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サンロケダム
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現地NGOによるプレスリリース
「反対グループ ダムの商業運転の中止を要求」 (2003.04.15)
2003年4月15日


フィリピン・サンロケダム

反対グループ ダムの商業運転の中止を要求


  バギオ・シティ――「すべての未解決の問題が解決されるまで、ダム事業はこれ以 上、進められるべきではない。」
 これは、サンロケダムの商業運転開始が延期されていることに関連して、コルディリェラ民族連合(CPA)の代表ジョアン・カーリング氏が出した見解である。ダムの商業運転の開始予定日はこれまでに3回ほど組まれたが、そのどれもが延期された。

 フィリピン電力公社(NPC)内での雇用者のリストラの動きが、今月4月に予定さ れていた商業運転の開始延期の理由のひとつとなっているとの情報もある。

 CPAは、サンロケ多目的ダム事業への承認を撤回したイトゴン町評議会のその方針 の修正について歓迎している。同事業の悪影響を受けるのは、明らかにイトゴン町の人々に他ならないため、同撤回は遅きに失したものではないからである。
  サンロケダム
 <サンロケダム建設現場 全体図 (上空から)>
写真右下に見えるのは、ダムによって堰き止められてできたダム湖。ダムの下流から写真左へ伸びる砂地は、ダムの建築資材を掘り出した採石場の跡。(2002年12月 FoE Japan撮影)
ダルピリップ村
 ダム上流に位置するイトゴン町ダルピリップ村の風景(2002年9月)

砂防ダム
 ダルピリップ村バロコック集落の砂防ダム(2003年3月)
   同町評議会議員の話によれば、NPCは、過去の1997年決議第109号のなかで盛り込まれ、また、1999年決議第16号のなかで再度取り上げられた17の条件を実質的に守ってこなかったということである。

 サンロケ多目的ダム事業への承認を取り消したその決議文のなかで、イトゴン町評議会は、フィリピン政府および関連政府諸機関が、何度も深刻な懸念が出されたために行なった約束をまったく遵守していないと非難した。

 さらに、カーリング氏は、同ダムの商業運転は、フィリピンの電力消費者により大きい財政的負担を強いるだけであると説明した。彼女によれば、フィリピンはすでに電力の供給過剰の状態にあるため、この事業は経済的に継続不能なものであり、また、NPCとサンロケパワー社との間で取り交わしている電力購買契約(PPA)によって、消費者は今よりずっと高い電力料金を支払うことになるということである。

 PPAは、NPCの従わなくてはならない月の支払い予定などの内容も含んでいる。例えば、設備容量費として7億6,935万ペソ、維持管理費として3,750万ペソ、これに加え、さまざまな筋書きが想定される電力料金を毎月支払わなくてはならない。

 「これまでに、ダムの建設によって経済的な打撃を被っているにもかかわらず、依然として補償を受け取っていない農民や砂金採取者の人々がいる。」とカーリング氏は述べる。

 アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動(TIMMAWA)は1999年以来(FoE Japan注:TIMMAWAがグループとして対話を始めたのは2001年。それ以前は、個人として各自が対話を行なっていた。)、サンロケパワー社およびNPCと行なってきた一連の対話のなかで、サン・マニュエル町とサン・ニコラス町の砂金採取者が失った現金収入3年間分に対して、砂金採取者各々に補償を行なうよう、サンロケパワー社とNPCに要請している。また、農民らは、サンロケパワー社が過去3年間行なった採石活動が原因で、収穫のできなくなった農地についても、適切な補償を行なうよう要求している。さらに、カーリング氏は、「生活再建計画の不備や汚職などの事例が聞かれるため、それらの計画や補償の支払いに関する独立調査が必要である。」と考えている。
 これまで、日本の国際協力銀行(JBIC)は、サンロケパワー社への融資のうちまだ10%を拠出していない。JBICは、同事業への地域社会の社会的容認が得られるまで、融資は拠出しないと言っている(FoE Japan注:このJBICの見解は、同事業の灌漑部門について出されたもの。)。カーリング氏はこれに対し、「一旦、融資が出されてしまえば、この融資分の返済が国民の負担になる。」と主張する。

 また、TIMMAWAは、パンガシナン州の農民のために行なわれる灌漑事業には反対していないことを明らかにしている。また、TIMMAWAがフィリピン国家灌漑庁(NIA)との対話を無視していることもないと言明している。

 TIMMAWAは、NIAとの対話が始まって以来、ダムと関連した灌漑システム、すなわち、アグノ川統合灌漑計画(ARIIP)は承認しないことを明らかにしてきたと述べている。TIMMAWAはARIIPに代わる灌漑事業として、パンガシナン州の灌漑水路すべてのリハビリテーション(FoE Japan注:浚渫作業など。)を提案した。

 「パンガシナン州が必要としている灌漑事業と、ダムの商業運転とは切り離して取り組むことができる。灌漑用水として取水できる川は他にもあり、これらの川はアグノ川と違い、有毒物質を含んでいない。」とTIMMAWA代表ホセ・ドートン氏は説明する。

 ドートン氏によれば、同グループは、NIAの事業であるARIIPによって影響を受け、(サンロケ多目的ダム事業に続き、)再度立ち退かなくてはならないような農民が出ることは許容できないということである。

 最近、サンロケパワー社は、第1ゲートを開け、第1トンネルから17立方メートルを放水した。この他にも、他の2つのトンネルと別のところから放水がなされている。サンロケパワー社によれば、これらの水が利用可能であれば、推定22立方メートルの水で、パンガシナン州の農地を灌漑できるということである。

(コルディリェラ民族連合 広報部)
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