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国際協力銀行/日本政府への 「サンロケダム事業のモニタリングに関する要請書」 |
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2004年8月5日
財務大臣 谷垣 禎一様
国際協力銀行 総裁 篠沢 恭助様
フィリピン・サンロケダム事業のモニタリングに関する要請書
国際協力銀行が融資を継続されておりますフィリピン・サンロケダムに関しては、5月18日付で提出した要望書について、7月16日、国際協力銀行との会合の中でご回答をいただき、意見交換をさせていただきました。今後、サンロケダムの建設により影響を受けた住民の生活再建が重要との認識を、双方ともに深めるよい機会になったと思っております。
さて、その現地の影響住民の生活再建を実現していくにあたり、私たちは、国際協力銀行のモニタリングが大きな役割を担うと考えます。そのモニタリングについては、これまで、目的、手法、業務指示書(ToR)、あるいは、報告書といった情報が公開されてこなかったため、私たちはその詳細を把握することはできておりませんが、これまでの国際協力銀行との意見交換を通じて、従来のモニタリング方法等を再考し、改善する必要があると考えております。
したがって、今後、国際協力銀行が影響住民の生活再建の状況についてモニタリングをしていくにあたり、最低限必要と考える改善事項を、以下のとおり要請させていただきます。
1. 従来のモニタリングを再考・改善するにあたっての情報公開・プロセスの透明性・アカウンタビリティーの確保について
・ 目的、手法、ToR、結果など、従来のモニタリングに関わる情報を公開し、改善に向けての意見を広く受け付けること。
・ 寄せられた意見がどのように改善に活かされたのかを明確に示し、アカウンタビリティーを確保すること。
2. モニタリングの目的について
・ 「影響住民の生活について、事業開始以前の生活水準からの改善」を目的に含むこと(注1)。
3. モニタリングの実施にあたって
・ より広範なモニタリング対象範囲の設定とデータ収集
⇒ 再定住地を中心にしたモニタリングのみではなく、自力移転者、土地収用対象者(小作を含む)、砂金採取者など、その他の影響住民を対象に含むこと(注2)(注3) 。
・ 十分な現地調査期間の確保
⇒ 現地でのモニタリングに十分な期間を用意すること(注4) 。
・ 現地調査での独立性/影響住民の参加の確保
⇒ 事業者や政府関係者抜きで、影響住民への調査・聞き取り等を行なうこと(注5)。また、モニタリングの対象者・協力者・同行者等の安全、とりわけ住民の安全に十分配慮すること。
・ 適切かつ主体性のある分析評価
⇒ 事業者の生活再建に向けての対応が、目的に鑑みて十分な実効性を有しているか、適切かつ主体的に判断・評価すること(注6)。
・ 問題解決に向けたフォローアップ
⇒ 分析評価を受け、目的の達成に必要な対応を事業者へ勧告すること。
・ 情報公開・プロセスの透明性・アカウンタビリティーの確保
⇒ モニタリングの報告書を公開し、広く意見を受け付け、さらなる現地での問題の改善や事業者への勧告に活かすこと。
⇒ 報告書は影響住民も回覧できるよう、日本語のみならず、可能な限り、現地で広く使用されている言語(イロカノ語およびタガログ語)、少なくとも英語で公表すること。
以上の点にご配慮いただき、ご返答いただければ幸いです。また、5月18日付で提出した要望書の要請につきましても、引き続き、適切な対応をよろしくお願い申し上げます。
以上
国際環境NGO FoE Japan
(担当:波多江秀枝)
〒171-0031 東京都豊島区目白3−17−24 2F
Tel: 03-3951-1081, Fax: 03-3951-1084
(注1)従来のモニタリングの目的に、この事項が含まれていない場合を想定。
(注2)これまで、事業者の用意した再定住地を中心としたモニタリングが行なわれてきた。しかし、781件の移転世帯中、カマンガアン再定住地に180世帯、ラグパン再定住地に40世帯、また、イトゴン町の2つの再定住地に61世帯が移転しているが、それ以外の約500世帯は自力移転をしている。また、土地の収容件数でみると、2,545世帯の地主および小作が影響を受けており、砂金採取者も現在、影響住民としての認定プロセスが進められている。
(注3)より広範な対象範囲を設定してのモニタリング方法・データ収集の方法については、社会開発の専門家等への相談も必要。また別途、議論を要する事項と理解。
(注4)通常、フィリピンへの調査期間は約1週間で、そのうち、1〜2日間が現地(再定住地等)の調査に充てられていると理解。
(注5)事業者や政府関係者の前で、影響住民が十分に意見を表明することができない場合があることへの配慮。
(注6)これまでは、影響住民の生活・所得状況について、具体的な状況・データは把握されておらず、どのような指標・基準をもとに事業者の対応の評価を国際協力銀行がしてきたのかは不明。
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