シンポジウム「エコロジーでエコノミーな省エネ教育」
〜「公立学校における省エネと光熱水費節減分還元プログラム」の可能性〜
2005年2月26日開催報告
京都議定書がいよいよ発効し、目標達成のために地域でも具体的な対策が求められています。そんな今、ドイツ発祥の、インセンティブを導入した省エネ活動が注目をあびています。公立学校において省エネ活動で節減できた光熱水費の一定割合を、学校が自由に使えるお金として還元するもので、自治体の経費削減と環境教育、そして地球温暖化防止という3つの利点があります。
FoE
Japanは、2004年6月より、環境省委託モデル事業として、東京都杉並区と協同でこのしくみの導入と普及活動にあたってきました。そして、2月26日、日本各地でこのプログラムを実施している自治体関係者を招き、シンポジウムを開催しました。会場(東京お台場)には全国各地から自治体関係者、教育関係者を始め、関心のある市民など100名ほどが集まりました。
第一部では、各地でプログラム導入に関わった担当者および学校現場担当者により、「実施してみての実情」が報告されました。
まず、札幌市からは、市民からなる環境保全協議会が、姉妹都市ミュンヘンで実施されていたフィフティ・フィフティの視察などを経て市長へ提言し、教育委員会えでの導入に至った経緯を、当時の協議会会長のビアンカ・フェルストさんからお話いただきました。学校現場からは、雪国の子どもたちの省エネ活動が紹介されました。
和歌山県のプログラムは、CO2の削減と校内の緑化促進を目的とする県教育委員会のエコスクール事業から生まれました。CO2削減率に応じたボーナス制度など独自のシステムの説明とともに、現場での徹底したデマンド管理などの具体的アイデアを紹介いただきました。
杉並区からは、FoE Japanとの協同事業開始から仕組み作りへの動きについて教育委員会から報告を受け、現場の先生からは日頃の環境教育に取り込んでの省エネ活動についてお話いただきました。
第二部では、各自治体の報告者によるパネルディスカッションが行われ、「日本型フィフティ・フィフティ」のあり方を探りました。自治体の経費節減の必要性やプログラムのしくみや導入にあたっての障害などについても論議されましたが、教育の現場ではあくまで環境教育として無理なく省エネに取り組みことによる成果が大切であり、各自治体での環境教育としての明確な位置づけが重要であることが述べられました。
参加者アンケート結果によると、90%近くの方から導入に関心を持ったとの回答をいただきました。FoE
Japanは今後も全国普及のために日本型のしくみ構築を図っていくとともに、各地域の学校や自治体関係者からのボトムアップでの提言にも期待しています。
「このような経済的インセンティブがついて楽しいプログラムは
絶対日本にも通用すると思います」(ビアンカさん)
シンポジウム「エコロジーでエコノミーな省エネ教育」
〜「公立学校における省エネと光熱水費節減分還元プログラム」の可能性〜
【日時】 |
2005年2月26日(土)13:00〜16:30 於 TIME24 タイムプラザ(東京・臨海副都心)
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【プログラム】 |
あいさつ 環境省地球環境局地球温暖化対策課 大川正人氏
はじめに 「ドイツで成功を収めたフィフティ・フィフティプログラム」 FoE Japan
第1部 事例報告 「日本各地の光熱水費節減還元システム」
札幌市、和歌山県、東京都杉並区
第2部 パネルディスカッション 「日本型フィフティ・フィフティの可能性」
おわりに 財団法人省エネルギーセンタースマートライフ推進本部長 中川元孝氏
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【パネリスト】
(順不同)
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ビアンカ・フュルスト氏 (元札幌市環境保全協議会会長)
毛馬内 國夫氏 (札幌市立新陽小学校教頭)
茂田 嘉朗氏 (和歌山県教育庁 学校教育局県立学校指導班指導主事)
瀧本 修氏 (和歌山県立粉河高校事務長補佐)
佐藤 則幸氏 (杉並区教育委員会 学校運営課課長代理)
中澤 郁実氏 (杉並区立久我山小学校教諭) |
このシンポジウムは平成16年度環境省委託地域共同実施排出抑制対策推進モデル事業の一環として開催しました。
【主催】 国際環境NGO FoE Japan
【後援】 財団法人 省エネルギーセンター
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