NGO・市民連絡会からの提言 2001.3.13.地球の友ジャパン
プロジェクトの環境・社会モニタリングは、@影響緩和策や補償策の十全な実施の確認、A事前に予測できなかった影響の有無、B問題が生じていた場合にはその検討と対策を講じ計画に反映させること、により、実施段階における重大な環境・社会被害を防ぎ、影響を受け入れられる範囲に管理することを目的とする。 このペーパーでは、プロジェクト実施段階におけるアカウンタビリティーの確保の観点からモニタリングにおいて留意されるべき点、特にJBICが果たすべきあるいは果たしうる役割について検討する。 (★は現在行われていないと思われるもの)
モニタリングの準備段階においては以下がアカウンタビリティー確保の上で重要である。
計画の遵守を保証するフレイムワーク及びツールとしては次のようなものが考えられる。→図参照
1)フレイムワーク
@現地政府の規制、許認可、モニタリング体制 A JBICと事業者間の契約(L/A、覚書)、実行条件の付与
2)ツール @業者によるモニタリングレポートの提出(3ヶ月に一度?)
Bモニタリング実行のための支援(SAPI、SAPS)…ODAのみ。
C独立機関による環境監査? Dプロジェクトの環境ガイドライン遵守を監視するJBIC上位メカニズム(オンブズマン等)
この段階におけるアカウンタビリティー確保に関しては、以下が重要と思われる。
●JBICとして果たしうる役割
予期されなかった問題が生じた場合、@(苦情の受理、)問題の認識→A精査、原因の究明→B対応策の検討、事業計画への反映というプロセスによって対応がなされるべきである。適切な科学的検討に加え、アカウンタブルな問題解決プロセスの保証が重要な課題となる。
1)現地サイドにおける問題解決プロセスのフレイムワーク
・行政上の/法的フレイムワークの存在
・独立第三者委員会、ステイクホルダーズフォーラムなど。委員会メンバーの選出などのプロセスにおいて、事業者、現地政府、住民やNGOなど主要なステイクホルダー間の合意が得られることが鍵。
2)JBICとして果たしうる役割 ・ JBICに対し苦情申し立てがあった場合、事業者への通達を行う(国際金融等業務ガイドライン)。問題解決を促すことはガイドラインに書かれてはいないが、実行されている。
・ 精査および問題解決のための支援として、SAPI,SAPS等のスキームを充実、活用する。特に非ODAについて導入が必要★ ・ ステイクホルダー間の透明かつアカウンタブルな合意形成のための調停★ ・JBIC自身の説明責任を果たし、問題解決が透明に、かつステイクホルダーの十分な参加と協議の上で行われるように働きかける上位メカニズム(オンブズマン等)の設置★
現状においてもJBICによる計画遵守及び問題解決のための働きかけは行われている。しかし環境・社会面からのプロジェクト管理においては透明性とアカウンタビリティーを高めることが非常に重要であるため、オンブズマン等のアカウンタビリティー保証メカニズムを設置することが望ましい。これは、
・問題の指摘があった場合、JBIC自身の責任において問題を把握し、関係者と協議しながら問題解決のために努力する。問題解決プロセスを透明かつアカウンタブルなものに保つ ほか、次のような機能を果たすことが期待できる。
・環境・社会面からのプロジェクト管理について統括し、改善方法を検討する。現状ではODA、非ODAで用いられる方策やツールに大きな差があるため、統一環境ガイドライン遵守のために全体を統括する機能が必要と思われる。 このようなメカニズムはJBIC内部に置かれるとしても、上記の機能をよりよく果たすため外部参加が必要であると思われる。この提案については次回さらに詳しく検討したい。
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