1月から何とか少しでも生活の足しになるような成果をあげようと、影響を受けた村のリーダーらが、事業者との交渉を断続的に試みています。彼女らは、これまでのTIMMAWAの要求補償金額を半分にしたり、また、これまで拒否してきた事業者の生活支援計画も受け入れるなど、成果を勝ち取るために要求を下げていました。

 先日、3月25日にも彼女らは乗り合いのバス1台に乗り込み、朝早くから事業者であるサンロケ・パワー社を訪問しました。この日の会合では、事業者がどのように砂金採取者を認定するのか(生活支援プログラムの対象者を選定するのか)、そのプロセスの確認が目的とされていました。補償を要求している自分たちも納得のいく選定方法にしてもらわなければ、選定のプロセスで全員除外されかねないという懸念からです。しかし、結局、約束されていたはずのサンロケ・パワー社(SRPC)との会合は、先方に先約があるとのことでその日は実現されませんでした。

 融資者であるJBICは、3月初旬に行なったFoE Japanとの会合のなかで、事業者が新しい形で生活支援計画に取り組もうとしていることを「進展」と評価していました。今から5年前、99年に同ダム事業への追加融資を承認する際に、JBICは「住民参加による問題解決のための枠組みの構築が確認されている」と説明していましたが、今、JBICの言う「進展」があるのは、その「問題解決のための枠組み」に不備があったからに他なりません。

 SRPC自身も、自らが最近行なった社会経済調査のなかで、カマンガアン再定住地に移転した187世帯(ダム建設の影響で1998年から1999年にかけて立ち退いた人々の一部)のうち約70〜80%が貧困ライン(月4500ペソ)を下回る生活水準を強いられており、新たな生計手段を必要としていることが明らかになったと述べていました(3月25日のFoE JapanによるSRPCへの聞き取り)。今もなお、「影響を受けた人々の生活再建」という問題が解決されていないのは歴然とした事実です。
 サンロケダムの建設が終わった今、生活に窮している人々がいること。サンロケダムで発電が行なわれているのに、その周辺で電気料金を払えず、電気を使えない人々がいること。そして、今も正当な補償を求め続けている人々がいること。――そうした事実の原因を真剣に考え、JBICの融資プロセス・審査について総合的な評価をすることがJBICに求められているのではないでしょうか。

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