EBRDプレスリリース
2007年1月11日
EBRDはサハリン2への融資検討を止める
〜再編されたサハリンエナジーとの交渉には応じる
欧州復興開発銀行(EBRD)は、サハリンエナジー(SEIC)の株式構成の変革に伴い、過去5年間行なったサハリン2への融資検
討を取り止める。もし新株主が、同事業がEBRDの投資対象となることを立証した上で融資要請を行えば、再検討を行なうことはあり得る。しかし、事業の建設段階終了を間近に控え、
EBRDの融資が付加できる価値は限られている。
ロシア国営企業ガスプロムがサハリンエナジーの株主の過半数を得たことによって、EBRDが融資検討していた事業に重大な変更が生じた。企業の株主構成は変わり、新株主の融資に
対する姿勢は決定していない。このことによって、EBRDが現行事業の融資検討を継続することはありえなくなった。
2001年、SEICの株主であったシェル、三井、三菱はEBRDに
対し、極東ロシア大陸棚の石油・ガスを生産する同事業への融資の一部を要請した。その後EBRDとSEICの間で、特に環境 基準において、EBRDの融資条件に達した事業にするための共同作業が行なわれた。しかしこれまで、EBRDはサハリン2へ融資するかどうかの判断は下していなかった。
EBRDは1年前、サハリン2がEBRDの要件に達し、パブリックコメントを受けつける段階に入ったことを宣言し、ロシア、日本、ロンドンで一般から意見を受けつける公聴会を実施した。この1年間、融資は保留しながら、EBRDは建設工事のモニタリングを続け、2兆円規模の同事業において、長期的な環境社会面の対策を適用するよう促していた。
EBRDは、同事業の設計や建設段階(海上掘削や海底パイプライン、陸上パイプライン、液化天然ガスプラント、石油・ガス
輸出ターミナル等の施設)において、融資を行なうパートナー として、環境保護の高い基準を達成するための潜在的な役割があると見ていた。
EBRDは同事業の開発過程に関わっていた間、協議、透明性、
先住民族への対応に関する公約をもたらす手助けをした。
EBRDはサハリン2の建設段階において、SEICとともに環境対策強化を図った。SEICは、同地域を餌場とする絶滅危惧種コククジラの保護のため、海底パイプラインのルート変更を行なった。事業に対してモニターと勧告を行なうコククジラの専門家パネルが設置された。1000本以上の脆弱な河川を横断する陸上
パイプライン建設の戦略において、重大な改善がもたらされた。 SEICは先住民族への対応に関して、透明性と協議の他、基準に 見合った計画を採用した。
昨年のEBRDのロシアに対する投資は、融資総額の3分の1に上
る。銀行が融資を行なう29カ国の中で最も多額である。ロシア への投資は2007年も増加すると見込まれている。