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日本の中期目標は危険な温暖化の影響を回避するレベルにすべき

2009年2月2日

京都議定書の次の国際枠組み交渉が今年12月のコペンハーゲン会合で合意に達するためには、先進国が率先した削減目標で合意することが不可欠です。
2007年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次報告書は、危険な温暖化の影響を回避するためには、2050年ま
でに世界の温室効果ガスを半減させる必要があること、とりわけ先進国は、2020年までに1990年比で25〜40%削減する必要性があることを警告しています。これを受け、EUは全体で20%(国際合意が得られれば30%)、ドイツは30%(同40%)、英国は26%など、ほとんどの先進国はすでに中期目標を表明しています。

日本は、いまだ中期目標を表明しておらず、首相官邸の「地球温暖化問題に関する懇談会」の下に設置された「中期目標検討委員会」で議論をしている段階です。1月23日、その委員会から複数のシナリオと目標数値が発表されました。

しかしながら、示されたモデルの中には、1990年比で数%の増加といったモデルをはじめ、先進国としての責任には後ろ向きのモデルが複数含まれていました。これらは、経済産業省の長期エネルギー需給見通しをベースに日本経団連の自主的取組をそのまま進めるという極めて消極的なシナリオで、削減コストが高すぎるので大幅削減は厳しいと強調しています。
しかし、対策を取らずに大きな気温上昇を引き起こした場合との比較がなく、また、洞爺湖サミットで福田前首相が明言した2050年までに60〜80%削減という長期目標に向けた方向性とも大きく矛盾します。
唯一国立環境研究所から出された25%削減のモデルは、科学の警告と国際社会における先進国の責任からマクロ的にアプローチしたモデルであり、そのコストも新たな雇用創出につながるものとしてとらえています。

中期目標は、温暖化の進行レベルを左右する重要な数値です。その決定は、業界団体の求める短期的な利益ではなく、将来世代やグローバルな利益に資するものでなければなりません。日本政府のイニシアティブが、今世界から問われています。

 (瀬口 亮子)

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