田んぼの一区画で実験
8月、生育状況を調査
一見して違いがわかる
田んぼに撒いたもみがら燻炭
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砂漠に田んぼというとみなさん驚かれるかもしれません。しかしこの地域では、砂漠化を免れた場所や回復した場所に農民が工夫して水稲栽培をしています。
今年私たちは、国際炭焼き会会長の杉浦銀治先生に指導いただき、ダチンノール村のオトグンバイラさんの田んぼに炭を使ってみました。水田に散布する炭「もみがら燻炭」は日本で作っていきました。
オトグンバイラさんの田んぼは屋敷のなかにあります。砂地を掘ったところにビニールシートを敷き、砂を戻して田んぼを作る"ビニール水田"です。水は井戸からポンプで汲み上げます。
6月4日、田植え
田んぼの1区画2m×10mを仕切り、炭を撒いたあとに田植えを行ないました。炭が太陽熱を良く吸収し、水温を上げる効果がまず考えられます。
1ヶ月後の7月4日に生育状況を比較。8月18、19日には第2回調査をしました。調査前からオトグンバイラさんほか近所の農民たちは、一見して炭施用部の生育の良さに、親指を立てて"好(ハオ)"という反応を示しており、大いに期待していました。
8月、生育の違いを確認
炭の施用部と無施用部から1株づつを取り計量などしました。例えば、分けつ数(枝分かれ)は無施用が14に対し施用が21と50%増の差がでました。高さも5cm程の差でした。計量結果は期待以上でした。
見ただけで分かる差もありました。炭施用部は葉が青々として背が高くいかにも元気そう。均一状態です。一方、無施用部は青い部分、すでに黄色い部分、背の低いものもあり場所によるムラが見られました。
これらは地中にできたガスの影響などで、葉ばかり伸びてしまったり、早老化したものとみられます。単に水温を上げるという効果以上に、炭には吸着力や細菌によい棲みかを提供する効果もあるのです。
10月10日、稲刈り
この日、残念ながら日本人スタッフは不在で、現地スタッフに収量調査のための稲を現地事務所まで持ち帰ってもらいました。施用区、無施用区からそれぞれ3株です。後日籾の数を数えてみると、施用区が2481粒、無施用区が2081粒。炭施用区がおよそ2割増の収量でした。
稲刈りのとき穂がちぎれてしまったような痕跡も見られ若干信頼性は落ちたと思いますが、炭施用の成績が良かったかといえます。来年は適用面積を広げ、調査もきちんとできるようにしたいと思ってます。
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