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サハリン石油・天然ガス開発 現地視察報告
10月23日から1週間、サハリン島に行って来ました。FoEで1999年から取り組んできたサハリンII石油・天然ガス開発事業の第2期工事の準備が着々と進められているその現場の視察および、サハリン、アメリカ、韓国のNGOと今後の取り組みについて協議をするためです。

現在サハリンでは、サハリンIとサハリンIIの二つの石油・天然ガス開発が進められていますが、これらの開発はさまざまな問題をはらんでいます。(下記概要を参照)

今回現地で、ニヴフ族、ウイルタ族などの先住民族の方、漁業関係者の方、州政府の方、そして推進する企業の方にお会いすることができました。企業側は「公聴会などを通し、先住民族をはじめいろいろな方の意見を聞いている。第2期工事が始まれば、雇用が促進され、理解を得られるであろう。また、地域連絡事務所を常設し、地元の人がさらにアクセスしやすい環境づくりをめざす」と言っています。

しかし、ひとたび町に入り先住民や漁業従事者の話を聞けば、漠然とした懸念は抱えているけれども、明確には自分たちへの影響を知らされておらず、既に魚減少や大量死など石油開発による影響が大きいのではないかと思われる現象を肌身で感じています。雇用に関しても、訓練など行われていないし、期待できないと言います。ますます伝統的な生活が営めなくなることに危機感をいだいているのです。

また、帰路に立ち寄った北海道ではオホーツク海のタンカー事故による油流出への懸念の声が多く聞かれました。潮の流れを考えると、流出した油は北海道沖へと流されてきます。最悪の場合は北海道の海岸が油まみれになることも考えられます。

私たち日本の市民は、これらの開発で採掘された石油や天然ガスの消費者になる可能性が大いにあります。また、日本企業の関わりや日本政府からの融資も出されています。これらの開発が環境や社会に配慮されたものになるよう、今後FoEは活動を続けていきます。皆さまもご関心を寄せていただきますようお願いいたします。

■サハリン石油・天然ガス開発と日本の関わり■

◎サハリンI

(1)参加企業:エクソン、サハリン石油開発協力(株)、Rosneftegazstroy、Sakhalinmorneftegaz-Shelf
サハリン石油開発協力(株)(通称SODECO)には石油公団や伊藤忠など18社が出資。

(2)日本の融資:国際協力銀行がSODECOに対し2000年3月に1,100億円の融資を行うことを決定。

(3)概  要:サハリン島北東部の3ヵ所の鉱床から石油とガスを掘削。ロシア本土へのパイプラン輸送および日本への海底ガスパイプランを敷設予定。日本へのパイプラインは本州、東京近郊まで敷設する計画。また現在津軽、三陸沖などでパイプラインの漁業影響調査が行われている。この調査の費用は日本サハリンパイプライン(株)(日本石油資源開発、伊藤忠、丸紅出資)によってまかなわれている。

(4)問 題 点:先住民族の伝統的生活の破壊(トナカイ飼育)、海底パイプラインの漁業への影響、絶滅危惧種であるコククジラへの影響、サハリン島の地域経済への貢献についての疑問

◎サハリンII

(1)参加企業:シェル、三井物産、三菱商事がコンソーシアムを組んでサハリンエナジーを設立。

(2)日本の融資:第1期工事に旧輸出入銀行(現在の国際協力銀行)から1億1600万ドル融資。

(3)概  要:サハリン島北東部の2ヵ所の鉱床から石油とガスを掘削。1999年から既に石油のタンカー輸送が開始されている。現在準備中の第2期工事では、サハリン島を縦断する約800kmの石油・天然ガスの陸上パイプラインを敷設予定。また島の南端に液化天然ガスプラント建設。

(4)問題点:タンカー事故による油流出対策の不備、絶滅危惧種であるコククジラへの影響、汚泥の海洋投棄、陸上パイプラインの環境・社会影響、サハリン島の地域経済への貢献についての疑問、天然ガスの買い手の不在

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