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2006年4月6日
世界遺産の知床に、油に汚染された大量の海鳥が漂着
2月27日、北海道・知床に油で汚染された大量の海鳥が漂着していることが確認されました。
発見された海鳥は、ウミスズメ科が最も多く、希少種ではウミガラスやオオワシも発見されました。その数は、3月29日時点で5,338羽(斜里町の発表)。春になり雪解けがすすめば、さらに多くの海鳥が発見されることが予想されています。
現在、関係機関によって、汚染源の特定作業が進められています。北海道庁は3月23日の記者会見を行い、海鳥に付着していた油について「C重油(燃料油)の可能性が非常に高い」という分析結果を公表しました。
しかしながら、油の発生源はまだ特定できていません。よほど大量の油が流出したのでなければ、これほどまでに多くの海鳥が被害を受けることはないでしょう。
この油流出の原因は何なのか? 再発を防ぐためにも早急な原因究明が求められています。
3月5日には、国後島西岸でも大量の海鳥が漂着しているとの報道がありました。知床で発見された海鳥との関連性はわかりませんが、こちらも今後の調査の結果が気になります。
※詳細な情報は以下のページをご覧ください。
斜里町ホームページ >https://www.town.shari.hokkaido.jp/he2005/umidori/umidori2.html
日本野鳥の会オホーツク支部 >https://www.wbsj-okhotsk.org/
繰り返される油流出事故
今回の事件では、油汚染の原因として、サハリンの陸上・海上油田開発に関連する事故、不法投棄、航行中の船舶または沈没船からの燃料油の流出など様々な可能性が考えられています。
当初、オホーツク海の海流と流氷の流れから、可能性の一つとしてサハリン沖での事故が汚染原因ではないかという議論がなされました。その際に分かったことは、サハリン周辺では2005年11月〜12月の間に3件もの事故が報告されていたということです。
【2005年11月〜12月に報告された事故】
2005/12/22
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サハリンTの鉱区から燃料漏れ
―供給船から石油採掘プラットホームへ燃料を汲み移していた際に燃料油が流出。流出した燃料は490リットル。事故当時は暴風のため、回収が困難とされた。
(12月23日ASTV報道)
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2005/12/13
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サハリン東北部・カタングリでパイプライン油漏れ
―パイプラインの腐食により油が流出し、ベジンガ湖沿岸6.5千平方メートルと水面5千平方メートルが汚染された。16日の時点で、流出した原油は3万リットル。
(12月16日ASTV報道)
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2005/11/15
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サハリン東岸・石油ターミナル付近でタンカー座礁事故
―原油27000トンを積んだタンカーが舵の損傷により座礁。救助船がコルサコフ港へ曳航し、損傷の程度を調査・修理するという。原油漏れについては報告されていない。
(11月16日ASTV報道)
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これまでにもサハリン周辺では油流出事故が繰り返し起きています。(下の表を参照)サハリンでは今後も多くの開発が計画されています。今後、必然的に、オホーツク海で大規模な油汚染が起こる危険性も増加していくでしょう。
大惨事を招かないために、オホーツク海での油流出の未然防止、防除対策の抜本的な見直し・強化が必要です。
(写真)2004年9月のホルムスクでの油流出事故の現場。クリックすると他の写真も見られます。
【過去に発生した主な油流出事故】
2005/07/19
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サハリンTのチャイボ鉱区で、作業船から燃料漏れ
―作業船の船体に穴が開き、約5.5トンのディーゼル燃料が流出。一部が沿岸地域に漂着し、海岸周辺が約500メートルにわたって汚染された。 |
2004/09/08
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サハリンUの浚渫船が台風の影響で座礁、重油流出
―浚渫船が強風にあおられて座礁し、燃料タンクから189トンの重油が流出。対応の遅れなどにより、約5キロにわたって海岸線が汚染された。
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1999/11/28
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サハリンUの掘削基地から原油流出
―海面のうねりを受けて貯蔵タンカーが流され、送油チューブがはずれたため原油が流出。流出した原油はおよそ480リットル。現地では、油膜が海上に長さ7km、幅2kmにわたって広がったという情報もある。 |
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