地元NGO(コルディレラ人民同盟)によるプレスリリース(2001.07.12)
サン・マニュエル町の住民 同町最悪の洪水はサンロケダム建設が原因と批難 2001年7月12日
パンガシナン州サン・マニュエル町−パンガシナン州サン・マニュエル町の住民らは、7月初めに史上最悪の被害を同町にもたらした洪水の原因がサンロケダムの建設にあると批難している。
台風「フェリア」による洪水は、サン・マニュエル町がこれまでに直面してきたなかでも最悪の事態を引き起こし、現在、同町で生活する多くの人々の手元にはほとんど何も残されていない。彼らの農作物や家屋は何トンもの泥土や水の下に埋まってしまい、同地域のあまたの農夫、とくに、Sto. Domingoの農民の家々や生活は、みる影もない状態だ。
彼らは、今回の同地域での洪水の原因が、タクニエル川やトゥボイ川といったアグノ川から枝分かれしている支流の流れを変えたことにあるとしている。サン・マニュエル町の住民Bernabe Aquiho氏は、ダム建設のために近辺の山々を切り開いたことが(土砂流出を激しくし、)タクニエル川の流れを遮ることにつながり、通常であればバランガイLapaloに流れ込むはずの川の流れをSto. Dominngoの水田地帯の方向へと変えてしまったのだと説明した。同地域に泥土や水と一緒に流れ込んできた巨木は、根こそぎ倒れたものではなく、明らかに切り倒されたものだとわかり、住民らの主張を裏付けるものと言えよう。
住民らは、もし、タクニエル川の流れを変えたことに対して何ら措置が講じられなかった場合、これから先、台風による同市での被害がさらにひどいものになるのではないかとの懸念を抱いている。
今回の災害によって、サン・マニュエル町の住民らは、サンロケ多目的ダムプロジェクトへの反対の念をより一層新たにした。Tignayan ti Mannalan a Mangwayawaya ti Agno(TIMMAWA:アグノ川の自然の流れを取り戻す農民運動)などの地元の農民組織は、将来起こると予想されている環境への被害を住民らが懸念し始めていることを指摘し、また、国家最優先プロジェクトである同ダムの建設によって、これから先さらに大きな被害をもたらす洪水が起きないよう、ダム建設を中止すべきであると表明した。
7月11日の時点で、サン・マニュエル町の一部は依然、浸水したままの状態にある。小学校では、教室から水や泥土をくみ出す作業が終わっておらず、また、目抜き通りの一部が浸水状態にあるため授業は再開されていない。同町のSocial Work and DevelopmentのJuanita B. Malapitさんによれば、サン・マニュエル町では46棟の家屋が全壊、9棟が半壊したということだ。最もひどい被害を受けたSto. Domingoでは、31棟が全壊、2棟が半壊し、また、台風「フェリア」によって発生した鉄砲水で、67歳のEusebio Guiangさんが命を落とし、同地域社会を悲しみに包んだ。TIMMAWAの見積りによると、同地域の700haの水田が被害にあったということだ。Sto. Domingoの農夫らはまた、被害をこうむった地域のうちすでに半分は田植えがすんでおり、もう半分は収穫を間近に控えたPalayの畑だったと主張した。
住民らは、このような災害が二度と起こらないよう、具体的な解決策が図られることを要望している。
Salvador Perezサン・マニュエル町長は、昨年7月11日に市民会館で開かれた、影響を受ける住民らとの対話集会の際に、同町の洪水を防ぐため一時的に堤防を築くことを提案した。町長は同席で、アグノ川流域開発委員会の技術者であるMoreno氏とDomondon氏に住民側の苦情も伝えた。また、町長は、Sto. Dominngoでの洪水とサンロケダムの建設について、その関連性を調査することにしている。この点については、同町長がフィリピン・日刊インクワイラー紙Yolanda Fuertes記者によるインタビューのなかで、サン・マニュエル町での台風「フェリア」による被害はサンロケダムの建設に原因の一端があることを認める発言をしており、注目に値するだろう。
Sto. Domingoに加えて、バランガイNarra、Lapalo、San Vicenteも、猛威をふるった台風「フェリア」による洪水で大きな被害を受けた。
このうち、バランガイNarraでは倒壊した家屋はなかったものの、サンロケダムの建設のために同地域で行われている採石活動によって、洪水の被害が悪化した。
San VicenteのBatoでは、家屋11棟が全壊したとする報告があった。Lapaloでは、2棟が全壊、7棟が半壊したということだ。
洪水による犠牲者たちが深刻な状況に直面しているなか、Perez町長は、当初、同自治体が道路整備のためによく使用していた2台の重量トラック以外、サンロケパワー社がこれまでに住民らへの援助を何も申し出てこないことを明らかにした。
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