ケニア円借款案件(ソンドゥ・ミリウ水力発電事業)
6月29日の質問に対する内閣からの答弁書(7月17日)


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内閣衆質一五一第一三〇号

  平成十三年七月十七日

内閣総理大臣 小泉 純一郎

衆議院議長 綿貢民輔殿

衆議院議員保坂展人君提出

 ケニア共和国、ソンドゥ・ミリウ水力発電事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   衆議院議員保坂展人君提出

ケニア共和国、ソンドゥ・ミリウ水力発電事業に関する
再質問に対する答弁書

一の(1)について

 ソンドゥ・ミリウ水力発電計画(以下「本件計画」という。)は、昭和六十年十二月にケニア側が作成した「ソンドゥ川多目的開発計画」の一部を構成するものであり、費用、工期等の観点から優先的に実施すべきものとされていると承知している。

 本件計画の円滑な実施を図るために必要な調査、設計等(以下「本件調査等」という。)については、我が国はケニアとの間で、平成元年六月に六億六千八百万円までの円借款を供与することを内容とする交換公文の締結を行った。この円借款については、同年十月の借款契約締結の後、本件調査等を日本工営株式会社が受注し、約六億六千六百万円が円借款の対象となっている。本件調査等の具体的内容は、本件計画についての実現可能性、妥当性及び投資効果の見直し並びに環境影響評価の実施、本件計画に係る施設の設計及び施工方法、工事費並びに事業期間の検討等である。

一の(2)について

 平成九年一月に六十九億三千三百万円までの円借款を供与することを内容とする交換公文を締結し、同年三月に借款契約を締結した本件計画の第一期分については、土木工事の一部(取水設備、導水路、アクセス道路等の整備)につき、国際競争入札の結果、株式会社鴻池組、ベデッカ、マーレーアンドロバーツ共同企業体が受注し、約四十四億二千五百万円が円借款の対象となっており、また、コンサルティングサービスの実施につき、日本工営株式会社が受注し、約十八億七千六百万円が円借款の対象となっている。

一の(3)について

 お尋ねの小学校の移転については、御指摘の建設費用の額がいかなる根拠に基づくものか明らかでないが、我が国の円借款の対象ではなく、その費用について我が国に対する返済義務が生じるものではない。

 なお、国際協力銀行が事業実施機関であるケニア電力公社等に確認したところ、当該小学校に係る電気については、既存の配電網から配電されるよう事業実施機関が取り組んでいること、水道については、既にケニア側により井戸が採掘されており、水の供給は確保されていること及び御指摘の始業ベルについては、今回の移転に伴い購入した事実はなく、旧校舎時代から利用されているものであることの報告を受けている。

二の(1)について

 御指摘の集会は、平成十二年二月二十八日、ケニアのニャンザ州ニャンド県アッパーニャカチ郡で州知事への事前の届けをせずに行われたものであり、通報を受けた現地の警察当局が出動し、集会を解散させるとともに、日本人記者を含む十七人を連行し、数時間の拘束の後、解放した経緯があったと承知している。この事案に対し、在ケニア日本国大使館は、当該日本人記者から事情を聴取した上で、同大使館広報文化センター所長名にて同年三月六日付けでアッパーニャカチ郡長あてに書簡を発出し、日本人記者逮捕に至った状況及び逮捕理由についての説明を求めるとともに、かかる事件が日本人報道関係者にケニア側が不法に取材活動を妨害しているとの誤解を与えることを懸念する旨を伝えている。現在まで当該書簡に対するケニア側からの明確な回答はなく、繰り返しケニア側に回答を求めているところである。

二の(2)について

 本件計画に関し、報じられている諸問題については、在ケニア日本国大使館において、国際協力銀行ナイロビ事務所と連携しつつ、関連情報の把握及び報じられている諸問題の事実関係の確認に努めてきており、また、適宜外務本省への報告及びケニア側への働き掛けを行ってきている。最近の同大使館による主な対応としては、本年五月三十一日いケニア駐箚青木大使からケニア側に対し、環境社会面の諸問題につきケニア側の至急かつ誠実な対応を求めたこと、同年六月六日及び十三日に同大使館からケニア側に対し、対話集会及び技術員会が多様な意見が反映される場となるよう、本件計画に批判的な非政府組織(以下「NGO」という。)及び地元住民を含めできるだけ多くの者の参加を促してほしい旨並びに本件計画に関し、多様な意見を有する者が身の安全を危惧することなく自由に意見が述べられるよう、安全の確保及び人権侵害の排除に万全を期してほしい旨を申し入れたこと、同月十六日から二十日にかけて現地に派遣された外務本省担当課長による現地調査の際、同大使館職員が同行し、地域住民及びNGOからの聞き取り調査、ケニア側との協議等を行ったこと等が挙げられる。

 また、御指摘の報道が何を指すのか必ずしも明らかではないが、ケニア駐箚青木大使は、本件計画へのケニアにおける関心が高いことから、種々の機会をとらえてケニアの報道関係者等に対して、本件計画に関する我が国国内における論議の状況と問題意識を国会の議事録等外務本省から同大使館に送付した関連資料を踏まえて紹介したり、環境社会面の諸問題につきケニア側の適切な対応を促していくとの我が国政府の方針に基づき同大使館がケニア側に対して行った申入れの内容を説明する等している。

三について

 外務省においては、政府開発援助(以下「ODA」という。)の効果的かつ効率的な実施、ODAの質の向上、国民に対するODAの実態や成果の情報提供等の観点から、ODAに対して公平かつ客観的な評価をすることが重要であると考えている。このため、ODAの評価については、有識者、コンサルタント、国際専門家、NGO等の第三者によるものも実施してきており、その割合は年々増加している。今後とも、第三者による評価を充実させ、より公平かつ客観的な評価を行っていく考えである。

四について

 御指摘のオディノ滝に関する調べがいかなる形でなされたか明らかでないが、本年二月に国際協力銀行の環境社会調査団が、地域住民からの聞き取り調査等の現地調査を実施した際、同滝が文化的又は宗教的に重要な場所であることは確認されなかった。

 なお、同年六月に外務本省担当課長を現地に派遣して地域住民からの聞き取り調査等の現地調査を実施した際も、同滝が地域住民にとって文化的又は宗教的な意味で特別の存在であるとの意見は無かった。

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