【プレスリリース】
環境問題が指摘されるロシア・サハリンII石油・天然ガス開発事業:
国内外環境団体、国際協力銀行に要請書を提出
2008年6月11日
東京−国内外の環境団体は11日、国際協力銀行(JBIC)と民間銀行4行がロシア 東部のサハリン2石油・天然ガス開発事業に53億米ドル(5500億円)の融資を行
う見通しで最終調整に入ったとの報道を受け、JBICに融資判断を行わないよう要 請する書状を送った。[1] 書状を送った17団体は、同事業がサハリンの自然環境
及び地域社会に対して多大な負の影響をもたらしており、JBICの融資用件を満た さないとして、JBICが全てのサハリンII事業に融資を行わないよう求めた。
「サハリンIIは過去にも、JBIC及び民間銀行の環境社会配慮政策に対する著しい 違反を繰り返してきた。サハリンIIに融資することは、JBIC及び民間銀行の環境
社会配慮に対する信頼を傷つけるだけでなく、名誉を損ない、財政的にもリスク を負うことになるだろう。」と国際環境NGO FoE
Japanの渡辺は話す。
環境団体が提出した14ページに及ぶ書状には、同事業のJBIC及び民間銀行の環境 政策への違反、国際的に認められている慣習への違反、そしてロシアの法律違反
など、過去数年間に及んで、事業主体であるサハリン・エナジー社によって任命 された専門家、民間及び公的銀行、国際及びロシアの科学機関、そしてロシア政
府当局によって認められた違反が多数指摘されている。
「幅広い専門家が記した環境破壊と環境政策違反は、サハリンIIが環境及び社会 政策の失敗であるという、現在広がりつつある世論の現れである。」とサハリン
の環境NGOであるサハリン環境ウォッチ理事のドミトリ・リシチンは述べる。
書状は、JBICと他行によるサハリンIIの融資が、国際的な融資機関の決定と相反 するものであるということも強調している。
「サハリンIIは、欧州復興開発銀行、英国の輸出信用保証局、及び合衆国輸出入 銀行の環境面での要件を満たしたことがない。事業の基本的な環境社会配慮の不
備は、これらの公的銀行が最終的に融資を取り下げる決定へとつながった」(書 状一部抜粋和訳)
日本の独立行政法人であるJBICは、三菱東京UFJ銀行、みずほコーポレート銀行、 三井住友銀行及びフランスのBNPパリバ銀行とシンジケートを組み、今月中にサ
ハリンIIに融資を行うと報道されている。
「このような状況下で融資を行うことは、世界中の民間及び公的銀行による最低 限の環境社会政策を保とうとする、国際金融機関の努力を裏切ることだ。」とパ
シフィック・エンバイロメント政策部長のダグ・ノーレンは語る。
書状は他にも、FoE Japan、サハリン環境ウォッチ、パシフィック・エンバイロ メントが6月に完了したパイプラインルートのモニタリング結果を示している。
「私たちが見た、現在なお続いている多大な環境破壊は、粗末な事業計画と、一 年以上の完成の遅れに及んでいるずさんな履行の結果である。」とリシチンは述
べる。
注:[1] サハリンIIは露ガスプロム、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル, 三井物産、 三菱商事が参加しているサハリン・エナジー社によって運営されている。
提出した要請書はこちら
連絡先:
国際環境NGO FoE Japan, 03-6907-7217, watanabe@foejapan.org(渡辺)
サハリン環境ウォッチ, +7 4242 74 75 18, sakhalinwatch@yandex.ru(Dmitry
Lisitsyn)
Pacific Environment +1 202 465 1650, dnorlen@pacificenvironment.org(Doug
Norlen)