Stakeholder's Meeting 意見交換メモ(2001.1.26)
● JBICの新井氏から24日、26日両日の報告 1、概要 キスムから車で1時間のところにプロジェクトサイトにあり、そこから更に車で数十分行ったところにケニア電力公社の管理事務所がある。その中に地域住民に説明会などをするための施設がありそこで、会合が開かれた。 1月24日の会合は10時から始まる予定だったが結局11時から始まり、1時間のお昼休憩を挟んで午後5時30分まで行われた。26日の会合は11時から休憩なしで午後5時30分まで行われた。この日はかなり積極的な議論が行われた。両日とも準備された200席のイスは満席で、24日は立って出席した人がおり、26日は中に入れなかった人が多数いた。公式な記録は正確な数が出されるだろうが、両日とも約300名ほどの参加があったと思う。出席者名簿も後日公開される予定。
この2つの住民集会で以下の2点についての決議が出された。 1)関係者が本事業の継続を要望。なるべく早い時期に第2期融資を実行してもらうよう要請する。 2)事業の実施課程で、これまでに挙げられた問題を解決していく。第2期工事の実施期間中に利害関係者間で調整を行う。 これ以外にも定期的なコンサルテーションを開くこと。このためのTechnical Committeeを1週間をめどに立ち上げ、問題点を議論するということも話し合われた。この決議はAfrica Water NetworkやSondu Miriu Advocacy Groupも支持している。このモニタリングをするための委員会はKopiyoさんの提案であった。
2, 1月24日の会合について 議長はケニア電力公社の人が行った。率直な意見交換がなされた。議事録は公開で記録のためにビデオ撮影も行われた。会合で出された意見としては、特に継続を訴える声が多かった。問題点としてあげられたのは、工事での雇用についての意見が多かった。地元からの雇用を拡大してほしいとの声が多かった。また、当該地域だけではなく、それ以上の地域でも道路のインフラ整備や医療設備の整備などの要望があった。 当初、Kopiyo氏が議論をリードしていたが、彼は事業地域よりも上流地域選出の元国会議員であったため、彼は地域住民を代表していないとの意見が相次いだ。Odera氏やKopiyo氏らは少し遅れて会合に参加し、入り口のところでJBICの澤井氏と話をした後、彼らの知っている住民がいないという理由で会議を退席した。彼らの退席後もAWNの議長は引き続き会議に出席していた。Odera氏とKopiyo氏も退席するまで積極的に発言していた。 他の参加者からもAWNがコミュニティを代表していないとの声があった。また、AWNだけ特別扱いはおかしいとの話もあった。AWNらが出した19項目について話をしようという意見が出たが、AWNの弁護士が裁判所に提訴されている事件との関係で本件については話ができないとの意見が出された。その後、日本から担当者も参加しているしこのまま会議を終わりにしてしまうよりも、19項目は話をしないことにして会合を続けようと話がまとまったが、Oderaたちは退席してしまった。彼らの会合への参加は11時25分頃から12時20分頃だったと記憶している。
3、1月25日の現地調査 JBICの澤井氏とOdera氏の話で、一緒に、19項目の中で指摘のあった問題のある地域を見て回る予定で午前中待機していたが、Odera氏はあらわれなかった。
4, 1月26日の会合の様子 会場は満員で外にも中に入れない人たちがあふれていた。Odera氏もKopiyo氏も積極的に発言していた。全体の3分の1はAWNからの発言で、それ以外に地域の人々から工事、インフラ整備、用地補償の問題などについての不満が出された。Odera氏がこの人が影響を受けている人ですと紹介した女性からは、工事による騒音(ダイナマイトの爆発音)による心労のため夫が亡くなり、代替地もひどい土地であるとの訴えがあった。それ以外にも、水質汚染の問題、水場が15キロメートルあるいは50キロメートルと遠方になってしまった、灌漑の整備が行われるのか、警官やガードマンが地域のこどもたちを横暴に追い払う、建設現場での雇用についての汚職などの問題が出された。 建設現場の雇用については、なるべく現地の人を採用するために雇ってほしい人を地域の人に推薦してもらう方法を取っていたが、推薦するために斡旋料を取っている人がいる、戸の指摘を受けた。 事業の継続については、各団体から継続を求める発言が相次いだ。オニャンゴ氏(アドボカシーグループ?)もプロジェクトを支持するとの発言。Otieno氏はPRSPの観点からの問題解決が必要との発言をされた。Kopiyo氏もプロジェクトを支持するとの発言をされた。大学の先生がG7大国として事業の継続を行ってほしいと要請された。日本人の神戸氏からは社会・環境の視点から日本政府の慎重な判断を求めたいとの意見が出された。これが唯一プロジェクト支持ではない意見だったと記憶している。 26日の決議では、1)事業継続を要請する、というものと2)定期的にコンサルテーションを行い問題解決を行っていくというものであった。Kopiyo氏およびOdera氏から問題解決を前提として事業を継続すべき堕との意見が出されたが、最終的にはKopiyo氏やOdera氏も認めた上で、事業継続の要請に条件をつけないことが合意された。さらに、Kopiyo氏から委員会の設置についての意見が出された。彼はJBICにも参加要請したが、JBICとしてはオブザーバーとして参加することを考えている。
●質疑応答 Q1: 会議で使用された言語は? A1:会議は英語とルオー語で進められた。地域の代表の人はほとんど英語を話し、地域の住民も英語を話す人が多かった。理解できなかった発言は2つあった。一つは神戸氏がスワヒリ語で挨拶をされたとき。もう一度は現地の政府関係者が冗談を言ったときだけであった。
Q2: 決議はどのように確認されたのか。 A2: 26日の決議は挙手によって確認された。議長が内容を読み上げた上で挙手を行ったので、全員が内容を確認していたと思われる。案文のコピーがKopiyo氏の要請で配布された。配布された内容どおりのものが採択されたと理解している。この決議の案文は1月24日に策定されたもの。
Q3: 26日の会合の案内はどのように行ったのか。 A3: 住民にはそれぞれの地区から連絡をしてもらった。厳しい意見も出されたので、良い意見を言う人だけに案内が行われたわけではないと思う。住民だけではなくて、Climate Network Africa, AWN, Eco-news, Sondu Miriu Monitoring Committee, Sondu Miriu Advocacy GroupなどのNGOも会合に参加していた。
Q4: 今回の会合の趣旨は? A4: これまでの住民への説明を3ヶ月に一回行ってきた。昨年12月以降、NGOから社会・環境問題について19項目についての意見が出されたので、JBICナイロビ支局長の澤井氏から会合でこの内容について説明をしてほしいと要請した。Odera氏から支持者ばかりの会合では困るという意見を頂いたので、いろんな人が参加している場で議論をしようということでこの場が設定された。 これまでも3ヶ月に一度住民集会を持ち、stakeholderが参加してきたが、今回は広くNGOなどにも参加を呼びかけた。3ヶ月に1回の会合の延長として今回の会合が開かれた、という認識である。 1月24日は住民の人が多く、26日の会合にはPCなど行政側の出席が多数あった。地元の議員は両日とも会合に参加していた。1月24日には200名を請える参加があったが、1日では議論が尽きないということで2日間の会合を設定した。24日には事業の概要についても説明を行ったが、26日は説明を省略してすぐに議論に入った。 24日の会合では、19項目はOdera氏らの要請により議論しないことになったにもかかわらずOdera氏らは退席してしまった。会合の前にOdera氏とJBICの澤井氏で意見交換をしていたので、地元住民が会場に入れない等の問題があればその時に澤井氏に相談できたのではないか。同日の午後8時ごろ、宿泊のホテルでばったりであった。その際になぜ会合を退席してしまったのか訪ねたところ、影響を受けている住民が参加していなかったためだとの話を聞いた。Odera氏は地域の人たちが会合に参加するための交通手段を提供してほしいと申し出たが、提供されなかったことが会合に参加できなかった理由だと澤井氏に話したという。 こちらでは、万が一のために移動手段としてバスも準備していたが、ケニア電力公社によるとOdera氏から交通手段の提供についての連絡はなかったということだ。
Q5: 24日の会合では、この事業は借金をして行われるものだという説明はあったのか。 A5: 会合では今事業が止まってしまうと借金だけが残るので困る、という意見はあった。また、これは借金をしてケニア側が実施する事業であるという説明もあった。オニャンゴ氏は昨年2月の会合以来これまでに雇用の促進を求めてきたが聞き入れてもらえないので、AWNに連絡を取り協力を要請したと話していた。
Q6: 1月26日の会合ではどのような問題点が指摘されたのか。さらに詳しくお聞きしたい。 A6: 26日は特に雇用の問題が多く指摘された。推薦者として名前を出すときに斡旋料を取る、そこで汚職が起こっているなどの指摘があった。この問題は今後委員会を通じて議論されることになるだろう。 その他の課題としては、カノ平野だけでなく、ニャカチ平原でも灌漑設備の整備を行ってほしい、国会議員からは地元地域を優先した雇用を行ってほしい、などの要望が出された。コンサルテーションは1年に2回行なわれること、どのような人とコンサルテーションを行うのかについて充分吟味をする必要があるなどの意見も出された。
Q7: 当日の議事録は公開されるのか。 A7: 議事録はケニア電力公社が作成することになっているので、近々公開されるのではないか。記録のために両日のビデオ撮影も行っている。その事は、両日とも最初に断りを入れている。
Q8: 両日の会合の目的はプロジェクトの是非を問うことだという認識はあったのか。 A8: 基本的には滴々名モニタリングの一環であるという位置づけであるが、今回の会合が今後のプロジェクトの継続を考える上で重要なポイントになるということは参加者は理解していたのではないか。 19項目も一つの議題となっていた。JBICとしては19項目についてプロジェクトを進める上で議論する必要があると考えていた。今までに何が問題になっているのかをまとめて話を聞ける場になればと考えていた。 24日には16-7人が発言し、地元住民の参加もあったの認識している。26日は本当に多くの方が発言された。多くの時間はAWNやNGOの発言で占められていたように思う。Odera氏がこの人が影響を受けている人です、と紹介されて発言されたのは1名のみであった。 JBICとしては、25日にOdera氏と一緒に影響を受けている地域が具体的にどこなのか、話が聞けることを期待していたが、本人が現れなかったため彼と一緒に確認することはできなかった。今後モニタリングの方法などについて検討していく必要があると思う。19項目については個人的な問題なども含まれているのではないかと思われる部分もある。特にコクダの森が事業によって破壊されたという項目は、地元に詳しい人と一緒に現地を視察したが、その森は工事が始まる前から家畜によって荒らされており、野生生物の生息は工事前から確認できなかったのではと思われる。 今後、意思決定においてきちんと現場で議論していくことが大切だと思う。また、どのような問題があるのかを確認する必要があると考えている。確認された問題点に対しては適切な対応が必要だと考えている。また、雇用の問題については雇用のしくみを見直していく必要があると考えている。今後とも住民の声を聞き、問題整理を行っていく必要があると考える。
Q9: 今回の会合で新しく明らかになった問題としてはどのようなものがあるのか。 A9: これまでもモニタリングを継続してきており、水質汚染などについては特に問題がないとの報告を受けている。特に新しい問題が明らかになったという認識はない。
Q10: 今後、どのような調査が行われることになるのか。 A10: どのような調査が必要なのか、必要でないのか、確認する必要があると考えている。
Q11: EIAはすでに現地で公開されているのか。 A11: EIAは公開されていない。会合において要望もあったので、ケニア電力公社と相談のうえ対応することになるだろう。
Q12: Resettlement Action Planは公開されているのか。 A12: 公開されていない。
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