|
|
|
|
シベリアー太平洋パイプライン 事業の概要と問題点
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
プロジェクトの概要
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
目的: 西シベリア及び中央シベリアの油田地帯から日本海沿岸まで石油を輸送
投資総額: 110億米ドルから170億米ドルと見込まれている、ロシアでは 過去最大のプロジェクト
主な事業実施者: ロシア国営の石油パイプライン企業であるトランスネフチ 社。その他の事業者は今後決定。
パイプライン: 全長4188kmにも及ぶ世界最長の石油パイプライン計画。二段階に分けて建設される。第一段階は、シベリアのタイシェトから中国国境に近いアムール地域のスコボロジノまでの建設及びペレボズナヤへのターミナル建設。第二段階は、ターミナルとパイプラインをつなげるもの。
拡大<<
|
|
|
日本との関わり
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
- 2005年11月、小泉首相とロシアのプーチン大統領の会談において、シベリアー太平洋パイプライン・プロジェクトを早期かつ完全に実現するための日露の協力について、2006年のできるだけ早い時期までに政府間の合意を目指すことで一致。この際、「エネルギーの個別分野における協力に関する細目」に両政府関係大臣が署名。
-
2006年3月、プーチン大統領は、日本の経済産業副大臣らと会談し、その場で、同事業推進のため、東シベリア油田開発に日本が投資するよう要請。日本の経済産業副大臣も協力する意向を伝えた。
(参考)「エネルギーの個別分野における協力に関する細目」
1.1.3. 「東シベリア-太平洋」パイプライン・システム建設プロジェクトにおける協力
ロシア側は、上記パイプライン・システムの第一段階の建設終了後ペレヴォズナヤ湾から相当量の石油及び石油製品が輸出されることを表明した。
…双方は、上記パイプライン・システムの第二段階の建設の実現に関連する可能な協力についての両国の企業及び機関間の交渉が開始されることを歓迎し、その加速化を支援する。双方は、これらの企業及び機関による互恵的合意の達成及びその実施のための条件について協議する。双方は、この協議の結果、2006年のできるだけ早い時期までに相互了解に達することを目指す…
|
|
|
|
事業の主な懸念点 ―石油ターミナルの建設場所―
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ペレボズナヤが、石油ターミナル建設予定地として不適切である主な理由(※1)
- ペレボズナヤは未だ手付かずの海岸線で、インフラがほとんどない
- 海岸線が長く、大きく海に開け、水深が浅いため、最低でも海岸から2キロメートル沖合にターミナルを建設しなければならないので、タンカーは、常にアムール湾の強風、高波、濃霧にさらされる
- 湾の構造上、流出原油の回収が難しく、流出原油は広範囲に拡大、海岸線に沿って長距離にわたり汚染される
- ターミナル建設予定地は、ユネスコが指定するロシア最古の自然保護区・ケドロバヤ・パジ生物圏保護区に隣接。同保護区には、貴重な生態系及び希少生物がみられる。また、ロシア全土の絶滅危惧種のうち15パーセントが、ターミナル建設予定地である沿海州南西部一帯に生息している。
- 世界の大型猫科動物で最も絶滅の恐れがあるといわれるアムールヒョウの生息域を、通リ抜けることになり、アムールヒョウ絶滅に更に拍車をかけることになる(※2)
→専門家が全候補地を比較検討した結果、ペレボズナヤは、ターミナル建設に最も不適とされた。 ロシアのNGOや専門家は、代替案として、既に石油ターミナルがあるナホトカ近郊の既存施設を提案(※3)
(※1)グリーンピース・ロシア、IFAW ロシア、モスクワ動物園、パシフィック・エンバイロンメント(USA)、フェニックス・ファンド(ロシア・ウラジオストク)、プレオブラジンスキー教授(ロシア科学アカデミー、ロシア極東支部、地理学研究所)、シー・プロテクション・インスティテュート(ロシア・ウラジオストク)チグリス財団(オランダ)、WWF ロシアが2005年10月に作成した、「シベリアー太平洋パイプライン−沿海州南部の石油ターミナルの経済的・環境的影響とリスク−」を主に参考にした。
(※2)アムールヒョウは、沿海州南西部一帯だけに生息している、個体数は30数頭の世界一希少な大型ネコ科哺乳類
(※3)参考資料:「シベリアー太平洋パイプライン−沿海州南部の石油ターミナルの経済的・環境的影響とリスク−」付属資料IV−A 石油ターミナル建設代替地の比較
|
|