「持続可能な開発」がテーマのOECD閣僚理事会で
◆ ◆ プレスリリース ◆ ◆
2001年5月14日
輸出信用機関の環境配慮の実践に向けては、現在、各国共通のアプローチをとるべくOECD輸出信用ワーキンググループにおいて合意形成が模索されているが、その合意文書の草案は、民間投資を支援する輸出信用機関の社会環境基準を高めようとする国際的な動きを後退させるような不十分な内容となっている。
これに関連して各国のNGOは11日、各国の環境大臣、経済産業大臣に要望書を提出。OECD各国が通商投資政策の主要な側面で環境配慮をおこなうよう要望し、輸出信用機関の環境ガイドラインにおける透明性の確保、環境情報の公開、市民との協議の重要性を強調した。また、「国際的に認められている基準およびグッドプラックティス(模範的実施要領)をベースラインとして策定される強力な環境基準およびガイドラインに合意することの必要性」および「これらの基準が満たされるまでは、ECGが引き続き交渉を行うことの必要性」についても確認している。16日にはOECD環境相会議においてNGO側と大臣との会合も行われる運びとなっている。
この国際的な環境ガイドライン作りは、G8ケルン・サミット(1999年)で2001年7月のG8ジェノバ・サミットまでに完了することが確認されており、現在、この期限に向けてOECD各国の前向きな姿勢が求められている。日本では、経済産業省の貿易保険および国際協力銀行の国際金融等業務が輸出信用機関にあたるが、経済産業省の方針は後ろ向きだ。5月3日、4日に行われたOECD/輸出信用ワーキングパーティの環境特別会合では、「日本政府が交渉をブロック」との報道(ファイナンシャル・タイムズ紙2001年5月4日)があったが、これは、経済産業省が「期間が2年以下の案件は環境的に非常に脆弱な地域での案件でも環境審査の対象外にする」との強硬な態度を示したためだ。国際社会の中でも「日本政府は環境ガイドライン策定に向けた議論をブロックしている」との印象が強まっている。
一方、国際協力銀行は昨年10月から環境ガイドラインの検討に向けて、専門家やNGOも参加する研究会を設置し、議事録なども公開の上で国際的な環境ガイドラインに見劣りしない環境ガイドライン作りに向けて積極的な議論が進められている。今回のOECD閣僚会議においても、こうした流れを受けて輸出信用機関の環境ガイドライン策定における日本政府の前向きな対応で、OECDの環境政策を積極的にリードしていくことが求められている。
以上 本件に関するお問い合わせは下記まで
*輸出信用機関の環境配慮に向けての動きについては
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