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地元住民から日本政府への 「アグノ川統合灌漑事業(サンロケ灌漑部門)に関するレター」
2003年1月15日


Tignay dagiti Mannalon a Mangwayawaya iti Agno (TIMMAWA)
アグノ川の自由な流れを取り戻すための農民運動
C/0 Aglipay Central Theological Seminary (ACTS)
Nancamaliran West, Urdaneta City


国際協力銀行
総裁 篠沢 恭助 殿

Cc:川口 順子 外務大臣
  塩川 正十郎 財務大臣
  平沼 赳夫 経済産業大臣

(国際環境NGO FoE Japanを通じて提出)


前略

 私たちは、パンガシナン州において提案されている灌漑プロジェクトに関して行なわれたフィリピン国家灌漑庁(NIA)とのコンサルテーションについて、近日の状況を国際協力銀行にお知らせしたいと思います。去る1月9日、NIAと私達TIMMAWAは、アグノ川統合灌漑プロジェクトに対する私たちの立場に関して、対話の機会を持ちました。その対話の中で、NIAは同プロジェクトの承認をするようにと私たちを必死に説得していました。

 私たちTIMMAWAは、サンロケダムプロジェクトに反対する被害者および影響を受ける農民の集まる真の組織として、私たちがサンロケダムに関連した灌漑(FoE注:プロジェクト)を承認していないことを貴行にお知らせしたいと思います。私たちは、同地域における土地の生産性を高めるために灌漑が必要であると思っていますが、大規模ダムに関連した灌漑プロジェクトには反対です。私たちは、ダムを基に考えられたどんな灌漑プロジェクトも、パンガシナン州の住民にとって脅威となり、また、農民の利益にはつながらないと考えます。というのも、上流部で無制限に行なわれている鉱山開発によって、アグノ川は、鉱毒問題や非常に深刻な土砂堆積の問題を抱えているからです。

 フィリピン国家灌漑庁は、パンガシナン州の他の農民組織の参加も得て行なわれた昨年2002年11月8日のワークショップの中でなされた合意事項を、再三再四にわたり破ってきました。そのワークショップには、国際協力銀行も出席していました。他の組織も、灌漑プロジェクトについての徹底したコンサルテーションを開くこと、また、よりよい解決方法を見出していくために、同灌漑プロジェクトが必ずしもサンロケダムを基にしたものである必要はないということに合意していました。また、そのワークショップでは、水質調査を含む社会環境調査、さらには、灌漑用の代替水資源の調査を行なっていくことも合意されていました。

 現在まで、そのような徹底したコンサルテーションというものは行なわれていません。これまでのところ、NIAによる町レベルでのコンサルテーションが開かれたのみで、そのコンサルテーションは、灌漑プロジェクトの影響を受ける地域社会の農民が、十分に出席したものではありませんでした。さらに、これらのコンサルテーションは、TIMMAWAとの間で(FoE注:開催について)相互に合意したものでも、また、(FoE注:開催の日程などについて)共同で計画されたものでもありませんでした。(FoE注:コンサルテーションが行なわれた時期は、農民にとって多忙期に当たる田植期・収穫期と重なっており、多くの農民は参加できなかった。)

 灌漑に関連した社会環境問題を調査するために、TIMMAWAとNIAの両サイドから専門家を出し調査チームを結成するという試みにも、NIAはまだ取り組んでいません。それどころか、NIAは水質検査をこれまでに行なったこと、また、独立したコンサルタントや調査の利用・存在を主張し、彼ら自身の調査結果を信じてやみません。しかし、繰り返しになりますが、これはワークショップでの合意事項に違反しています。

 NIAのこのような行為は、農民とともによりよい灌漑プロジェクトを作っていくことへの無関心さを示すものです。また、ワークショップでの合意事項に違反しているのがNIAであるという事実は、灌漑プロジェクトに関して行なうNIAとの作業が実を結ばないものに終わってしまうことを証明しています。

 したがって、TIMMAWAは、同灌漑プロジェクトに関するNIAとのコンサルテーションを一切、辞退させていただくことをお知らせしたいと思います。私達は、灌漑プロジェクトに関して、サンロケダムに関連したどんな灌漑プロジェクトにも反対していくという私達の最終見解をNIAに表明しました。

 最後に、私たちは、サンロケダムに関連した灌漑プロジェクトへの融資を行なわないよう、国際協力銀行に要請します。私たちは、サンロケダムの商業運転に反対しており、このようなプロジェクトは住民の利益にはつながらないと考えます。さらに、移転住民や砂金採取者、また、影響を受けた農民など、サンロケダムの被害者は、依然として補償を受け取っておらず、ますます貧困に陥っています。私たちは、彼らの補償について緊急な対応を求めています。

 ありがとうございました。国際協力銀行が私たちの見解を好意的に受け止め、配慮していかれることを期待しています。

                                                草々


TIMMAWAリーダー
Jose Dorton  
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