最新情報(2001.9.4) デイリー・ネーション紙 Daily NATION
日本の調査議員団、発電所建設は問題なしとコメント John Oywa 【ケニア】 2001年9月4日
日本からの調査議員団5名は昨日、ソンドゥ・ミリウ水力発電事業地を視察、事業は極めて健全な状態で進められていると言明した。これにより足踏み状態にあった総工費120億シリングの同事業が、再び進み出す可能性が出てきた。 議員団は、事業が健康・環境・社会面での問題を引き起こしてきたとの事実は確認できなかったと述べ、第2期工事に必要な85億ケニア・シリングの融資決定に向けて政府に働きかけることを約束した。 同事業については、60メガワットの新たな電力をケニア全土に供給することが期待されている。しかし融資が再開されなければ、11月にも中止に追い込まれる危険性があった。
事業の是非を巡るケニア国内での論争が日本政府による追加融資の凍結を生み、すでに工事は1年半に渡り遅れてしまっている。この影響によるケニア電力公社の損失は、売電事業で2500万ドルにも上ると見られている。 昨日報道機関に渡された文書によると、電力公社はこれから建設業者との気が遠くなるような法廷闘争にも直面することになりそうだ。
訪問した議員はすべて衆議院外務委員会の理事メンバーであり、うち3名は野党の議員であった。ニャカチ州ニャンド地区で約4時間にわたり現地視察を行った。 調査団の視察は、アドゥ・アウティ計画大臣、ピーター・オドヨ外務大臣補佐役、エドウィン・ワスナ ケニア電力公社管理局長、その他、技術者らによって案内された。
議員団団長の土肥隆一氏は、議員団は事業に感銘を受けたと語り、さらにいくつかのNGOからの不満の声は「誤解」に基づくものだ、と評した。 「多くの人々が実際の事業を見ないままに、ケニアのいくつかのNGOからの(事業への)非難を信じ込んだ。我々は今回実際の事業を見てきており、正しい情報を持って帰りたい。」と土肥団長は述べた。 また「我々は事業に感銘を受け、そしてこの事業は充分実行可能であると確信した。今後、事業への支援のため衆議院議員30名および日本の納税者を説得する。」と彼はつけ加えた。 しかし彼は、日本の国会がいつ融資継続の決定を下すかについては明言を避けた。 同事業の技術委員会座長であるラファエル・カピヨ博士は、NGOからの事業への批判の中には悪意に満ちた的外れなものもある、と議員団に語った。「彼らの指摘している事業の問題点もある一定は事実であり、その部分についてすでに解決が進んでいる。しかしほとんどのは事実ではない。」
オティエノ・コピヨとデニス・アクム両前国会議員が率いる住民団体が、環境破壊や不十分な補償などの問題を指摘し、事業の見直しを求める運動を始めて以後、事業を巡る激しい論争が巻き起こり膠着状態が続いてきた。 両前議員はアフリカ・ウォーター・ネットワーク(ナイロビ)と連携し、粘り強い運動を続けてきた。このことが、日本政府が第2期工事に必要とされる85億ケニア・シリングの追加融資の一時凍結を招く大きな原因となった。 彼らは、環境影響評価レポートにおける事業に対する提言がまったく実行されておらず、移転住民に対する補償も不十分だ、と主張してきた。
だが昨日、日本の議員たちはNGO(による主張)は不当である、として非難した。 「我々はこの事業の完成を願っている。そして事業の問題点調査のため設立された技術委員会報告を尊重し、賛同の意を表したい。」と衆議院議員の鈴木宗男氏は語っている。
地元から選出されたオドヨ議員は、日本の議員が自ら事業の現地調査に訪れたことを大変嬉しく思う、と語った。 「いま彼らは、インターネット上に流れていた事業に関する情報が事実ではないことを知った。私たちは、彼らが帰国して少しでも早く追加融資の決定を行うよう日本政府を説得してくれることを願っている。」とオドヨ氏は述べた。
今回の調査議員団には、外務委員会の調査担当や東京およびナイロビの大使館関係者も含まれていた。さらに事業への円借款を担当している国際協力銀行職員も同行している。
当初議員団は待機していたケニア代表団を残したまま、日本語のできる事業技術者の同行のもと独自に事業地を訪問することを決めるなど、緊張感漂う場面もあった。 電力公社職員によると、議員団は最大限独立しての調査を希望し、キスム空港到着時には公社側が用意した車両に乗ることさえ拒否し独自でチャーターした車で事業地を視察したという。
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