4月にサンクトペテルブルグでニシコククジラアドバイザリーパネルの会合が開催されました。その際、NGOとサハリン・エナジー社との間で持たれた会合において、SEIC社は第二期工事の油流出対応計画(OSRP)のドラフトを公開するつもりはないという態度を示しています。
そこでFoE Japanを含む日本の11団体では、OSRPのドラフトを公開し、パブリックコメントの期間を設け、市民社会からの意見を考慮するよう求める要望書を事業者であるサハリン・エナジー社に提出しました。
油流出問題は、サハリンII事業の環境問題の中でも、最大の関心事のひとつであり、北海道の漁業関係者をはじめ、多くの日本の市民が最も懸念していることでもあります。そのため、影響を受ける可能性のあるサハリンや日本の市民に早い段階で公開され、意見を受け付ける必要があります。
また国際NGOからも連名で同様の主旨の要請書が提出されています。
> 国際NGOからサハリンエナジー社への要望書(PDF)
2007年5月15日
サハリンエナジー社
社長 イアン・クレイグ 様
CC: 三菱商事社長 小島順彦 様
三井物産社長 槍田松栄 様
国際協力銀行総裁 篠沢恭助 様
財務省 国際局
経済産業省 資源エネルギー庁
海上保安庁 警備救難部
サハリンII第二期工事「油流出対応計画(OSRP)」ドラフト(草案)公開の要望
私たちは、サハリンII石油・天然ガスプロジェクト(以下サハリンII)第二期工事に関する「油流出対応計画(OSRP)」のドラフトを公開し、パブリックコメントを受け付けるよう御社にお願い申し上げます。
油流出は、日本、特に北海道沿岸に住む市民や漁業者にとって、最大の懸念のひとつであることは、これまでの経緯から御社も既にご承知の通りです。私たちは長年に渡り、幾度もサハリンIIによる油流出が及ぼす影響や対策について貴社や、プロジェクトへの融資を検討している国際協力銀行に対して懸念を伝え、そして第二期工事のOSRPについて、納得いくまで影響を受ける可能性のあるステークホルダーと協議をし、また同計画を検証する機会を設けるよう要請してきました。それに対して貴行は、これまでの会合において、その必要性を認識している旨を述べてきました(*1)
。
油流出への対応は、石油プロジェクトの環境影響への対策として、非常に重要な要素のひとつです。また、情報公開と市民参加の確保は、環境アセスメントのプロセスの基本であり、御社が融資を要請している国際協力銀行の基準(*2)においても求められています。
御社及び出資企業の企業価値を損なわないよう、第二期工事のOSRPのドラフトを公開し、十分パブリックコメントの期間を設け、市民社会からの意見を考慮していただくよう再度お願い申し上げるとともに、OSRPのドラフト公開の時期について早急にご回答いただけますようお願い申し上げます。
連絡先
国際環境NGO FoE Japan(担当:神崎尚美)
〒171-0014 東京都豊島区池袋3-30-8 みらい館大明1F
Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219 Email:kankan@foejapan.org
(注釈)
- 例としてJBIC開催の第8回サハリン環境関連フォーラム(平成17年5月12日)では、サハリン・エナジー社からの説明要旨(13頁)においてこの主旨の発言が見られる。「我々は既にフェーズ1の流出対応計画を作成しており、フェーズ2のものについては一般の方々にも公開する予定である。日本のステークホルダーに対しては注意深くじっくりと計画を読んで頂いた上で、皆さんの希望を考慮に入れる予定である」
>https://www.jbic.go.jp/japanese/environ/sahalin/pdf/08_gijiroku_01.pdf
- 環境・社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン「透明性とアカウンタビリティーを確保したプロセス及び、かかるプロセスにおける当該プロジェクトの影響を受ける地域住民や現地NGOを含むステークホルダーの参加が重要であることに留意する。(第1部1.本行の環境社会配慮確認にかかる基本方針)」
賛同団体(五十音順):
イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
ADB福岡NGOフォーラム
(NPO)野生動物救護獣医師協会
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
国際環境NGO FoE Japan
海洋工学研究所
市民外交センター(Shimin Gaikou Centre:Citizens' Diplomatic Centre for the
Rights of Indigenous Peoples)
知床・根室海峡シャチ連絡会/SNOG (Shiretoko-Nemuro Strait Orca Group)
日本野鳥の会オホーツク支部
北海道ラプターリサーチ
猛禽類医学研究所
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