(日本語訳:FoE Japan)
プレスリリース
2008年3月4日
環境の勝利(Environmental Victory)
サハリンII 米国、英国の輸出信用機関からの融資を得ることができず…
サハリン環境ウォッチ、パシフィックエンバイロメント、WWF等のNGOはサハリン
エナジー社が米国及び英国からの公的資金を得る試みをあきらめたことを歓迎し
ます。
昨日遅く、サハリンエナジー社(SEIC)はダウジョーンズに対して、米国の輸出入
銀行(US EXIM)と英国の輸出信用保証局(ECGD)からのサハリンIIへの何億もの公
的資金の申請を取り下げることを伝えました。プロジェクトが及ぼす環境影響が
慢性的であることを理由に、数十億もの公的及び民間の融資を止めようとしてい
るロシア国内及び国際的な環境団体と連携をとっている現地の環境団体にとって、
この発表は勝利です。サハリンIIは、ロシア極東のサハリン北東部沖合いに位置
する、世界最大級の石油・天然ガスプロジェクトで、最も絶滅が危惧されている
ニシコククジラへの脅威、サケの産卵場へのダメージ、先住民族や伝統的な漁業
文化への負の影響などの環境問題を引き起こしています。
「これは非常に大きな勝利です」と現地の環境団体、サハリン環境ウォッチの代
表ディミトリ・リシツィン氏は言います。「開発の始まった十年前から、サハリ
ンIIはこれらの公的機関の政策への深刻な環境違反をいくつも犯してきました。
今この時点でもプロジェクトによって排出された土砂の堆積がアニワ湾のホタテ
漁に負の影響を及ぼしています。このように、毎日あらたな負の影響が発見され
続けてきました。」とリシツィン氏は続けます。
ダウジョーンズは、サハリンエナジーの融資申請の取り下げの決定が、融資の
「遅延の可能性に深刻な懸念」が理由であると報道しています。しかしながら、
サハリンエナジー社の声明では、同社が融資機関の環境政策への遵守を実行でき
なかったために、数十億もの公的及び民間の資金を、5年間もの間、確保できな
かったことを伝えていません。2007年、欧州復興開発銀行(EBRD)は、サハリンII
が同行の環境政策に遵守できなかったこともあり、融資検討を取りやめました。
「この発表は、サハリンIIのプロジェクトの環境問題が、これらの公的金融機関
の環境基準への取り返しのつかない違反があることを示すものです。」とパシフィッ
クエンバイロメントの事務局長、デビッド・ゴードン氏は言います。
ここ数週間、環境の不遵守が主な理由で、US EXIM及びECGDが融資を正式に断る
ことを避ける方法として、サハリンエナジーから融資申請を取り下げさせるとい
う噂が政府内で広がっていた中、環境団体は、US EXIMや他の米国機関の高官と
面会しました。
「我々は、USEXIMとECGDが彼等の環境政策との整合性のないプロジェクトへの支
援をしないことを歓迎します。しかし、サハリンエナジーに融資申請を取り下げ
るよう依頼し、裏口からこっそりと抜け出させるようなやり方ではなく、融資機
関は公に融資を拒否したと発表する責任があったのです。」とパシフィックエン
バイロメントの政策担当ディレクターであるダグ・ノーレンは言います。
USEXIMとECGDのサハリンIIへの融資の取り下げは、現在まだ同プロジェクトに融
資を検討している国際協力銀行(JBIC)、王立スコットランド銀行等に、政治的、
資金的、名声的なリスクを増大させるでしょう。また、金融機関が融資を差し控
えたことは、北極地域でのハイリスクなプロジェクトへの資金や承認を模索する
石油企業へ強いメッセージを送ることにもなります。
詳細な情報はパシフィックエンバイロメントのホームページをご覧ください。
https://www.pacificenvironment.org/section.php?id=63
より詳細な情報はこちらまで:
Doug Norlen, Pacific Environment dnorlen@pacificenvironment.org
David Gordon, Pacific Environment dkgordon@pacificenvironment.org
Dmitry Lisitsyn, Sakhalin Environment Watch sakhalinwatch@yandex.ru
James Leaton, WWF-UK jleaton@wwf.org.uk