国際協力銀行9月会合用 問題点・要望(2001.09.17)
9月17日、サンロケダム問題について、国際協力銀行(JBIC)と会合をもちました。 <今回の会合の目的> ●9月初旬に栗田英幸さん(愛媛大学)が行ったサンロケ現地での調査報告 <会合での主な争点> ●フィリピン国家先住民族委員会(NCIP)の報告書について <配布資料> ●会合用 問題点・要望(9月17日/NGO有志) <会合の記録> 国際協力銀行の返答のまとめ(会合の議事録) <今後の議論の争点> ●NCIPの報告を受けての、同プロジェクトの先住民族権利法(IPRA) に対する
/〜〜/〜〜/〜〜/ <以下、資料の掲載です。>/〜〜/〜〜/〜〜/ 2001年9月17日 1.プロジェクトの進捗状況
2.合意形成について 2‐1.先住民族の合意の欠如 ダム上流域のイトゴン町ダルピリップ村に住む先住イバロイ民族は、計画が明らかになった当初からサンロケダムの建設による土砂堆積を懸念し、プロジェクトへの反対を表明してきた。 また、今年6月には、先住民族権利法(IPRA)の要請する「プロジェクトの影響を受ける先住民族のFree and Prior Informed Consent(FPIC)」が得られているかについて、先住民族委員会(NCIP)および先住民族に関する大統領の諮問機関(OPAIPA)が調査を行い、以下の点を指摘している。(→NCIP報告書(6月27日提出)の"Conclusions")
@イトゴン町の影響を受ける先住民族に対して、事前の十分なコンサルテーションが行われていなかった A依然として、プロジェクトに反対しつづけている先住民族の人々がいる Bイトゴン町にある全ての先住民族の地域社会からプロジェクト継続の賛同を取りつけることは非常に困難である Cプロジェクト継続はさらに多くの問題を生み出すだろう
2‐2.下流域での合意形成 ダム下流域のサン・ニコラス町ブランギット(Bolangit)は、ダム建設の影響を受けるため、計画当初から住民との立ち退き交渉が開始された。すでに、39世帯はラグパン再定住地に移転しているが、依然としてブランギットにとどまり、移転に合意していない世帯もあるということだ。(→調査報告の5番参照)
3.アグノ川流域住民の生活手段の確保と補償について 3‐1.現金収入源としての砂金採取の重要性 アグノ川流域は、1年を通じて砂金を採ることができ、砂金採取は上流・下流にかかわらず、流域住民の重要な生活手段の一つとなっている。(→2番、4番、5番、6番参照)しかし、7月18日、事業者がダム建設地およびその周辺での砂金採取を禁止したため、現在、多くの者が重要な現金収入源を絶たれた状態にある。7月27日には、ダム反対団体TIMMAWAがサンロケで抗議活動を展開し、事業者に禁止令の解除を要求した。
3‐2.その他の生活手段への影響 7月上旬に台風がサン・マニュエル町を襲った際、同地域の水田に水を供給していたバランガイ・カブロアンにある灌漑用ダムが鉄砲水により破壊された。サンロケダムの建設によりその他の水源が破壊されて以来、このダムは同地域での唯一の水源であったため、多くの世帯が農業を行えない事態に陥っている。この灌漑用ダムの破壊がサンロケダムの建設の影響だと考える同地域の住民は7月27日の抗議活動の際に、ダムの修復を要求事項にあげた。これを受けて、事業者はダムの修復作業を早急に行うことを約束している。(→3番参照)
4.移転サイトの問題について 4‐1.補償の問題について ラグパン再定住地に移転した住民は現在のところ、移転家屋と木・稲などに対する補償しか支払われていない。移転補償金についても、多くの人がその一部の金額を受け取っただけで、残りの補償金が支払われるのか、また、いつ支払われるのか知らされていない状況だ。地元住民は、補償がこのまま支払われずに、ダム建設の工事だけが終了してしまうのではないかと懸念している。また、住居の大きさや水・電気の料金についても、当初の約束が守られていない。(→6番参照)
4‐2.雇用状況と生活再建プロジェクト ダム建設の影響を受ける住民には、建設現場での雇用優先権が与えられているが、建設作業者の条件とされる高卒以上という基準のため、実際には多くの人が雇用から洩れている。このように新たな生活手段が確保されないなか、ラグパンでは、まだ生活再建プロジェクトが実施されていない。(→6番参照)
4‐3.再定住地の監視員 NPCの監視員が再定住地に常駐している。
・住民の日常生活になぜ監視員が必要なのか。
5.上流の土砂堆積と洪水制御機能に対する疑問について 5‐1.上流の土砂堆積 ダムの上流部では、計画が明らかになった当初から土砂堆積による影響が懸念されつづけてきた。これに対して事業者は、土砂堆積の対応策の一つとして砂防用のダムとコンクリート壁をあげていたが、すでに砂防ダム自体が土砂に埋もれており、土砂堆積の軽減機能は著しく損なわれているものと思われる。(→1番参照)
5‐2.洪水制御機能に対する疑問 ダムの下流部では、7月初旬の台風の際に、上流のアンブクラオダム、ビンガダムからの不適切な放水によって下流の洪水被害が拡大したとする声が高まった。また、サンロケダムの貯水量の大きさやダムの放水ゲートの規模から、ダムの完成後、洪水被害がますます拡大する可能性が指摘されている。(→1番参照)
6.統合集水域管理計画(IWMP) IWMPについては、その計画の実施にともない、立ち入り禁止区域ができ、土地利用が制限されるのではないかとする懸念が地元住民から出されている。
●JBICに調査していただきたい事項・場所
※これらの地域の人たちがJBICの調査受け入れに積極的である点は既に確認済みです。 |
→→サンロケダム問題の詳細をみる |