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南部ハイウェイ建設事業の異議申し立て資格を認める!

 

スリランカ・南部ハイウェイ建設事業
ADB・遵守調査パネル
南部ハイウェイ建設事業の異議申し立て資格を認める!

 12月17日、アジア開発銀行(ADB)の政策違反を調査するADBの遵守調査パネルが、 スリランカ・南部ハイウェイ建設事業の被影響住民の異議申し立て資格を認めまし た。申し立てを行ったのは、現地住民組織である「コロンボ・マタラ高速道路被影響住民の組織」で、同事業の被影響住民28人を代表しています。これら28人の中には、南部ハイウェイ建設事業の全区間128kmのうちADB区間(53km)だけではな く、JBIC区間(75km)の住民も含まれています。今後は、ADB理事会が3週間以内 に遵守調査パネルによる調査を承認し、その後、遵守調査パネルが申し立てられた被害がADBの政策遵守違反によるものか否かを調査することになります。

今回、住民が申し立てた内容は、以下の項目です。 

 ・事業に因る移転世帯数が、第二ルートから最終ルートの変更によって、8倍に増加したこと
 ・最終ルートに関する環境影響評価がされていない
 ・最終ルートが通るパナペ湿地は環境影響評価がされていない
 ・住民移転による社会組織の分散
 ・JBIC区間における5寺院への影響
 ・非自発的住民移転と住民移転の不適切なプロセス

 住民側は、これら被害の救済策として以下のことを要求しています。まずは、住民 が訴えた問題が解決するまでは融資を一時中止し、同事業を調査する独立委員会を設置すること。そして、その独立委員会によるルート選定の勧告と、環境影響評価、 社会影響評価、事業の経済分析等の調査です。ちなみに、住民は、委員会のルート 選定が第二ルートであった場合、第二ルートに関しては環境影響評価など事業を進めるにあたっての手続きは既に済んでいるため、これらの作業は必要ないと主張しています。


●アジア開発銀行(ADB)のアカウンタビリティー・メカニズムとは――

 1996年、ADBは、被影響住民からの申立てをもとに、ADB の政策不遵守について第三者が調査を行うメカニズムである異議申立て制度を導入した。その後、その制度に関する運用上の様々な問題が明らかとなり、制度を改定して2003年12月に設立された異議申立制度が、アカウンタビリティー・メカニズムである。
 アカウンタビリティー・メカニズムは、スペシャル・プロジェクト・ファシリテー ター(SPF)によって行われるコンサルテーションフェーズと、遵守調査パネル(CRP)によって行われる遵守調査フェーズの二段階に分かれる。前者はADBの政策違反の有無 に関係なく問題解決を目指したもの。後者は被害を引き起こした、あるいはその可能 性のあるADBの業務政策・手続き違反の疑いについて調査を行い、ADBによる事業の政 策遵守を確保することを目的とし、そのための勧告を行うもの。

*ADB・政策遵守パネルのウェブサイト
 >https://compliance.adb.org/


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