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プレスリリース SEICの決定 IUCN独立パネル結果を十分反映せず
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2005年03月31日
◇◆プレスリリース◆◇
ロシア・サハリンU石油ガス開発
IUCN独立パネル結果 十分反映せず
パイプラインルート変更のみにとどまる
30日夕方、サハリンU石油天然ガス開発事業者であるサハリンエナジー社(以下SEIC/シェル・三井物産・三菱商事出資)が、沖合いのプラットフォームから陸地までの海底パイプラインのルートを変更する意向を明らかにした。2月16日に公表された、国際自然保護連合(IUCN)のニシコククジラ(注1)
に関する独立パネル報告書を受けてSEICが決定したものである。しかしこれに対し環境NGOからは「パイプラインのルートの変更自体は歓迎できるが、必ずしも独立パネルの勧告や提言に十分沿った包括的な対応ではなく、十分とはいえない。絶滅を防ぐためには、より包括的で慎重な対応が必要ではないか。」との声が挙げられている。
パネルによる調査はSEICがIUCNに委託したもので、同報告書は、「SEICが提出した情報が不十分なため、 同プロジェクトがコククジラに与えるリスクやその緩和策の有効性を評価できない点が多数あった」ことに言及。その上で、「もっとも慎重な行動をとるのなら、工事を一時中断し、コククジラの餌場近くでの開発を遅らせるべきで、それにより重要なリスク評価、適切なモニタリングの手法の確立、緩和策の検証を実施できる」としている。
パネルが「情報が十分でないため評価できない」としたプラットフォームの位置については、SEICは変更しないことをすでに明らかにしており、この対応はIUCNの報告書を真摯に受け止めているものとは認められない。
ニシコククジラについては、昨年タイで開催されたIUCNの第3回世界自然保護会議においても、いかなる負の影響もコククジラの絶滅につながる恐れがあることから、生息地の周辺国である日本・ロシア・中国・韓国の各国が保護計画を策定することなど決議が出されている。
◆本件に関するお問合せは…
国際環境NGO FoE Japan
〒171-0031 東京都豊島区目白3-17-24-2F
TEL:(03)3951-1081 FAX:(03)3951-1084
E-mail: kankan@foejapan.org
担当:神崎
URL: https://www.foejapan.org/aid
◆サハリンU石油・天然ガス開発事業とは? サハリン北東部沖合で石油・天然ガスを採取する事業。第1期開発はすでに完了しており、現在第2期開発を開始。第2期工事では、2基の掘削プラットフォーム増設、海底パイプライン、800qの陸上パイプライン及び島南部に石油輸出ターミナルと液化天然ガス(LNG)プラントを建設。総事業費約1兆2千億円。
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(注1)ニシコククジラ: 現在の生息数は約100頭。夏場サハリン北東部を採餌海域とする。IUCNのレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)で最も絶滅が危惧されるCRに指定。
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