国際協力銀行(JBIC)新環境ガイドライン案
パブリック・コメントの受付を開始!(12.28.2001) |
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Japan(旧称:地球の友ジャパン)のコメント(02.04.2002)をみる 国際協力銀行の新環境ガイドライン案のパブリックコメントが、今日(2001年12月28日)から始まることになりました。
今回パブリックコメントにかけられる新環境ガイドライン案は、昨年10月から「国際協力銀行の環境ガイドライン統合に係る研究会」で検討が進められてきた提言をもとに、国際協力銀行が作成したものです。私たちは、この案が最終的な国際協力銀行の環境ガイドラインになると、国際協力銀行の環境政策が大幅に改革されることになると期待しています。
ただ、新環境ガイドライン案は、実施国での環境アセスメントの公開やステイクホルダーとの協議、人権への配慮、異議申し立て機関の設置など、これまでの環境ガイドラインと比べて格段にハードルの高いものとなっていることから、産業界(特に商社やコンサル)からはすでに反発の声が出ており、管轄官庁のひとつである外務省も相手国に高い基準を条件付けることに対して消極的です。こうした後ろ向きな意見がパブリックコメントでも出されることが予想されます。
そこで、環境配慮を積極的に進める必要があるとの立場からも、どしどしコメントをいただければと思っています。もちろん、今回のガイドライン案からさらに 強化すべきポイントや今後の課題は残されていますので、そうしたポイントを指 摘していくことも重要です。皆さんの現場でのご経験をもとに、具体的なご提案をいただければと思っています。
ということで、国際協力銀行の環境政策の改革のために、ぜひ皆さんからのコメントを国際協力銀行にお送りください。ドラフトの全文は国際協力銀行のホームページで公開されています。
パブリックコメントの期間は2月20日まで、約2ヶ月間です。FoE Japan(旧称:地球の友ジャパン)では2月4日、「国際協力銀行の新環境ガイドライン案に対するコメント」を提出しましたので、ぜひこちらもご参照ください。
以下はその概要です。
●「国際協力銀行の新環境ガイドライン案に対するコメント(概要)」→→全文はこちら!
1.「前書き」:JBICの環境配慮責任が曖昧 研究会提言では「持続可能な発展」と人権に関する国際的原則に沿って融資業務を行うと、JBICの業務姿勢を明確に打ち出したが、JBIC案は非常に曖昧になってしまった。提言通り、貸し手として責任ある環境配慮を行うことをはっきりと宣言すべき。
2.事業者に求められる環境配慮 旧ガイドラインに比べかなり強化されたが、政府の一部や企業にはここまで厳しいと事業がこれまでどおりできなくなってしまう、と反発も強い。書き方が曖昧だと運用上で弱められてしまう可能性がある。できるだけいろんな分野から、たとえば非自発的移住やダム開発など、細かい注文をつけることが望ましい。
3.情報公開の時期と内容が曖昧 審査中のプロジェクト情報の公開が明記されたことは大きな成果。ただし、公開される情報の種類や、時期と期間がはっきりしていないために骨抜きになってしまう可能性もある。
4.問題案件の独立専門家委員会によるレビュー案がなくなった 研究会提言では、「特に影響が重大と思われる案件や、異論の多い案件」について、専門家からなる委員会を設置することを提案したが、JBIC案では単に「外部専門家の意見を求めることができる」とされている。
5.モニタリング・フォローアップが弱い 環境モニタリング・フォローアップの記述は環境審査にくらべてきわめて弱い。少なくとも円借款については、たとえば世界銀行等のように、モニタリングの実施期間や現地調査によるモニタリングの実施などをさらに細かく規定すべき。
6.異議申立て機構の設置 世界銀行のインスペクションパネルのような、異議申立て機構の設置について、表現は曖昧であるが記述された。しかしすでに企業などから反対論も聞かれている。ぜひNGOの側からこうした機構の必要性と、今後の議論が透明性と幅広い参加のもとに行われるようコメントしていただきたい。 もちろん異議申立て機構への訴えは現地住民等にとっては最後の手段であり、その前に問題を発見し早期に解決をはかるための組織体制や能力形成が重要である。そのためにもモニタリングの強化や、世界銀行のように銀行内部の独立したチェック機構を設けることが必要。この点についても「研究会」では議論されたがJBIC案にはない。 |