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紫坪鋪ダム・トップページ
プロジェクトの概要
国会の動き
1.紫坪鋪水資源開発事業とは?
概要: 中国四川省、長江の支流である岷江の上流部において計画中のダム開発。農業灌漑・都市用水・洪水防御・発電・環境保護・観光などの多目的ダムである。文化財産である都江堰※(トコウエン)から9km上流に紫坪鋪ダム、またその反調節として魚嘴ダムが建設予定である。通常は紫坪鋪ダムのみのことを指す。紫坪鋪は提高156m、提長644mのダムで、76万キロワット(4×19万キロワット)の出力が見込まれている。日本の電源開発株式会社と中国のCheungdu Hydroelectric Investigation & Design Instituteが事業を落札している。
 本事業は、1999年6月江沢民主席が実施を提起した「西部大開発」の一環として、2000年4月に発表された10大事業のひとつである。

※都江堰とは?…洪水防御・灌漑・水運の3つの目的に沿って造られた設備。紫坪鋪ダムの灌漑予定面積、1134万へクタール中、1100万ヘクタールは都江堰でカバーされている。2000年にユネスコの世界遺産に登録された。

融資機関: 投資総額は62億人民元(約930億8500万円)であり、そのうち、321億9900万円を国際協力銀行(JBIC)が海外経済協力業務の環境案件として融資予定。

事業主体:四川省紫坪鋪開発有限責任公司
2.日本との関わり
国際協力銀行が融資:海外経済協力業務(円借款)で321億9900万円が融資予定。

特殊法人の関与:
日本の特殊法人電源開発株式会社がコンサルタント業務を受注。
主要業務は、詳細設計、入札評価、施行管理等に関するアドバイザー業務及び技術移転。
2002年11月より2006年12月の約5年間の予定で、受注金額は総額約9億円。
3.問題点
環境・社会問題
・ ユネスコの世界遺産であり、2000年以上前から使用されている灌漑設備「都江堰」への影響・設備の破壊。
・ 紫坪鋪ダムが溜め込む水および堆積は、都江堰を破壊する危険性があると専門家によって指摘されている。
・ 懸念されている下流の第二調整ダムが建設されると、都江堰の破壊は避けられない。
岷江上流では土壌浸食が問題になっており、ダム貯水池への土砂堆積が加速的に進み、下流への影響が懸念される。実際に1992年には土石流が発生している。
移住問題
・ 少なくとも4万人の人々が移住を迫られると予測されている。
・ 移住世帯のうちの約15%はチベット民族の住民である。
・ 移住地の安全性:プロジェクト予定地の一部はアバ・チベット族やチャン族自治県内にあるため、少数民族であるチベット人が強制移住させられる可能性が懸念され、さらに、その他の貯水池用地の低地に住む漢民族はより高地のチベットの土地へ移住することになった。
・ 住民移転に関する十分な情報が公開されていない。
・ 発言の自由が制限され、政府プロジェクトに反対することが政治的な反抗とみなされる中国では、影響を受ける住民との間に移転に関する十分な協議が行われていないことが懸念される。
・ 2000年に世界銀行が融資を検討していた中国西部地域貧困削減プロジェクトにおいても、チベット民族の移転に伴う問題から融資が中止された例があり、このプロジェクトも同じような問題をはらんでいる可能性が非常に大きい。
情報の非公開
・ 情報が全く開示されないため、EIAや住民移転計画さえも非公開であり、重大な影響を及ぼさないという事業者、国際協力銀行の説明には信憑性がない。
その他
・ 紫坪鋪ダムの建設予定地が活断層に極めて近いため、地震による影響が心配される。
・ 周辺の多様な生物環境へ多大な影響を及ぼすことが懸念される。
・ ダムの背後に泥が沈殿しないようにする技術開発に問題が残されている。
・ ダム建設によって、岷江下流の水流が変わってしまう可能性がある。
4.経緯
1999年3月 四川省水利水田観測設計研究院にてフィージビリティー・スタディー(F/S)作成
1999年11月23日 国家遺跡局が四川省宛にダム建設反対の文書を提出
2000年3月 中国政府より円借款要請
中国側にて環境影響調査が作成
2000年6月28日 工事着工(pre-preparatory stage:インフラ整備)
2000年9月 JBICによる調査ミッション派遣
2000年11月 都江堰がユネスコの世界遺産(文化遺産)に認定
2000年12月 中国側にて環境影響評価報告書が改訂
2001年3月 本格工事着工
2001年3月30日 JBICが円借款契約
2001年8月 電源開発株式会社がコンサルタント業務受注
2001年8月 9日 国際河川ネットワーク(IRN)からJBICへ環境・社会的影響に関する質問書を提出
2001年8月29日 JBICからIRNへの返答
2001年11月 融資のうち、コンサルタント部分の契約締結(本体部分の契約は未締結)
2002年2月12日 IRNからJBICへ環境影響調査報告書を公開するよう要請書を提出
2002年3月29日 ダム建設起工式(都江堰市)
2002年4月15日 JBICからIRNへ環境影響調査報告書は中国側から入手して欲しいとの返答
2006年12月 事業完了予定
5.現在の状況
2002年7月24・26日、11月13日 衆議院議員、前田雄吉氏による紫坪鋪ダムに関する質問が外務委員会で行われ、国会においても問題化。

・ 紫坪鋪ダムに関して
2003年7月31日現在、JBICは融資を実施中
住民移転・補償問題について「問題があるということは聞いていない」とのこと。

・ 第二ダム(楊柳湖ダム)計画に関して
 新聞やTVを通じて第二ダムの計画が報道されていることについて、政府・JBIC共に、それは中国国内で正式に決定された計画ではない、という見解を示している。

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