サンロケ多目的ダムプロジェクト
最新情報(2001.07.17)

ダムによる洪水被害拡大

住民らがサンロケダムの建設中止を呼びかけ

2001年7月17日

 7月初めにルソン島北部および中部で猛威をふるった台風Feriaは、同地域の広い一帯に大きな被害をもたらした。7月6日付のWINS CLUB ニュースによれば、同時点での犠牲者は58名、また、7月8日付の地元サンスター・パンガシナン紙では、のべ56,537世帯にのぼる人々が避難生活を強いられたと報道している。ベンゲット州バギオ市で活動しているNGOからは、いまだに水の供給が滞っているなど、普及作業があまり進んでおらず、我慢の生活が続いているとの情報(7月11日)も寄せられた。

 このような状況のなか現地では、ここまで被害が拡大した原因の一つとして、ダム洪水を指摘する声が高まっている。ベンゲット州とパンガシナン州を流れるアグノ川上流に位置するビンガダム、アンブクラオダムから、豪雨により貯水池の危険水位に達した水が一気に放水されたため、それが激流となって下流の村々を襲ったというのである。

 また、アグノ川のさらに下流で現在建設中のサンロケダムに対しても、洪水を悪化させている一因だとの懸念が出されている。同ダム建設地の下流に位置するパンガシナン州サン・マニュエル市の市長は、7月8日付のインクワイラー紙に対するインタビューのなかで、ダム建設の影響について次のように語った。「サン・マニュエルの洪水の原因については、一つにはサンロケ多目的ダムの建設があげられるだろう。同地域の木々がダム建設のために伐採されてしまったこと、そして、ナラ集落で進んでいる露天掘り式の採石作業が、土砂堆積を悪化させている原因だと考えられる。」

 現地ではNGOが中心となり今回の被害状況について調査をおこなったが、その結果を受けて、17日火曜日、現地NGOとベンゲット州のダルピリップ村、パンガシナン州のサンロケ地域の代表らがマニラに赴き記者会見をおこなった。同一団は記者会見の席で、ダム洪水の被害状況、また、多くの問題を依然として抱えているサンロケダムの建設中止を呼びかけた。

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