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楊柳湖ダム事業の中止を求める都江堰市市民団体からの声明文 |
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消息筋によると、四川都江堰管理局は、魚嘴分水路から1300m離れたところに、高さ23m、幅1200mの楊柳湖(土色の湖)ダムの建設を計画したようである。このダムは、岷江上流の流れを利用した最後の水力発電所となるだろう。しかしながら、このダムは都江堰世界遺産の中心部からわずか350mしか離れていないところに位置している。
都江堰管理局によれば、楊柳湖ダム建設の理由は、@年間と1日の水規制のズレを解消するため、A紫坪鋪ダムプロジェクトの効率性を高めるため、であるとしている。もしこの楊柳湖ダムを建設しなければ、紫坪鋪ダム建設にかかった巨額投資を返す手段はなく、政府は莫大な経済的負担を背負うことになるだろう。紫坪鋪ダムは楊柳湖での水調節がなければ、毎年約5000万元近くの損失が出ると見積もられている。
ダム計画は、成都水利水電勘測設計研究院のヤン・イー氏、ツァオ・ペイユァン氏、チャン・ミン氏によって提案された。4月28日、都江堰管理局は、四川省の水利庁・文物庁・建設庁・規劃庁並びに遺産庁の代表者や専門家を招いて、都江堰とダム現場の実地調査を行った。しかし彼らの意見はいまだまとまっておらず、楊柳湖建設に対し、強い反対を示す者もいた。6月5日にも別の実地調査が都江堰管理局によって催された。
私たちは以下のように考える。
1、仮に都江堰局によるダム建設の理由が正しいとすれば、紫坪鋪ダム建設の是非が問題となってくるだろう。紫坪鋪ダムの深刻な問題は完成する前に浮き彫りにされる。
2、環境は深刻に悪化するであろう。下流の魚嘴地域では水が涸れ、今までは航行が可能なほど水資源豊かだった岷江も、自然の川の流れによって流域の土地を灌漑することができなくなるだろう。都江堰世界遺産の3つの中心部も残存できなくなる。
3、都江堰は、ユネスコによる世界文化遺産に指定されている。そしてこのダムプロジェクトはまさに世界遺産保護地域の中心部に近い場所に位置している。もしこの事業が進められれば、2200年の歴史を持つ都江堰の文化は残存することができず、世界遺産のリストからも抹消されてしまう。
4、都江堰はまた、1982年に国定景観地域の第1グループにも指定されている。楊柳湖ダムもこの景観地域内に位置している。楊柳湖ダム事業が進められれば、都江堰は国定景観地域のリストからも抹消されてしまうだろう。
5、都江堰とその古来の建造物は、国定遺跡保護区に指定されている。ダム事業が進められれば、国定遺跡もまた破壊される。
6、都江堰が、ダムなしで川の流れを変え、自然の流れによって土地を灌漑していることは、広く世界に知られていた。この偉大な遺跡を見るため、中国内外から毎年400万人の観光客がこの地を訪れている。これは、都江堰市の経済発展を促すばかりでなく、その他の社会的利益をもたらしている。しかしダム事業が進められることによって、都江堰の功績を見ることができなくなる日がやってくるのである。
7、都江堰は、四川省と成都市の世界の窓口になっている。中央政府、中国共産党員、そして中国内外の政府の役人は三世代に渡って、都江堰を訪れてきた。ダム事業が進められれば、中国文化のブランドである都江堰は失われる。
8、四川省とその市議会は青城山と都江堰が世界遺産に指定されるよう、はなはだしい支援をしてきた。都江堰市も2億600万元という巨額の資金を出して、世界遺産に指定されるよう努めてきた。楊柳湖ダム事業が進められれば、私たちは、ユネスコ世界遺産委員会に、国際社会に、中国共産党の総書記、省の議会、そして中国国民、とりわけ62万人の都江堰市市民に弁明することができなくなる。
世界遺産は一度失ったら二度と見ることが出来ない程、非常に脆弱であることが特徴である。だからこそ、この2200年もの歴史を持つ世界文化遺産を代償としてまで、ダムを建設するべきではない。
>「世界遺産「都江堰」に作られる新しいダム」 (中国青年報 2003年7月9日)
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