FoE Japan
開発金融と環境プログラム
開発金融 トップ キャンペーン 資料室
開発金融と環境プログラムキャンペーン>JBIC個別プロジェクト>フィリピン:サンロケダム>これまでの動き・活動
サンロケダム
サンロケ・トップページ
プロジェクトの概要
これまでの活動・動き
スタディツアー
学習ビデオ
フォトギャラリー
地元住民が事業者へ提出した「サンロケダムの補償に関するポジション・ペーパー」
2004年4月23日


Tignay dagiti Mannalon a Mangwayawaya iti Agno
(TIMMAWA)
アグノ川の自由な流れを取り戻すための農民運動


サンロケ多目的ダム事業(SRMDP)の建設によって
破壊された土地および喪失した生計手段への補償に関する
ポジション・ペーパー
 

 TIMMAWAは、アグノ川沿いで生活し、サンロケ多目的ダム事業の影響を受け犠牲となった農民の連合体です。連携を取っている組織や個人とともに、TIMMAWAは、サンロケダムの建設によって破壊された土地や家屋、作物、また、喪失した生計手段への正当な補償を求めています。このポジション・ペーパーは、フィリピン電力公社やサンロケパワー社が、破壊された土地、および、住民が喪失した生計手段に対し、正当な補償を行なう責任を果たす際の、そのいかなる措置に対しても、私たちの意見を表明することを意図したものです。


サンロケ多目的ダム事業の住民の生活への影響

1. サンロケ多目的ダム事業は、住民が収入源として耕作してきた肥沃な農地を5,000ヘクタール近くにわたり破壊した。

2. 地域住民はアグノ川で砂金採取をし生計を立ててきたが、そのアグノ川の川筋や特質が、サンロケ多目的ダムの建設によって破壊され、変化した。

3. サンロケ多目的ダム事業は、アグノ川沿いで、川の水を利用し灌漑を行なってきた農民らの地域共同灌漑システム(Communal Irrigation Systems)を破壊した。

4. 地域住民は、商業および個人消費の目的で、山々の資源を利用してきたが、その資源の利用が妨げられた。これは、ダムの隣接地域が「集水域」として宣言されているためである。


 地域住民の経済能力や生活の質は落ち、結果として、特に、以下のような具体的な影響が農民らを苦しめています。

1. 子供を小学校、高校、また、その先の学校にやることのできる家族数が急に減少した。

2. 影響住民は、利用可能な医療やその他の社会サービスを利用できなくなり、したがって、生活の質が悪化した。

3. 多くの家族が、持続可能かつ連続的な生活を送る生計手段を失い、したがって、高利率にもかかわらず、借金をせざるを得なくなっている。

4. 生計手段の破壊や代替の生計手段の欠如は、事業地の隣接地域において、売春や強盗などの反社会行為を引き起こした。

5. 生計手段の喪失を切り抜ける手段として、ほとんどの家族で、一人、もしくは、二人が海外、あるいは、他の場所に仕事を探しに行っている。

6. 翌日の供給分を蓄えておけるように、一日二度の食事にせざるを得ない家族もいる。


 私たちは、実際に影響を受けている住民が、民主的かつ、その名に値する真のコンサルテーションを受けられるよう、また、影響住民が、補償のプロセスや生活支援プログラムに関する意思決定に包括的に参加できるよう求めています。

1. 影響住民や組織が、サンロケ多目的ダム事業に関する公的文書および情報を入手できること。

2. 影響住民の組織が示している提言を尊重し、その提案に従って、適切な行動が取られること。

3. 意見交換の議事録を用意することで、その意見交換を包括できる記録を確保すること。

4. 住民と事業者が合意した決定事項については、いかなる決定事項であっても、その実行に至るまで、住民が積極的に意思決定に参加できるよう確保すること。

5. 補償のプロセスや生活再建プログラムの進捗について、監視および調査を一組織に委託すること。委託する組織は、あらゆるステークホルダー、特に、影響を受けたコミュニティーの住民で構成されることを提案する。


 私たちは、破壊された土地や作物、また、喪失した生計手段に対する補償のプロセスに関し、私たちの意見を以下のとおり宣言します。

1. 破壊された土地
・ 破壊された土地および作物について、ただちに補償すること。
・ 税申告書を耕作してきた土地の所有権として、また、土地に対する補償の根拠として承認し、受け容れること。土地の所有証書の申請にかかるコストは、影響住民には高すぎる。
・ 破壊された作物や土地について正当な補償を行なうこと。小作についても、彼らの権利および作物、その他の補償対象物(訳注:果樹等)への補償をすること。
・ 影響住民が主張し、提起しているような、フィリピン電力公社およびサンロケパワー社による変則的な(補償)交渉について問う調査組織を設立すること。

2. 砂金採取
・ フィリピン電力公社およびサンロケパワー社が採石を行なうために禁止したことで、できなくなった砂金採りについて、3年間分の(金銭)補償を正当な砂金採取者全員に対して行なうこと。
・ 住民が別の持続可能かつ連続的な収入源を持てるよう、サンロケダム事業が流域を破壊したことでできなくなった砂金採取に代わる、持続可能な代替の生計手段を提供すること。


 私たちは、フィリピン電力公社、サンロケパワー社およびその他の関連機関が私たちの意見を尊重、考慮し、私たちがこのポジション・ペーパーの中で宣言した見解を指針として、適切な措置を講じるよう要求します。


(FoE Japan注:このポジション・ペーパーは2004年4月23日、TIMMAWAがサンロケパワー社との補償交渉に臨んだ際に、サンロケパワー社に提出したものです。)

(翻訳:FoE Japan)  
(c) 2002 FoE Japan.  All RIghts Reserved.

サイトマップ リンク お問い合せ サポーター募集 English