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「サハリン事業、問題は山積み」 EBRD総会報告(2005年5月21日〜24日) |
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5月21日〜24日まで、ベオグラードで開かれた欧州復興開発銀行(EBRD) の総会に行ってきました。4日間に渡って、ロシア、米国、日本などのNGOは、各国理事、環境部門・エネルギー部門のスタッフ、総裁との会合を持ちました。EBRDや各国の理事が、サハリン事業に注目し、その問題点について非常に懸念していることがわかりました。
※写真は、会合での説明に用いたものです。アニワ湾での土砂投棄の影響が一目瞭然です。
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←↑土砂投棄前のアニワ湾の生物たち |
▼各国理事の反応
各国の理事は、すでに総会の2週間前に事務局から「非常に問題を抱えているプロジェクト」としてブリーフィングを受けており、サハリンIIの環境問題に関して、関心分野に違いはありましたが、多くの理事がNGOに対して積極的に質問をしました。
中には「EBRDはこのプロジェクトに関わるべきだと思うか、それとも撤退するべきか」という質問を投げかけてくる理事もおり、EBRDが融資をするべきかどうかの検討を真剣に行っている様子がうかがえました。
油流出対応についての問題点を話したところ、「それは日本政府やJBICの積極的な対応が重要な分野ではないか」と述べた理事もいました。
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↓土砂投棄後の湾の様子
(写真提供:サハリン環境ウォッチ) |
▼環境部門のスタッフ 「サハリンIIは融資を検討したプロジェクトの中でもっとも困難なもの」であり、「融資の決定に期限はない。環境配慮政策が遵守されなければEBRDは融資をしない。(決定までの)道のりは長い」とした上で、以下のように述べました。
- 現地視察を行った際に「受け入れ難い」状況を目にした。これらが改善されなければ前には進めない。
- 先住民族(IP)に関し、NGO等から受けている報告と同じ状況を確認した。先住民族に対する計画は、今後IPと十分な協議を持った上で作成される。
- アニワ湾に関して、オープンイシューであり企業の説明に納得しているわけではない。
- OSRPに関し、詳細な概要を見て判断する予定。利害関係者との協議や独立専門家によるレビューも行われる。流氷期の対応について、EIAアデンダムに含まれるべき事項だ。
▼エネルギー部門のスタッフ サハリンプロジェクトには「解決されなくてはならない基本的な問題」がいくつもあるといい、融資をするかどうかは環境部門の判断に委ねていると言っていました。
▼ルミエール総裁の反応 最終日に総裁とNGOの会合が開かれました。NGOからのプレゼンテーション後、総裁はサハリンIIについて以下のように述べました。
- 非常に重要かつ困難なプロジェクトだ。前に進めば、新たな問題が生じる。今後さらに困難な問題が出てくるだろう。
- EBRDは企業に対して、EBRDの政策を尊重し、プロジェクトが満足いくものにならない限り、融資はしないと明確に伝えてある。
- 事業者が「もう工事はしてしまったから、環境についていまさら言っても仕方がない」という状況はあってはならない。
- 当初から問題は多かった。今、緊急な対応が迫られている。
- このプロジェクトは日本やアジアにとって、重要なプロジェクトだ。お金は大して問題ではない。これは環境、繁栄、そして人間の尊重の問題だ。
▼日本の発言
EBRDの総会で行われた田野瀬財務副大臣のスピーチの中には以下の文面が盛り込まれました。
"We welcome the EBRD's effort to improve accountability regarding social and environmental issues. As to the Sakhalin energy development project, we hear that there are great concerns over the environmental issues. I hope the EBRD will continue to encourage project sponsors to listen to external stakeholders and to make every effort to promote a broad-based understanding of the project"
(訳)日本政府は、環境・社会問題において、EBRDによる説明責任を果たす努力を歓迎している。サハリンエネルギー開発事業においては、深刻な環境問題があると聞く。EBRDがプロジェクト事業者に対し、今後も外部の利害関係者の声をよく聞き、事業が幅広い理解を得られるようあらゆる努力をするよう期待している。
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