これに基づいて、7月3日の第7回ガイドライン改訂コンサルテーション会合で議論が行われました。JBIC/NEXI側は、政治問題になりかねないことなどを主な理由として、先住民族に関する要件を現在以上に盛り込むことには後ろ向きでした。
2008年7月14日
JBIC/NEXI環境ガイドライン改訂コンサルテーション会合資料
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
原子力資料情報室
国際環境NGO FoE Japan
市民外交センター ヒューマンライツ・ナウ
メコン・ウォッチ
満田夏花(地球・人間環境フォーラム)
論点21(先住民族)について ガイドライン改定案の提案とコンサルテーション会合で寄せられた懸念に対する見解
1. 先住民族に関するガイドライン改定案 これまでの議論を踏まえた新ガイドライン修正文案を以下に示します。なお、ガイドライン改定の必要性を示すために、先住民族への影響に関する事例集を添付したのでご覧ください。
○ガイドライン本文改定案 (先住民族)
・ プロジェクトの先住民族への影響は、あらゆる方法を検討して回避されなければならない。回避が可能でない場合には、先住民族に関する国際的な宣言や条約の考え方に沿って、土地及び資源に関する先住民族の諸権利が尊重されるとともに、先住民族への影響を評価した上で、影響を最小化し、緩和し、損失を補償するための具体的な実効性のある文化的に適切な対策が講じられなければならない。影響の評価および対策の立案においては、当該先住民族の社会的、経済的、文化的な特性を踏まえなければならない。
・ プロジェクトが先住民族に影響を及ぼす場合、先住民族に関する国際的な宣言や条約の考え方に沿って、土地及び資源に関する先住民族の諸権利が尊重されるとともに、(注1)自由で事前の、十分な情報に基づいてく先住民族の合意が得られるよう努めねばならない。また、影響の評価、および影響の最小化、緩和や損失補償のための対策の立案、実施、モニタリングには、当該先住民族の参加が確保されていなければならない。
・ プロジェクトの先住民族への影響を回避するための検討の過程、および先住民族への影響、影響を最小化し、緩和し、損失を補償するための対策は、独立の文書として、または他の環境社会配慮に関する文書の一部として表されていなければならない。この文書の案および最終版は、先住民族が理解可能な言語および様式によって公開されている必要がある。この文書には、別表に示す事項が記述されていることが望ましい。
(別表として世界銀行OP4.10 Annex Bの日本語訳を添付)
○ガイドラインに関するFAQへの追加案
Q JBICガイドライン第2部・NEXIガイドライン別紙1(先住民族)において言及されている先住民族に関する国際的な宣言や条約にはどのようなものがありますか?
A 先住民族に関する国際的な宣言や条約の代表的なものとして、以下のものが挙げられます。
・ 先住民族の権利に関する国際連合宣言(United Nations Declaration on
the Rights of Indigenous Peoples)
・ 独立国における先住民族および種族民に関する条約(Convention concerning
Indigenous and Tribal Peoples in Independent Countries)(通称:国際労働機関(ILO)169号条約)
(注1)この削除は、国際的宣言や条約への言及が第1段落に移されることを前提としている。
続き...(2ページ目中央より)